第75話 奴隷


 翌朝、モモは留守番させて、教会に向かうと、すでにクロウとレウスの二人が来ていた。ティガさんの様子は、クロウがすでに確認していたようだ。私の鑑定でも〈全身麻痺〉は消えている。


 本日も、状態異常回復〈リフレッシュ〉をかけた後に、魔力と気力を流してみる。

 昨日よりは良くなっている……いや、むしろ、何故目が覚めないのかわからないくらいに、異常なし。滞りは無くなっている。


「目、覚めない?」

「そのようだなぁ」


 う~ん。

 良くなってると思うけど……神父様に確認するが、特に目覚めている様子はなかったらしい。ただ、悪いところも無さそうだから、そのうち目を覚ますのではないかとのこと。


「良くなってるんだよね?」

「とりあえず、薬は効いたと思う。もう少し、様子を見るのがいいと思う」

「そっか…………ありがと」


 レウスはナーガ君とは違って、成人男性の外見なんだけど、昨日から少し幼い素振りが目立つような……精神的に不安定になっているとか?

 とりあえず、現在の見た目は絶対に年上なんだけどね……レウスの中身は若いかもしれない。幼くはない……大学生とかだろうか。


 クロウは絶対におっさんだと思う。ところどころにおっさんくさい仕草がある。顔はイケメンだとは思うが、動き出す時、「よっと……」とか「よっこらしょ」とか、口に出すんだよね。掛け声が出ないように、気を付ければイケメンで通るのにと密かに思っている。


「あ~、うん。それで、ちょっと話があるんだけどね。金銭のことで」


 きちんと薬代がいくらか、話していなかったわけだが。

 話さないといけない事でもある。昨日、色々と言われたので、ね。


「二人、いっぺんに話すのと、個別に話すの……どっちがいい?」

「どっちでも~」

「なら、俺が先に聞こう。レウスは外してくれ」

「はいはい……じゃあ、俺はちょっと出かけてくるから」


 ティガさんが寝ている部屋にて、クロウと二人きりになった。

 まあ、こうなるかな~とは思っていた。レウスの保護者って感じだったからね。先に聞いて、判断してからレウスに下ろすと思われる。


「話ってのは、借金の話かい? 奴隷の話かい?」

「……それも含めて」

「俺は言ったはずだ。あんたにこの能力を捧げると」

「あ~……奴隷に抵抗感があって、ね……借金で済ませたかったんだけど」


 普通に考えてみれば、分かる。私たちの世界でも奴隷が無かったわけではない。だけど、一昔前だって嫌悪されていたのに、自分が所有するなんて考えられるわけがない。

 しかし、クロウは奴隷になることを受け入れていたらしい。


「……あんたは甘いな」

「甘い? どこが?」

「甘いが嫌なら、愚かか?」


 クロウが立ち上がり、近づいてくる。その顔は微笑んでいるのに、寒気がしてくる。

怖くなって距離を取る。先ほどまでの和やかな雰囲気が一変し、蔑んだ目でこちらを見ていて……壁に追い詰められてしまった。


「自分の事ばかりで、周りが見えていない愚か者だな」


 壁に追いやられ、逃げ場がない。すっと伸ばされた手が首元に触れる。今は力は入れていないが、首を絞める寸前の状態だ。

 声が震えそうになるのを堪えて、相手を睨んで、口に出す。


「……何?」

「いつまでも周りに甘えて、この世界の常識を拒否するつもりかい? あんたの考えが異質。この世界に溶け込めないと言っているようなもんだ」

「何を……」

「あんたは異世界の人間じゃない、この世界の人間だ。そう、なったんだろう? 受け入れるべきだ。この世界の常識を。一つ綻びを見せれば、二つ、三つと広がるだろう? この世界では、奴隷は許されているんだ、国家から。その常識と戦うのかい? 奴隷解放がどれほどの労力を払うことになるか、歴史を知らないわけではないよな?」


 綺麗な顔から滲み出ている嘲り。……私を愚か者だと、その態度・表情で分からせるために……。息がかかるほど近くに顔があり、首に触れている指は震えている。

 

