俳句のコツ その3




 今回も俳句のコツを紹介します。

 コツについては今回が最後です。⬇️


 ◇


 ⚫︎七、三段切れに注意する。

 さて、三段切れとはどんな物でしょう? 少し解りづらいので、例を上げます。


 綾波と

 チェロ組曲と

 カシオぺア


 寒椿

 小窓に雫

 うどん食う


 秋夕焼あきゆや

 原付バイク

 赤い猫


 上記の俳句はみっつとも、三段切れが発生しています。つまり失敗の例です。上五、中七、下五で意味が繋がっていません。

 もう、お分かりと思います。

 三段切れとは、上五、中七、下五で文章的に意味が繋がっておらす、言葉を三つ並べただけ。みたいになることを言います。

 なので、秋夕焼けを俳句として成り立つように添削すると……、


 白猫も

 バイクも染める

 秋夕焼あきゆや


 みたいになります。上手か下手かはともかく、少なくとも三段切れではありません。

 上五で〇〇や〜 と詠嘆えいたんした場合は文章の繋がりが一度切れてしまうので、その時は中七、下五を繋いだ一文にして、三段切れを避けましょう。三段切れは初心者でもすぐ気づくミスな上、美学を疑われかねない表現です。よっぽどの狙いがない限りは、避けた方が無難だと思います。


 ◇


 ⚫︎八、字余りは上五でやる

 俳句では、詩性を優先するとどうしても字余りになってしまう事があります。絶対に字余りしてはいけない、ということはありませんが、俳句として綺麗な形に収めるには、上五を字余りさせる形にした方がスッキリします。

 なので、字余りが発生する場合は、語順や言い回しを工夫して、なるべく上五でやりましょう。


 例

 別離の秋夕焼け

 遠ざかる背を

 尚紅く


 みたいな感じです。

 一般的にも、上五の字余りは許容されやすいようです。あくまでもそういう傾向がある、という話ですが、美学があるならなるべく気をつけた方がいいかもです。


 ◇


 ⚫︎九、美学ダイジ! (>_<)

 これは個人的によく思うことです。

 要は、あまりにも簡単に俳句のルールを破られまくると、時々、読者的にイラッとする。ということです。

 勿論、俳句は字余りとか破調とか、少しならルールを破っても許容される場合があります。それは相応の詩性が伴っており、詩性を優先するうえで仕方がなかったのだろうなと、察する余地があるからです。破調や字余りでありながら高く評価されている俳句も多いですね。

 ですが、甘え過ぎもよくありません。俳句を真剣に作っている人たちは、極力ルールを守っています。破るにしても、破るなりの美学を持っていたりします。

 例えば、どうしても一七音を超えてしまう場合には、上五で字余りさせて、中七と下五のリズムは基本系にする。

 とか、

 破調になってしまう場合には、せめてしっかりと季語を立てて一七音の音数も守る。

 とか、

 ルール破るなら、ルール違反は一句につき一つまでにする、とか。

 ここら辺の美学については、連作俳句では当然チェックされると思います。もしもコンテストに作品を出すならば、あなたの俳句をチェックするのは、真剣に俳句と向き合ってきた人たちです。美学を疑われたり、イラッとされないように気をつけましょう。

 あ、僕の俳句も破調が多めだったりします。ただ、やはりルールを破る時は破るなりに、美学に沿ってやっています。僕の場合は、極力季語を立てて音数を守るようにしています。これまで二百句ぐらい詠みましたが、二つ以上ルールを破っている俳句は、二句か三句ぐらいだと思います。それも、よっぽどの情熱を込める渾身の一句に限ってのことです。

 これから俳句を詠んでみたい人は、自分なりの美学を持って、それを大切にしてゆきましょうね。

 まあ、多少破調多めだとしても、せめて半分ぐらいは基本系に収まるよう、なるべく工夫したほうが良いとは思います。


 ◇


 ⚫︎十、季語を説明しない。

 これは前にも触れた注意点です。

 コンテストで選考をされる方の注意点にもありましたが、季語を説明しただけの俳句は面白くないようです。季語特化型の俳句を詠む場合は、ただの説明にならないように気をつけましょう。

 ただの説明になると不味い理由を、例を参考に解説します。


 例一

 恋猫や

 チュールが好きで

 ふわふわで


 これは失敗の例です。

 理由は、猫はそもそもチュールが好きでふわふわなものだからです。「恋猫」という季語に全ての要素が詰まっているので、他の全文がいらん! ということです。しかも季語が活きていません。


 例二

 悠々と

 空をはためく

 鯉のぼり


 これも失敗の例です。

 もうお分かりですよね? そう。鯉のぼりは悠々と空をはためくもんだからです。季語以外いらんやつです。しかもありきたりです。

 説明にならない為には、鯉のぼりのに収まらない(イデアという言葉がわからない人はごめんなさい。説明が長くなるので調べてください)要素を入れると良いでしょう。


 デカすぎて

 犬吠えまくる

 鯉のぼり


 みたいな? まあ、品性とか完成度はともかく、少なくとも、ただの説明ではありませんよね。ふふふ。




 


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