第238話 浮世音楽堂(2)
希代の魔術師と戦うには、考えなしに挑んだとしても勝負にはならない。世界に対して
そして、その間にできること。やっぱり地道というか、近道はないというか、私とうい、そしてアオくんの力の底上げだった。
「私のレベルいま471だけど、アオくんって今いくつなの」
「到達するまで黙っているつもりでしたが、今の状態では隠しておく意味もないので言ってしまいますが、実はレベルという表記は999で終わってレベルという概念から外れるんですよ。その先はギルドランクのみ残るんです。だから、実は僕もイオもギルドには加入していないので測る指針はなくて、しいて言えば『対象外』?でも定期的にスキルポイントもあがってるので、ステータスとして数値化されてないだけなんじゃないでしょうか?」
「要するに、レベル999までがチュートリアルってこと…?でもこの世界の人殆ど999到達してないんじゃ…」
「達してないですね。レベル999のその先があると思ってない人もいるかとおもいます」
「私は今回ユウと冒険体験をするために必要かとおもってギルドに加入したけど、別にあってもなくてもだよ、ギルド」
「実はギルドって社会貢献できる程度の指標みたいなものですからね」
「それなのにあんなスキルランク制限されたの私!」
レベルがあがりすぎたけどギルドランクが足りないからって色々なスキルがとれなかったことを考えると微妙に納得がいかない。この世界のシステム組んだ人に文句を言いたくなるけどいるんだろうかそんな人。
「思いつくまま取り返しがつかないスキルの取り方とかしてしまっても今はリセット機能がなくてね、そうなると育成指針をギルドに加入することで立てくれている、と思えばありじゃない?変な取り方をして困るのは自分だろううし」
「とりあえず俺たちのいた世界で空想の生き物だったアレを倒せば一発で冒険者ギルドSランクだったからな、料理人は免許皆伝?色々あるんじゃないか?研究者ギルドだったらリサーチャーとかプロフェッサーとか。商人もきっとなんかあるよな」
兄さんは『ドラゴン』討伐について天くんに気を使って濁して言ってるけど、まあ、その内気づきそう。ただ、ウララさんを見るに誘拐犯が討伐されても何とも思っていなかったようだから、大分類「ドラゴン」だとしても色々あるのかもしれない。
「みんなに与えられている【ステータスボード】にしたって、どこからどういうシステムできてるかわからないし、でもよくわからないものといえば私の【無限フリースペース】もそうだけど、大概便利すぎるよね」
「その内解明されるのか、ずっと謎なのかはわからないけど、こういうステータス表記がされるようになったのは何百年前だったかな?それまでは特に何もなかった。この【ステータスボード】が生えてきたからギルドというシステムが稼働しだしたというか。因みに私は全く関与してない。今も多分悪用を避けるためかはわからないけれど、一体どこからきて誰が管理してるのかは私の力をもってしても秘匿されているからか全く分からない。でも誰も特に疑問に思わずに使用しているシステムを構築リリース、アップデートをするって普通じゃないよね」
救国の魔法使いさんはなんか随分丁寧に、いろんなことを教えてくれる。スカッと端的に発言するだけの魔女さんとは対極みたいな感じだけど、やっぱりこれ、私が兄の妹だからなんだろうなあ、と思う。この人興味のない相手にはゴミカスみたいな扱いしそうな感じが、ものすごく、する。見たわけじゃないけど。
「チーズさんって『異世界の君』として呼ばれているから、もしかしてその『システム』あたりにもその内アクセスすることがあるかもしれないですね。むしろそうあってほしいですよ、世界の解明!みたいに」
「期待に応えられるといいな…わからないけど…でも世界の謎解明しちゃったらつまんなくない?」
「むしろ僕は知りたい派ですよ」
期待に溢れた顔を向けてくるアオくんの世界解明欲に巻き込まれる未来が見える。いや、私も知りたくないわけではないけど。
「ところで話は戻るけど、レベル999で終わりってそれ以上の桁の設定が【ステータスボード】で設定されてないだけってことないよね?!」
「そんなシステムの不備みたいなこと言います?」
「そのうち突然実装されてレベル判明!とかありそうじゃないこれ。どうも定期的にアップデートされてるみたいだし」
「たまに1日メンテナンスで動かない、とか新規実装!とかありますけど」
やっぱり、OSのアップデートみたいなことあるんだ。
「私が知る限り、完全に内容が変わるような【ステータスボード】の更新は過去50回はあったとおもう。誰がやってるかしらないけど、時代にあわせて内容更新していくのってすごいよね」
「俺の前にいた世界でもあったけど、そこのはもうちょっと簡易的だった。前のがゲーム画面だとしたらここの世界はパソコン化スマホか、タブレットか、っていうぐらい細かくて便利だな」
その言葉に満面の笑みをこぼす魔法使いさん。
「私の世界が褒められるって、嬉しいですね!あ、褒められついでにチーズさん、アオくん、そして天くん」
「はい」
「ちょっと行ってきてほしい国があるんだ」
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