「あんたは、俺らが自分から奴隷になりたいと考えると思うかい? 他に方法がないから、それを選ぶんだ。国の奴隷より、あんたがマシだと考えたからあんたを指定した。そのあんたが奴隷を持ちたくないと言うなら…………売ればいい。奴隷として、俺を、レウスを」

「クロウ……」

「覚悟がないんだろう? だがな、俺らを助けて……何事もなく、どうにかなる訳ないだろう? 現代で、医療にどれだけの金がかかるかを知っていれば、こんな医療も政治も発達していない国での治療がとてつもない額だとわからないはずがない。これからも無償でやるなら、それはこの世界の秩序を乱す行為だ……あんたが言っていた、この町を混乱させた他の奴らと何が違う?」


 違わない……。

 クロウの言っている事は間違っていない。私の倫理観では、奴隷なんてとんでもないと思うけど、それは私だけのこと。この世界の人間の価値観は、お金が払えなければ借金奴隷になる。そして、高額な治療を受けたら、奴隷になるしかないのだ。

 それがこの世界の常識。それを乱す事は、私もまた……他の異邦人達と変わらない。自己中心的で、トラブルを起こす存在だ。



「あんたが俺を助けた。なら、あんたが責任をとれ。俺がいらないなら……俺の命の責任をとれないなら……殺してくれ。もう一度……」

「………………無理。殺せるわけない……」

「なら、どうする?」

「奴隷にする、よ……」

「いい子だ」


 にやりと笑い、首から手が退けられ、クロウは席に戻り……私は脱力して、その場にへたり込む。安心したのか、それとも他に理由があるのか……目からぽろぽろと涙がこぼれてくる。

 

「面倒をかけてすまんなぁ」


 私の様子に、少し優しい声音にして、慰めるような事を口にした。

 痛いところを突かれて、泣き出すとか……本当に、ダメだな。しっかりしないと。


 ぱんっと自分の両頬を手のひらで叩いて、気合を入れる。覚悟を持たないといけない。泣いて、我儘を言って……自分のやらかしたことの責任を誰かに押し付け、迷惑をかけるわけにはいかない。


「本当にね……。でも、私が覚悟が足りなかった。好きな事だけして、その結果を見ないふりして、後始末を他人に任せていた……」

「俺の治療費は俺が払うとして、ティガを助けたことの意味も理解したかい?」

「性悪……」

「本心なんだがな……あんたに救ってもらった。なら、あんたの物になるのがいいだろう」

「嫌だよ。自分だけでも大変なのに、他の人まで見てられない。痛いところを刺して、現実を突きつける奴なんかいらない! ……でも、もらうから、その能力ごと、全部! いやだって言っても、返してやらないから!」

「ああ、いいねぇ……その調子だ」


 自分の物にする宣言。人を物として扱うという……非道な宣言だ。

 でも、目の前の男は、目を細めて、唇の端を上げる。無駄に色気がある仕草で顔を近づけて、耳元で囁かれた。こいつ……自分の顔が良いのをわかってて、やってるのか。


 見捨てられないという事も見透かしていて、覚悟を持つように突きつけてきた。だけど……その覚悟もなく、治療したのは私。最後まで、命の責任を持つ必要がある。

 これから……薬師となるというのは、そういう事。人の人生を左右する権限をもつ。



「…………で、レウスは? 一緒に話をしなかったってことは考えがあるんでしょ」

「難しいな……レウスを逃がしたい。何とかなるならな」


 逃がす……何とかなるなら…………。それは、勝手に知らないとこでやって欲しい。

 いや、密入国もだけど、わざわざラズ様が念押しして、私の奴隷にしろって言った時点で、すっごく面倒事だということはわかっている。


 すでに逃がさない様に動いている時点でもお察しだ。レウスも面倒なユニーク持ちなのか。逃がすのを私だよりにするなら、聞かないが……まあ、出来ないと言えばそれで終わりそうだけど…………情に流されて、命の危険を伴いたくはない……けどね。

