140-侵略者の足音
Noa-Tun領土外縁部。
グムター星系。
そこでは、開拓が進められていた。
『B-CC21TC ECR-2 OII』
だが、通信は全て、暗号化されたコードで占められていた。
既にこの星系に人間は存在しない。
採掘艦隊がアステロイドベルトを行き来し、ベルトコンベアを伝ってコンテナがジャンプドライブを搭載した超大型輸送艦『ハウラー』に積み込んでいた。
『GG=R"21 CCTRP』
『IIIX-34 SORIEAADF』
グムター星系はゲートが一つしかないため、防衛はほとんど行われていない。
破壊したゲートの先はVe’zの領域であり、攻め入られる心配もほとんどない場所であった。
そう、今日この日までは――――
『ERT――――未知の信号を検知』
『防衛システム作動、全艦隊、アステロイドベルトより帰投せよ』
それに反応し、アステロイドベルトから逃げようとする艦隊の前に、いくつもの艦がワープアウトした。
『ロックオンされています』
『ワープ準備!』
『敵からの干渉波を確認、ワープ妨害を掛けられています』
『ワープ妨害無効化ユニットを起動....エラー発生、無効化ユニットが装備されていません』
艦隊は初期に製造されたものであり、ワープ妨害に対する対策を持っていなかった。
だが、オーロラは採掘艦隊の硬さをよく知っている。
危険地帯である宇宙で探索する以上、戦闘艦よりも厚い装甲を持っていて当然なのだ。
『敵の攻撃を確認』
『.....分析開始』
未知なる敵は、光線を放ち――――それを剣のように振るって採掘艦をシールドごと両断した。
『不測の事態が発生。戦闘艦スクランブル発進、現宙域に向けワープせよ』
戦闘艦デリュージが五隻出撃し、アステロイドベルトにワープする。
そして、レーザーによる連撃を、即座に叩きこむ。
『敵艦のシールドに損傷を与えられません』
『敵小型艦接近』
採掘艦隊を即座にバラバラにした敵艦隊は、デリュージ艦隊に襲い掛かる。
デリュージ艦隊は応戦するが、まともにダメージを与えられない。
再び、宇宙空間に装甲板が舞う。
『ストラクチャーが攻撃を受けています』
『強化モード発動、これで――――』
だが、謎の艦隊はたった数隻で、強化されたストラクチャーをバラバラに引き裂いた。
『全艦集結せよ。敵勢力を排除します』
そして、グムター星系に存在する2000を超える艦隊が、たった数隻の艦隊を相手に襲い掛かり――――全滅した。
『彼の者共は、宇宙の秩序を乱した。過ぎた力を振るった責は、その滅亡をもって完遂とする。我らはエミド。大宇宙の秩序を守り、監視するものである』
誰もいなくなった星系で、未知の艦隊はワームホールへと消えていく。
そのワームホールは、何事もなかったかのように宇宙の闇へと消え去った。
そして、Noa-Tun連邦の全ての星系にワームホールが開き――――未知なる敵、エミドが侵攻を開始した。
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