4話 ともだちじゃないの?

 ……うせやろ?今コイツ、ソロモニア・コードつったな?しかもあの盾……まさかアレがゴエティアか…!?


「ほう……趣味の悪い家紋に見覚えのある盾…思い出したぞ…お前、サマシ・イーダの子孫だな?」


「サマシ・イーダ…?」


 そーいやこのデブ、自分のことコズル・イーダって言っとったな。てことはアレか、イーダ家っていう貴族なんか……ちょっちやりずらい相手やで……


「しかも相手は待ってはくれへんようやな…!」


「ソロモニア・コードNo.16承認、 『血飢えの猛将ゼパル』、召喚シマス」


「さぁ!僕のゼパルの力で恐れおののくがいい!!」


 魔法陣から現れたのは、全身真っ赤な鎧に身を包んだ…


「久しぶりダナ、ライオン野郎……!!」


 ……得体のしれないオーラを纏った騎士のようなナニカ、やった…!


~~


「やはりお前かゼパル!あまりにも見た目になって気づかなかったぜ!」


「お前モな、マルバス…!500年前の威厳は焼却処分シチまったカ!?」


 どうやらコイツらは500年前にも猛威を振るっとったみたいやな…そんなゼパルに対し、マルバスはさらにを続ける。


「悪魔の威厳を捨てたのはお前の方だろうが…!

確かにサマシ・イーダは俺らも認めた名君だった、だがその子孫がそうとも限らないと、なぜわからん!人間は堕落を続ける生き物だぞ!!」


「ぐっ…!」


 痛いところを突かれたのか、ゼパルは頭を抑え苦しみだす。だが、コズルはそんなゼパルに命令を下した!


「何をしているゼパル!お前は僕の言うことだけを聞いていたらいいんだ!早く悪魔の子ごと悪魔を斬れ!」


「う……うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!死ねぇ、小娘ぇぇぇぇぇぇ!!!」


(ま、まずい!)


 ゼパルは腰の剣を抜き、アレナちゃんに向かって走り出した!


「させるかっ!」


「邪魔ヲすルナ!マルバス!!まずハお前カラぶっ殺す!!」


「がはっ…!?」


 そう言ってゼパルは上段に剣を振り下ろし、今までダメージというダメージを受けてこんかったマルバスに初めてダメージを与えた…!


(やっぱり悪魔の力はとんでもないんやな……!くそったれ、なんもできへんのが一番もどかしい…!!!)


「ハハハハハ!!いいぞゼパル!そのままトドメを刺せ…」


「ダメ…!」


「!?」


 うせ…やろ…!?


 マルバスにトドメを刺そうと迫るゼパルの前に立ちふさがったのは、まさかのアレナちゃんやった……!


「ダメやアレナちゃん!下がるんや!逆立ちしたって勝てる相手やあらへん!」


 ウチは柄にもなく、こんなネガティブなことを発してしもうた…あんな絶望的な状態なら……仕方ない、よな…?


「わたしは…大丈夫………でも、ライオンさんは私の!ともだちが痛いと、私も辛い……


……だから、ここから先には行かせない!」


 ……あれ、今……一瞬、立ちふさがるアレナちゃんが大人に見えた…


 …気のせいや、ないよな……???


「ともだち……?ハハハ、笑わせるね。」


 決意の固まったアレナちゃんに釘付けになっとったウチは、デブ貴族ことコズルの心無い返しが聞こえてしもうて我に返った。


「僕にとってゼパルは『なんでも言うことを聞いてくれる都合のいい存在』!それ以上でもそれ以下でもないね!」


「…ともだちじゃ、ないの?」


「そうともs」


 言い切る前に何者かに殴られ、吹っ飛ぶコズル。しかも殴ったんは、あのゼパルやった…!


「…イーダ家も、変わっちまったなぁ…!」


 しかもさっきまで声に混じってたノイズがなくなり、目には涙を浮かべていた。


「……へっ、憑きもんが落ちたような顔してんな」


「……うるせぇ」 


 2人は昔からの付き合いやったんやな…それもそうか、500年前に作られた兄弟らしいし。


……てことは序列的にマルバスがお兄ちゃんなんかな、なんて考えとったらゼパルはコズルに近寄り、手を差し伸べた。


「……あんまり俺を失望させるな、イーダの者……いや、


「!」


 名前で呼んだ……ってことは、ある程度信頼してたってことか……!?


「確かにお前も俺も、多くの過ちをした。

……悔しいよ、昔の契約者の……お前の先祖の顔に泥塗ってるみたいでよ……」


「悪魔は契約者の心によって姿とかが変わったりする……さっきまでゼパルがおかしかったのは、契約者の心が汚れてたからだな」


 なるほどなぁ、悪魔にも色々あるんか……


「……ゼパル、僕は罪を償うため、自首するよ……

しばらくあの屋敷のことは、頼んだよ。」


「……わかった……!」


 なんとコズルは王宮騎士に自首することにしたみたいや…何が彼を突き動かしたんはわからんけど、心を入れ替えてくれるならまぁウチは許そうかな。


「帰ってくる頃には、イーダ家に相応しい男になるはず……


……だから、もしゼパルさえ良かったら…今度は『ともだち』として契約してくれるかな?」


「!……あぁ……もちろんだ……!」


 ……アレナちゃんの言葉が、響いたんかもな。


〜〜


「……コズル・イーダが自分から罪を認めるとは……とにかく、連絡ありがとうございます」


 今回来たんは女性の王宮騎士やった。髪は黒く、ボンキュッボンで凄く美人……

……やけど、モノクルつけとるとこ以外はなーんかどっかで見たことあるような気ぃするんよな……胸元には警察のバッジがついとるし……


「とりあえず牢獄に送りますね。マジックコード『サモン・プリズンバード』」


 んでもってあの人はマジックコードででかい鳥を召喚した。


……マジックコードって召喚も出来るんやな……いや、ソロモニア・コードがあるから今更かぁ。


「それじゃ、夜道には気をつけるようにね。

あと、『ともだち』は大事にしなさい」


 飛び立つ前にそんなこと言うとったけど……なんやこの人、悪魔を知っとるんか!?


「あ、アンタは……何もんや……!?」


「execution……私はカザミ、カザミ・コガラシよ。」


 カザミ……!?どっからどう見ても異世界の人やなさそうな見た目やな…待って今エグゼキューションって言ったか!?


「ソロモニア・コードNo.07承認、 『断罪の梟アモン』、召喚シマス」


 !ソロモニア……コード……!


「じゃあね♪」


 ウインクした後、あの騎士……カザミさんはプリズンバードと共に闇夜に消えた。


「……どういうことや、ウチ以外にも転生者がいるってことか……!?」


 ……謎が謎を呼んでる…こっから更に何が待ち受けるって言うんや……!







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