とりあえず、希望だけでも聞いておこう。目的を合わせておかないと、負担だけが増えていく。


「…………もう少し具体的に」

「俺とティガについては、役に立つ能力らしいからな。逃がしてもらえるとは思えんしなぁ……帝国側でも大層気に入られたからな。逃げ出してやったんだが。こちらでは無理だろう」

「特別な眼……具体的に何が見える? 私が異邦……ごほっ……」


 異邦人だと、何故わかったのか……そう聞こうとして、咽た。その後も気管に入ったらしく、止まらず……。

 ごほごほと咳き込んでいると、呆れたような目で見られた。こっちは苦しんでるのに。


「無理しなさんな。あんたが口に出す必要はない。縛られてるだろ? 迂闊すぎるだろう」

「……そう言えば、名乗らないって話だった。まだ、契約はそのままだったね。……秘密裏の契約すら見える?」

「山から町に向かう馬車の中で、あんたのステータスを……縛られて隠されてる事に気付いたんで、色々と試した。普通の称号に見えて、詳しく探ろうとすると綻びが見えたんでな…………それでも、全部見るのには苦労したがな」

「デリカシーとか、どこに置いてきた?」

「さて……向こうの世界か? 実際、見たい物が全て見えるわけじゃないんだがなぁ。SPも使うんで疲れるから使いたくない。ただ、やろうと思えば嘘をついてるかも判別できるし、隠された情報もある程度、鑑定できるなぁ」


 それで、私の情報を調べたと……。私、この人の命の恩人だと思うんだけどな。結構、一生懸命助けようとしていたんだけど?

 そのお返しが、人の秘密暴くってどうよ? しかも、それで私に力貸せと頼むのか。割と図々しいな。


 まあ、私が迂闊であるのは否定できないんだけど……。


「……どこまで、その力を使う?」

「あんたの奴隷だ。命令に従うさ」


 私が非道な事しないという前提だよね、それ。

 まあ、出来ないことを見透かされているということでもあるけど。しかし……私の奴隷にした場合、ラズ様との契約がどこまで彼に及ぶかもわからないしな。


「……命令ではなく、力を使うのは構わないのか、使いたくないのか、どっち? それ次第で、私がどう動くかも変わる。後からの変更は聞かない……」

「……あんたの仕事の役に立つなら構わない。だが、国家のためとかはお断りだ」

「わかった。それで……彼は? 彼も持っているんだよね?」

「ティガは耳だ。〈順風耳〉、獣人の中でもずば抜けた聴力は千里を超える……と鑑定結果が出てる。かなりの距離でも声を聞き取れるのは本当だ。密偵には持ってこいだろう?」


 耳と眼か。確かに、情報が命の貴族から見れば、喉から手がでるほど欲しい能力か。

 あのラズ様が命令して、他に渡せないと判断した……場合によっては、消すことを選択することを仄めかしていた。

 そして、借金返すまでは私のモノにするとして……逃がせるか? すでに、上にバレているのに? 逃がした場合の責を負うのは……私か。

 無理だ。少なくとも、私とラズ様が組んでいる限りは彼らを逃がせない気がする。

 

「はぁ……3人には、密入国という称号がついている、らしい。奴隷になれば消せる。そして、借金を返せば、奴隷も消える」

「元より、治療費は払う必要があるだろう? ただ、レウスは治療を受けてない」

「そうだね。私に依頼をしたのはレウスだけど、治療を受けたのは二人。レウスに関しては、借金奴隷にして、ポーション代を返してくれれば、その後は自由……理論上はね」

「あんたはこんなイケメンを奴隷にできるんだ。協力してくれるなら、俺は一生奴隷でもいい。一人くらい逃がしてもいいだろう?」

「胡散臭い。寄らないで」


 どうも、この流し目を送るとか、やめて欲しい。いや、色仕掛けのつもりなんだろう。自分の思うように動かしたいのか、知らないけど。


 いい返事を得られないことに不満かもしれないけど、近づかないで欲しい。気持ちはわかるけどね……現状どうにかするために、媚び売ってでもなんとかするというのは、分からないわけじゃない。

