紙と手紙2

悲観的になる心。

初めて存在を認めた片割れの兄の存在。

ばぁやはきっと私の名前も誕生日も全部知ってる。

ばぁやだけが私の味方だった。

ばぁやが私を7歳まで育ててくれた。

ばぁやをずっと思っていられるものとか持ってきたかったな………。

片割れの兄を思ったり育ててくれたばぁやのことを思い出し考えたりただ命を与えた親より2人の存在だけが私が生きていていい理由にすら思える。



2つ目の封筒を手に取ってみる。

ばぁやじゃないかなって何となく思う。

封筒から紙を取り出して読んでみる。



「……2つ目の封筒に入ってる手紙?何が書いてあるんだろう?」

「"アリアナへ。

守れなくてごめんね。

大切なアリアナ。

貴方が追い出されるという話を少し前から聞いていたの。

だからこっそり鞄を用意して手紙を入れておけて良かったわ。

鞄は御者に渡して置いたのよ。

何も持たずに捨てるなんて事きっと奥様はするだろうからね。

今これが読めてるならちゃんと届いたかしら?

アリアナ……。貴方のお兄さんの名前はアトラスって言うのよ。

双子が忌み嫌わるなんてそんなの信じてるの奥様とその人の周りだけよ。

貴方達2人を旦那様の周りとばぁやは大切に思っていたわ。

2人の名前は旦那様がつけたのよ。

だから旦那様とばぁやだけはいつまでもあなたの味方よアリアナ。

旦那様はね…。

アリアナに奥様が行かないようにずっと知らない場所で貴方を守ってくれてたのよ。

貴方が捨てられるなんて旦那様知ったら暴れるんじゃないかしら。

奥様の独断だと思うからね。

いつか時が来たら旦那様と坊ちゃんとばぁやがアリアナを迎えに行くわ。

だから生きてアリア。

貴方は私の大切なお嬢様なんだから。

生きてまた会いたいわ……。

旦那様は私にとってはいつまでたっても坊ちゃんだけど大切な貴方達2人も居るのよ。

ちゃんとしてもらうわ。

アリアナ……いいえ……アリア。

貴方は周りの事も産まれた場所も何も知らないし分からないと思うわ。

旦那様の屋敷はね。

国と他国の間の領主なのよ。

少し裕福な家庭って私は教えたけど他国の侵入を防ぐのが貴方が産まれた家なのよ。

きっと奥様は他国との間の森に貴方を置いていくでしょうしね。

向かってきた時とは逆に進みなさい。

きっと貴方を救ってくれる人が居るかもしれないわ。

信じれる人とあったなら最後の紙を見せるといいわ。"」



なんとかばぁやからの手紙?を読み終えた。

まだ読む紙はあるんだけど……。



「ばぁやが鞄用意してくれたんだ……。

だからばぁやの手紙がちゃんとあるんだ……。

お父さんに守られてたって初めて知ったけど…。

そっか………名前お父さんがくれたんだ……。

知ってるのかな?

名前って初めて親が子にあげる愛情なんだってこと。

前世でそう言われてたってだけだから知らないかも?

なんてね……。

この世界の事私知らなすぎ……。

俗に言う世間知らずってやつなのかも?」



楽観的に考えるのはきっと元からの性格のせいかななんて思う。

前世の私って楽観的でも事勿れ主義でも無かったしね。

ほとんど思い出せなかったけど楽しかった事と周りの人に愛されまくってたって事となんでも自分で完璧にこなしちゃうし友達も数人信用できる人しかそばに置かなかったりしてた事くらいしか分からなかった。

経験は知識として今も残ってるし大切な物だと思うくらいかな……。

前世の私って結構ドライな人だったのかな?

よく分からないや。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る