記憶保持者?

「天命で済むのであればいいですよ。

俺は…。

……ずっと昔に…。

いや……。」


「どうした?ずっと昔?」


「何か…忘れてる?」


「……ん?稀にいる記憶保持者の可能性があるな。」


「記憶保持者?」



また突拍子もないことを言ってくるなぁ……。

父さん色々知りすぎじゃないか?

いいのか?そんな人が辺境なんかにいて?



「あぁ……。

前世って言われるものらしい。

1つ前の前世であったりはるか昔であったりするらしい。

人それぞれ違うらしいとしか知らないけどな。

俺のじぃさんがそれだったんだ……。

じぃさんは忌み子説があった時代の人の生まれ変わりなんだとは思う。

違う世界から飛び越えてこっちに来て、違う世界での記憶を持ったままだと輪廻転生した記憶保持者とか。

この世界の中で記憶を持って生まれ変わったりすると転生した記憶保持者とか言われてるな。」


「父さんって言えない事を抱えすぎてません?」


「たらればを語るつもりはないが命あるものはいずれ亡くなる。

新しい命として生まれ変わりまた生きていく。

その過程に置いて、ごく稀に記憶を保持してても違和感はないだろうな。

その記憶を悪用するのかしないのかは本人次第だしな。

俺からしたらお前達2人とも、記憶保持者だと言われてもなんの違和感もない。

大人びすぎて7歳児だというのを忘れるからな。

だからついつい大人と話すような事まで言ってしまう。」


「……俺は何を忘れてるんですかね。

モヤモヤするけど気にしない方が良さそうです。

父さんはまだ俺達が子供だということは忘れないでください。」


「痛いところをつつくな!

だが、お前達はこれからさ。」


「それもそうですね。

忘れてる何かを思い出したら言いますよ。

やれる所から片付けましょうか。」


「あぁ…。そうしよう。」



父さんとの話し合いが終わった時ドアのノック音が響く。

父さん以外で俺の部屋を訪れる人物はあと一人だけ。

俺が知ってるだけで来たことは無い。

俺が行ってた側だったしなぁ…。

来たと言う事は片割れの妹についてかな…。

聞きたいことあるし何かあれば父さんが止めるだろう。

少しの沈黙の後入室の許可を出す。



「どうぞ。」


ドアが開きばぁやと呼ばれる人が入ってくる。


「失礼します。坊ちゃん。話がございます。」


綺麗なお辞儀をしたままばぁやは伝えてくる。


「父さんも居るし丁度いいと思いますよ。入ってきてください。」



顔をあげて扉を閉めてばぁやが入ってくる。

テーブルの近くまで来てからばぁやが話だす。



「おやおや…。まぁ…。

旦那様まで居らしてたんですか。

坊ちゃんが気になる事は済みましたか?」


「居たら悪いか?」


「問題などございません。

坊ちゃんと旦那様は仲良くなられたみたいでばぁやは嬉しく思います。」


「そうかぁ…。」



2人の会話はまるで母と子のような…。

俺が知らないだけでばぁやって人は父さんの乳母かもしれない。

なんだか和むなぁ……。

あれが居なければ妹もいてこれが本来の形なのかなぁ…。

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