 いや、でも媚びは売ってないか。反応を楽しんでいる……。


「別に、私はレウスを逃がすのは構わないけど、納得する? あの子、二人を助けようと蛇の巣穴に戻ってきちゃったわけでしょ? 蛇を討伐したことは知らなかったはずだし、安全だから戻ったわけではないよね? 二人が奴隷で、自分だけ逃がされて……従うの?」

「言い聞かせるさ。俺とティガは自由にはならない……自由になった方が悲惨、だろ?」

「そうだね。私もそう思う。ただ、自分の事は投げやりなのに、レウスに拘る理由がわからないんだけど? そこをはっきりしてもらわないと私も対策が考えられない」


 思ってもみなかった質問なのか、目をぱちぱちと瞬きして、「ふむ」と考えこむ素振りをしている。

 でも、ちゃんと話すつもりは無さそうだ。にやりと笑った顔が誤魔化すつもりだと言っている。丸め込む気満々だよね。


「知りたいって言うなら……ベッド、いてぇ!」

「言いたくないなら言わなくていい。確かに外見は美形だけど、中身おっさんなのは仕草でわかるから。全然ときめかないから」


 正直、胡散臭い。ベッドへの誘いとか、乗る訳がない。絶対、お断り。そもそも、ベッド一つで、ティガさん寝てるしね。フォルさんの笑顔も胡散臭かったけど、また違う。

 そもそも、なんだろう……目が本気じゃないのがわかる? 誤魔化すために、そういう雰囲気に持っていこうとしているのも含めて……性悪。

 ジト目で見ると、両手を広げて、やれやれという仕草をする。こっちが言いたいんだが。


「う~む……それは残念だが。そうだなぁ…………レウスはまだ若い。未来がある」

「3人で借金返して、一緒にいてあげれば? 未成年なら保護者いた方がいいんじゃない?」

「いやぁ。おっさんにはそこまでの元気は無くてな。肉体労働は向いてない」

「やる気あるんだか、無いんだか……ティガさんは? ティガさんが治ったとして、彼はどう考える?」

「あいつは了承するしかないだろ? あんた以外、助けられなかった。目が覚めるだけ、奇跡なんだろ? そうそう……あいつもレウスを可愛がってたな」


 おや。

 しみじみと、今までとは違う重みで聞こえる言葉。それなりに、3人での絆はあるらしい。


 だが、確かに……。この人は信用していいか悩むけど、憎めないところはある。

 ティガさんについても思い入れがあるみたいだ……何だかんだ、1か月一緒にいたのだろう。お互いに大切だという気持ちはわかる。


「まともだね。なんでこの世界に来たんだか」

「……あんたもな。正直、異世界人に真っ当な奴がいるとはな」

「帝国でも、頭おかしい人が多かったんだ。死因のせいかな……トラック転生とか、死ぬはずじゃなかった代わりの転生じゃないからね。人格、歪んでる人ばっかり」

「…………否定できんなぁ」

「…………いいよ。レウスを逃がすことについては、すぐには難しいけどね。ティガさんも望むなら一緒に逃がすように準備する。ただし、代わりに二人分働いてもらうから」

「俺が働くのか?」


 奴隷なんて……出来る事なら持ちたくない。それでも……この世界で、生きるために、責任を持つ必要があるなら。


 せめて、人道的に扱う。それくらいだ。借金返して、自由にすることが幸福に繋がらない可能性もあるなら……。〈鑑定〉とか、〈解析〉とか、人手が足りない部分で雇うのと同じ。

 冒険者の真似事をさせれば、さっさと借金返せてしまう可能性もあるから、そちらは頼まない。


「そう。考えたけど、私は別にティガさんの能力はいらないから、奴隷とした後もすぐ解放しても問題ない。けど、クロウの能力は薬師として必要になる。今回みたいにね。だから、私が使わせてもらう。一生ではないけど、覚悟してね」

