紙と手紙
鞄のポケットをガサゴソを探ってみたら……やっぱり入ってる!
紙と封筒を発見した……。
「2つあるって事は……荷物の説明と別れの挨拶的なやつかな?」
いつまで生きていたかも分からない前世の記憶が戻ったら普通の7歳児には思えない思考回路と話し方になってる気はする。
誰もいるわけないじゃ無いしもし誰かに出会うことがあればそん時に言い方も対応も変えればいいかな……。
偽るの好きじゃないから全部ひっくるめて私って事で受け入れてもらおう。
親にまともに相手にされてなかったから大人びるしか無かったとか思われた方が得かもしれないし。
そんな事を考えながら紙を開いて読んで見る。
「まずは紙の方を読んでみよ!
何が書いてあるのかな?」
「"わたくしの娘だった貴方へ。
わたくしには息子しか要らなかったのに貴方を今の今まで生かして居たとか忘れたい。
一応貴方が生きて困るだろうから誕生日と名前だけは教えてあげるわ。
名前はアリアナ、誕生日は11月3日。
それだけ知ってれば貴方がどこでどう生きようが興味もないわ。
勝手にそこら辺で生きなさい。
国を出て行ってくれた方がありがいとすら思えるわ。"」
読み終えたけど………………。
なんか……こう…。
「…………クソじゃん!!!!!
名前と誕生日に関しては感謝するけど!!!!
一度も呼ばれた事も無いし!!!!
誕生日今知ったけど!!!!
7年間一度もお祝いされてませんけど!!!!!」
盛大に叫んでしまった。
だってあまりにクソすぎる内容!
双子でここまで格差出るんだ……。
母親だったらしい人からの手紙?というか紙1枚だけど!
それでも何故か寂しさが込み上げてくる。
「私……要らない子だったんだ……。
ばぁや以外と関わった事無かったもん……。
あの家にいて私の存在はばぁやしか知らないままで……。
双子って不思議と相手の存在理解出来てるってのは今も感じるけど知らない人だし……。
呼べるなら呼びたかったなぁ…………。
お兄ちゃんって………。」
そう思って口にしたら悲しくて、寂しくて、存在するのを確かに感じる心地良さで目から涙が零れていた。
兄という片割れに寄縋る事も出来ずただ1人で知らない所に捨てられ、もう片割れに会えないんだと思った途端涙が溢れて止まらない。
「………うっ……ん……お兄ちゃん……。
会いたかった………。
私の家族……。
私のただ1人のお兄ちゃん……。」
泣きながら零れた言葉はかき消されていく。
涙を拭いてもう1つの封筒を意を決して見ることにするけど。
やっぱり思ってる事を吐き出してからにしようと見るのをやめる。
「………お兄ちゃんの事思ったら涙が止まらなくなるとか……。
いくら前世を思い出したって子供なんだな……。
前世で兄妹っていなかったから仕方ないのかも。
やっとできたお兄ちゃんという片割れの存在が私の中にはあるし……。
それだけで良いかな?
片割れのお兄ちゃんが生きてるって分かるだけ私は私で居られる。
そんな気がするから。」
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