更なるノンフィクションホラー

崔 梨遙(再)

1話完結:900字

 それは、僕が中学2年生の夏。僕は級友の吉武と中橋と一緒に、3人で中橋の叔父さんの家に行った。家に用があるわけではない。叔父さんの家は大阪府内だが田舎なので、近くに綺麗な川がある。僕達は、川で遊ぶのが目的だった。


「日帰りやから、朝早く行って、少しでも長く遊ぼう!」


 と、中橋が言うので、僕等は早朝から電車に乗った。朝早く中橋の叔父さんの家に着いた。そこで着がえさせてもらい、荷物を置かせてもらい、いざ、川へ。


 ビックリするほど水が綺麗で、ビックリするほど水が冷たかった。僕等は川で遊び始めた。そして、僕は見た。川の中州のあばら骨。僕は嫌な予感がした。


「もっと、あっちへ行こうや-!」


 僕は、2人を誘導しようとした。だが、吉武も気付いてしまった。


「あれ、何やろ?」


 吉武が中州へと駆けた。僕達も追いかけた。そこにあったのは、やはりあばら骨だった。ああ、関わりたくなかった。


「これ、本物やろか?」


 吉武が呑気な声で呟く。イライラしながら僕が答えた。


「白骨死体やけど、太腿の肉とか残ってるから本物やろ」


 巻きこまれた僕は不機嫌だった。


「これ、自殺かな? 事件かな?」

「首から上が無いやろ? 事件に決まってるやんけ。自殺で首は無くならんやろ。中橋、叔父さんを呼んで来てくれや」


 僕が冷静だったのは、首から上が無く、ほぼ白骨化していて恐怖を感じなかったからだ。あばら骨など、プラスチックに見える。


 中橋の叔父さんに見て貰い、中橋の叔父さんが警察を呼んだ。警察が来た。なんと! 新聞記者も来た!


「君達が第1発見者?」


 新聞記者が話しかけてきた。


「はい、そうです」

「中学生?」

「はい、中学2年生です」

「明日の新聞は、“お手柄3人組”で決まりやね」


 マジか! これはお手柄なのか? ああ、そう言えば或る映画でも“死体を発見したら英雄になれる”と言っていた。僕達は写真を撮られた。



 翌日、写真も載らないような小さな記事で、死体発見について書かれていた。僕達3人のことは、何も書かれていなかった。僕達は英雄になり損ねたのだった。







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更なるノンフィクションホラー 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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