「おや、能力だけかい? 何なら、性奴隷にしてくれても構わないが」

「別に早めに借金返すために男娼したいなら止めないけど? 私は相手しないけど、その顔なら需要あると思うよ。私は、素材について特徴や効果を紙にまとめる仕事頼みたい。あと、長期で採取に出掛ける時の店番? 店は持ってないんだけど」

「それは……奴隷と雇用の区別ついてないんじゃないか?」

「そもそも、美形の男を沢山侍らすとか、無理だから。男の人はハーレムとか好きかもしれないけどさ……私はお互いに尊重できる旦那が一人いればいいかな。肝が小さいんで、美形は遠くから見てれば十分。目の保養ではあるけど、近すぎると胃もたれしそう」


 それに、契約はまだだけど、すでにその一人も決めた。恋愛ではないし、打算しかないけど……兄さん達と一緒に居たいという思いもあるけど……ラズ様の庇護がないと、貴族に対抗できない。

 ラズ様の手を放した時、それは私の身の安全は無くなる。危なっかしいと言っていたけど、多分、本当に危険域だと判断したのだろう。命令に背いても契約を解除しないだけの、何かがあったと考えた方が良さそう。


 それに、私だけではなく、兄さんもナーガ君も……まあ、クロウ達も危険にさせてしまうだろうから。ギルド長にはラズ様の手を放すべきって言われたけどね……現状、無理だと判断した。


「残念だな。あんたは嘘をつかないな……本気で言ってるだけに性質が悪い」


 性質が悪いって私が? こっちの方がそれを言いたいんだけど? 

 というか、普通に人の発言の嘘とかを確認しないで欲しい。そんな能力使ってたら、病むと思うんだけど……。

 

「とりあえず、兄さん達に連絡とって、帰ってきてもらうよ。それで、レウスを連れ出してもらって、旅先で別れるなり、新しい場所探すなりしてもらえばいいんじゃない」

「兄さん?」

「そう。同じように師匠の養子に入ってる、兄達がいる。しばらく王国内をふらふらする予定と聞いてるから、寄れるときに寄ってもらう。レウス一人で追い出すよりはその方が安心できるでしょ? 兄さんはともかく、ナーガ君は面倒を見てくれると思うから」

「信頼してるんだなぁ。羨ましい限りだ」

「……とりあえず、ゆっくり休んで、やりたいこと見つけたら? お金返さない限り私のモノだし? 思い詰めなくても……貸出とかしないで傍に置いておくから」


 私が死ぬか、借金を返すまでは、その能力を嫌な事に使わなくて済むように……正直、それくらいしか出来ないけどね。

 いや、そこまでしてやる必要あるかと言えば、無い気もするけど……。結局、甘いんだろうな。

 

「俺が立ち直るまで、あんたが守ってくれるのか?」

「別に。私は嘘発見機の部分は必要としてないから。でも、私も薬師として……貴重な素材だけを使って貴族しか助からない薬作るより、師匠みたいに普通の人助けたいと決めたんだよ。だから、〈診療〉や〈解析〉〈鑑定〉ができるその能力に期待する。人助けになるし、組織に属したくないなら、悪くないでしょ?」

「そうだなぁ……それもいいか」

「嫌になったら逃げだせば? 別に借金残ったままでも、追いかけたりしないから」

「……それは残念だなぁ」


 何が残念なんだか。お金に困ってるのは事実だけど、べつにお金目的で助けたわけじゃないから、逃げても気にしない。それに、称号は普通には確認できないのだから、大きい街に近づかないなら、問題無さそうな気がする。……あくまでも、貴族にバレなければだけど。

 

 とりあえず……レウスとも話すか。まあ、方針は決まったが、嫌がりそう。


「じゃあ、私はレウスと話をしてくるか」


 あとは、ティガさんを何とかしないと……目が覚めてくれればいいんだけどな。

 あ~同じ説明をレウスにするのも、気が重い……。最初に説明しないで、後から説明で、内容が奴隷って詐欺と同じ?

 悪徳商売だよ……そんなつもりなかったのに。


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