046-襲い来るモノたち

採掘艦隊は、謎のドローンらしき物体の群れに襲われていた。

そこに、イシュタルとエクサシズムの混合艦隊が離れた場所にワープしてくる。

ドローン達の注意は、瞬時に採掘艦隊からそちらに切り替わった。


『敵艦隊、増速』

「イシュタル、前へ出ろ。エクサシズムは防御線の背後から遠距離射撃を開始!」


タンブルウィードのような見た目のイシュタルが前へと出て、エクサシズムが長射程レーザーを発射してドローンを撃つ。

だが...


『直撃しましたが、走行手前で大幅に減衰。シールドを持っているようです』

「シールドがある相手か...プライマリ優先攻撃対象を設定して、機動戦で一機ずつ仕留めろ」


シールドがあるようで、初撃は阻まれた。

並走してきていた隠密型要撃駆逐艦ゼータスカウターが遮蔽し、ワープ座標のピンを作りながら移動を開始する。


『イシュタル、シールド耐久値が20%を切りました。シールドリチャージャー起動』

「エクサシズムが攻撃を受け始めている、ワープ開始せよ」

『エクサシズム、ワープ開始します』


インターディクションには射程が存在する。

それ故に、ドローン艦隊は先んじてショートワープしたエクサシズムに一瞬戸惑う。


「....分かったぞ、あれがディクターシップワープ妨害船だ!」

『どうしてお分かりに?』


オーロラが、即座にその存在を看破したシンに尋ねる。

シンはニヤッと笑い、


「見ろ、プライマリを受けるや否や他のドローンを盾にし始めた。火力より援護を優先するルーチンなんだろう」

『同型機らしき存在を確認。エクサシズム、包囲陣系に移行します』

「任せる。イシュタルを背面に回してリペアを付けろ」

『わかりました』


シンはイシュタルに防御面以外にも、ロジスティクスの役割も求めている。

気休めのようなものではあるが。


『敵インターディクション艦、全滅しました』

「よし、フォールダウンに範囲型ワープ妨害を張らせろ」

『範囲型ワープ妨害展開』

「よし、エクサシズムは全艦ワープウェーブを展開」

『ワープウェーブを展開します』


エクサシズムの全ての船から放たれたナノウェーブが、船のワープ出力を高める。

そして、ワープしてきたフォールダウンが、敵艦隊の陣中に突っ込む。

そのまま最大速度で離脱しながら、複数のコンジットをばら撒く。

直後にコンジットが巨大な重力変動領域を発生させ、その領域内の船のワープを封じる。

不可能ではないが、どこに飛ぶか計算ができないので、次元断層に落ちるのがオチだろう。


「攻撃開始! 既に攻撃、支援型の目途はついている。支援型に攻撃を集中するんだ」

『支援型に攻撃集中』


敵艦隊がバラバラに弾幕をばら撒くのに対し、Noa-Tun側は一機一機に攻撃を集中する方式で戦う。


『イシュタルのシールド脱落。アーマーリペアラを併用しつつ、戦闘を継続します』

「任せる」


シンは腕組みをしながら戦況を見守る。

既に採掘艦隊を離脱させたので、一隻でも損失が出た時点で逃走する予定である。


「信じられないな.....」


そして....

結果として、ドローンは全滅した。

自爆することもなく、残骸はすべて回収された。

逃げもせず、かといって身を捨てて攻勢に出ることもない。

その不気味さに、シンは少しの恐怖を覚えたのであった。

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