弱小貴族に転生したアラサー、ゲーム知識を使って魔法を極めてみることにした~のんびり貴族生活を謳歌したいだけなのに、誰も放っておいてくれない件~
夜分長文
第1話 俺、転生したんだった
「思い出した……! 俺は転生したんだった……!」
習慣であった読書をしていると、突然前世の記憶が芽生えた。
本を閉じて立ち上がり、俺は周囲を見渡す。
ここは俺の部屋だ。
どこかファンタジーチックな内装をしている――が、それは当然である。
なんたって、ここは俺がやり込んだギルティー・ファンタジアというゲーム世界そのものなのだから。
「どうしたのかねキクリ!? 何かあったのかい!?」
突然俺が叫んだものだから、慌てた様子の父親が部屋に入ってきた。
「な、なんでもありません父上。少し寝ぼけてしまっていたようで……」
「そうか……! よかった……お前は唯一の息子だからか、私も心配性になってしまっていてね。そろそろご飯だから部屋から出てきなさい。待っているよ」
「はい! すぐに向かいますね!」
そう言うと、安心した様子で父親は扉を閉じた。
彼はトール・アルベルト。辺境に位置する男爵領の領主だ。
貴族……と言っても、ゲーム設定的には弱小貴族と呼ばれていて、決して裕福な家ではない。
ゲームの攻略本には端の方におまけで載っている程度のキャラだ。
そして――俺、キクリは攻略本にすら載っていないキャラである。
つまりはモブ中のモブである。
「しかし……中身はアラサーなのに、こんな若いキャラの体に転生するだなんて少し驚きだな……記憶によると……15歳か」
アラサーのおっさんの転生先が15歳の少年って少しギャップがすごいな。
しかし悪くない。俺はあまり目立つのが好きじゃないから、主人公とかに転生した頃には人と関わる機会がありすぎて死んでいただろう。
そもそも俺的には、今作の主人公は少し悪ノリが酷くて好きになれないし。
「でも……最高だ! 昔から憧れてたんだよなぁ、ゲーム世界に入って気ままに過ごすのとか」
俺は夢が叶った喜びを噛みしめながら、虚空に手を差し出して見せた。
すると、目の前にステータスが表示される。
――――――――――――
名前 キクリ・アルベルト
レベル 5
HP 10
MP 10
所持魔法 なし
――――――――――――
うっわ……少しドキドキしながらステータスを開いてみたが、レベルも低いし所持魔法もなしか。
ほぼほぼ初期ステータスといったところである。
とはいえ、最初からチートステータスというのも面白くないから悪くない。
弱い状態からどんどん強く育てていくのがゲームの醍醐味である。
「よし……! せっかく転生したんだから、魔法を極めてみるか!」
俺はそう言って、拳をぎゅっと握った。
まずは簡単な魔法から試してみよう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あとがき
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