第220話 密室ノ会・祈(13)
一週間の間、勉強に重きを置くことが出来、持ち帰った本についてもかなりの勢いで読んでしまい、本当に睡眠時間が削られたけれど、知らない世界を知ることは、楽しかった。
「
ばればれか。
「わかりました!そんなにわかりますか…」
「眼が疲れてるようだし、ニキビも出てるし」
「あとで治しておきます…」
「いや、そういう意味じゃなくて、わかってていってるだろう」
「バレましたか」
でもほんとうに睡眠欲に知識欲が勝ってしまったんだよなあ…。そんなことを考えているうちに、図書館につく。また、手をひらひらさせながらコウコさんがこちらを見ている。
この図書館はたまに調べものにくる職員がいるぐらいで、今日で5日目だけど、人をほとんど見ない。
「オサムさん、ありがとうございました。また、よろしくお願いします」
「君みたいな子なら歓迎だよ。また」
「おーおー、今日で最終日か。溢れる知識欲を満たし続けるのであれば永久パスをださないでもないがどうだい?」
言っていた先からコウコさんから提案があった。横でオサムさんはあちゃーみたいな顔をしている。
「ありがとうございます、これからここで学んだことを活かして、やらなくてはいけないことがあるので、それが終わった時にまた、よろしくお願いします」
「そっか。なにか活かせそうかい?」
「かなり。僕、双子の弟がいるんですが、その弟に伝えたらよい学びもありました。ここは本当に知識の宝庫ですね」
「そうだろそうだろ、この国の歴史が詰まった自慢の図書館さ。見てのとおり、この図書館という別棟は地上2階建て、地下3階まで広がっているからね。まあ、君が5日間で拾えた知識などここの1%未満だろう。それでも、本選びのセンスはあるから一般の人よりは吸収できたものが多そうだ。そして君が言っていた魔力を使っての本の探知、今からやるかい?今なら人が少ないし、影響もすくないだろう」
「わかりました」
そこでオサムさんは「そろそろ業務に戻らなくては。またな、少年」といって仕事に戻っていった。逆にコウコさんは、「ちょっとまってて」と言い、何かしらのスキル、多分僕の理解の及ばないスキルを使って何かを開始した。使っているのはステータスボードと本、しかもなにか普通の本ではなくものすごく魔力を感じる。魔力の方向指示や増幅に使う「杖」と似たようなものだろうか?でも異なるプロセスが組まれていそうな感じがあるような、なんだろう」
「よし、お待たせ」
何かの準備ができたようだ。なんとなく図書館全体に結界が張られたような、そんな感じがする。
「今使っていた本、何ですか?」
「ああ、これは企業秘密、ではないんだが、この国の保有するレア本『結界』だ。君ならなんとなくわかるだろうけど、この図書館で魔力を行使すると、その魔力に反応する本がある。君はまだそのクラスの本に触れるには早いからな、除外する結界を事前に張らせてもらった。あと、魔力を使ったことを王宮のみんなに察知されるからな?それを防ぐためでもあるんだよ。悪く思わないでおくれ。まあ、君のことだ、そのうち限定解除の資格も得るだろうよ…しゃべりすぎたかもしれない、適当に流しておいておくれ」
「わかりました」
現状僕が『凍結の魔女の弟子』とは知られてはいない。ただ、『救国の魔法使い』の縁者、とは思われているだろう。また、亡国となっている『ナット王国』に身を寄せていることも知られることはない、だろう。別に隠し立てするつもりはないけれど、ここに世界の双璧であるあの当人たちを連れてこない限り理解はしてもらえないだろうし、今ここでは僕1人の力として判断してもらえるだろうから、それはそれで良いと思う。
「碧生、ここに立て」
そう、コウコさんに指示された場所は、図書館の真ん中、吹き抜けとなっている場所の中心。床のタイル模様が陣になっているような?
「魔法はどうやって使ってる?杖か?素手か?」
「どちらでもいけますが、杖で増幅するとまずいんですよね?」
「その通り。たまに、杖がないとだめだ~!!!とか言う人もいたりするからさ。で、ここで使うのは『探索:初級』の魔本だよ。」
そう言うとコウコさんは口角をあげた。
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