■ 05 ■ 頑張れ究極ナマズンゴ(仮)
そうして、グラナは実験機を駆って地上を走る。
無論、走るというのは比喩的表現であり、
過去の大戦時、惑星全土にDEMONが打ち込んだ
その上現在も稼働中の
これにより人の生活圏は大きく衰退、大戦を生き延びた数少ない
弊害は日常生活のみならず、このせいで
排除しようにも超々深度に打ち込まれた
「急がないと、また一つの街が、オンボスシティが流砂に呑まれる……!」
逸る心を抑えて、グラナは実験機を駆る。
機体に搭載されたスラスター用
戦場に到達したら魔力切れでした、ではC8ソードロッドに刻まれた戦闘用
「
条件はグラナが考え得る限り最悪だ。いや、機体がまだ万全の状態ではあるから最悪の最悪ではないだろうが。
ややあって、流砂を泳ぐ
【
対オセラス兵装としては標準的な、使い勝手のいい遠距離攻撃
奇襲は失敗。だが、もう止まれない。
「こっちを向けってんだよ!」
二度、三度。操縦桿に備えられた
背部開口部から誘導飛翔弾体が垂直射出、上空から迫りくるそれを機体の急制動と方向変換、【
「クソッ、多勢に無勢か!」
既にグラナ機の周囲を多数の
「うっわぉおぉぉぉおおおっ!!」
咄嗟にグラナが輻輳する火線を回避できたのは、どちらかと言うと幸運が味方した結果に近い。
慣れない機体で無理矢理取った回避行動が敵の意表を突く動きになって、運良くグラナは数多の砲火を回避――いや、
「右腕に直撃、戦闘続行に支障なし……クソッ、魔力は削られたな――」
同じ積層ハードキチン装甲を備えるオセラスとARMだが、装甲に関してはARMの方が強固に作られている。
純白の積層ハードチキンの上に展開されている
このFD装甲が稼働している間は多少の直撃程度ならARMが沈むことはない。もっとも直撃をくらうと結構な魔力を持っていかれるため、これを頼みにしたゴリ押しは死と同義に近いが。
包囲を狭められる前にグラナは【
「っだらしゃぁああっ!!」
背後に感じた殺気に向けて機体を旋回、背中から飛びかかってきた豹のようにしなやかな
――AaaaaaaaAAaaaaa……!
「な、なんだ? 変な音が頭の中で……」
オーレル搭乗時には聞こえなかった異音、直接頭蓋内をかき回されているような不快感。
ざらついた思考に引きずられ意識が一瞬飛びかけ、慌てて目を瞬いたグラナは周囲に気配を飛ばす、と、
「うわおぉおおおおっ!」
赤熱したC8ソードロッドを振り抜いた残心状態の実験機目掛けて、サイのような
慌てて操縦桿を操作し、チリリと角に
――あれ、どうなってんだこれ。
グラナはあり得ない事実に気が付いた。
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