俳句のコツ その1
ここからは、よい俳句を作る上での注意点を紹介します。※何事にも例外はあるので鵜呑みは禁止。
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⚫︎一つ、季語を大切にする。
俳句は季節の移ろいと、そこにある感情を詠みます。季語は尊重して、極力、主役になるように配慮しましょう。これ本当にダイジです。
まずは〝季重なり〟について。
季重なりは、一つの俳句に季語が複数入ることをいいます。季重なりがあったら、普通、その俳句は失敗していると考えます。読者が混乱してしまうので避けましょう。
上級者が敢えての季重なりをやる場合もありますが、それは初心者や中級者にはミスと見分けがつきません。なので、達観するまでは季重なりは避けるのが無難です。
〝季語の鮮度〟にも注意しましょう。
季語の鮮度とは、俳句における季節の重みを意味します。回想によって過去の季節を詠んだり、写真や絵画に写る季節も新鮮とはいえません。過去の出来事を詠む時は、過去であることを伏せ、今の描写として描いたほうが得です。
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⚫︎二つ、発想を飛ばす。
発想を飛ばすとは、ありきたりな俳句にならないように配慮することです。
卒業式は寂しくて当たり前だし、娘の嫁入りも寂しくて当たり前。そういった誰でも感じる、考えるようなことをろくに工夫もせず詠むのは、あまり良しとはされません。よくある素材を扱う場合には、なるべく視点を工夫したり、着想に気を遣いましょう。ありきたりな事の中にある異質さに目を向けるのはアリです。
ありきたりだと、盗作まがいなことも起きがちです。俳句は一七音しかありませんから。発想を飛ばさなければ、過去に誰かが詠んだ俳句と一言一句違わないものが出来上がる。なんて事もしばしば起きます。本当にあります。発想を飛ばしてもたまに起こります。なので、オリジナリティには極力気を使いましょう。
ちょっと怖い話をします。
誰かの俳句を読んでいて一番アイタタタ、となるのは、主に発想についてだったりします。本人は発想を飛ばして凄く詩的な表現をしてるつもりなんだけど、第三者が読んだらめちゃくちゃありきたり。みたいなのが一番恥ずかしいのですが……これがけっこうありがちです。僕もやらかしてないか背筋が寒くなります。あれ。なにか深々と刺さってるぞ? ブーメランだ!
大出血。ぐふ。
なので、発想や着想については本当に工夫した方が良いです。工夫しても工夫したつもりにならず、常に自問するぐらいが丁度良いです。表現者にとって、才能の底を見透かされること程、怖いことはありませんから。上手な人の俳句は、発想の段階でもう詩的だったりします。
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⚫︎三つ 皆まで言わない
花は散るもの、ご飯は食べるもの、魚は泳ぐし鳥は飛ぶもの。それをくどくど説明しない。と、いうことです。服は着るし、写真は撮るものです。
例えば「紅茶」を描く場合は、いちいち「紅茶を飲む」とは説明しません。文字数的にも無駄です。
無駄を積み重ねるよりも、読者の想像力を信用しましょう。紅茶を扱う場合には、飲むとか説明するよりも味や匂い、色について語ったほうが得です。
例一
紅茶飲む失恋の日に落ち葉舞う
これは失敗の例です。
飲むとか舞うとか、説明的な要素が多いですね。しかもありきたりです。もう、我ながらイラッとするレベルで酷いです。
例二
失恋の紅茶の苦味秋深し
コツに留意して詠むと、このようになります。無駄を省いて、〝失恋の紅茶の苦味〟という感覚そのものが、季語の「秋深し」を引き立てる形に焼き直してあります。
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今回はここまでです。
次回もコツについて進めてゆきます。
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