第130話 シラタマ/妖怪と怪異と魔物たち(2)
兄さんに呼ばれ、兄さんたちが拠点としている国に船旅でやってきた。
なんというかジャポネスクな街でびっくりしたが、入国してここが
そして今回はとある人物を兄のところに送り届けなければならない使命がある。そう
「ぼくのあるじにまだ会えないんですか。ぼくにすごく似ているんでしょう?」
「もうちょっとであえますよ。」
「あおあおも楽しみ?」
「僕はこの国が初めてだから楽しみだよ~」
結果、アオくんが天くんの面倒をみているのだけど、アオくんが竜種に負けない強さを誇るため、振り回されることもなく、抑えが効いている。
例の脱走事件からだいぶ成長し、心と体のバランスが前よりは一致してはきているものの、まだまだ天災っぷりは健在。
そして、相変わらず姉弟扱いされ、温泉地でも同じ部屋を案内されているが、洋室が3つ、それぞれベッドが1つずつある部屋なので結構快適。やっぱりアオくんと天くん、どちらも黒髪であること、天くんは兄に瓜二つなため、真ん中に挟まれるアオくんまで兄弟のように見えるらしく、血縁のない弟が突然二人現れたみたいな。ちなみに大浴場とかも天くんをアオくんが連れて行ってくれていて、大変助かりすぎる。
◇
待期期間が終了したため、兄とアオくんが通話をして迎えに来てもらう算段をつける。シラタマの王城の人がくる、らしい。兄自身は今日が営業日であるがために人を差し向ける、とのことだったけれど、兄の説明によるとなんか平安時代の人みたいなのがいったらそれとか言っていた。ざっくりだ。
約束の転移スポット前で待っていたら、確かに、なんか、本当に真っ赤な狩衣のようなものを着た人が現れた。
この人だな、とはおもったけど本当にびっくりした。
シラタマって、本当にネオジャパンの様相を呈しているじゃないの。
「チーズ様ですね。ユウ様から頼まれまして、お迎えにあがりました。」
「ありがとうございます。私がチーズ、こちらがアオくんと、天くん、そして愛犬のういです。」
「承知しました。これから王都へ案内しますね。これからワープを使用しますが、愛犬様は抱いてワープにお入りください。」
なんか、エレベーターには犬は抱いて乗ってねぐらいのノリだぞ。
そして転移した先は、シラタマの王城近くにあるギルド受付所の隣だった。理由を聞くともし待期期間を待たずに入った輩が居た場合冒険者ギルドの人間が全力で取り押さえるがために、冒険者ギルドの横に転移スポットをつくったそうだ。
「お兄様のお店、大盛況なんですよ。一度私もイチゴ味の牛乳を飲ませていただきまして、本当においしかったんです。今となってはお兄様がおつくりになられる茶菓子は王城内で御用達となり、来客が来た際のお茶請けとして使わせていただいています。」
「王室御用達!私も食べさせてもらったことがありますが、美味しいですよね。」
「正直いって、癖になります。」
「わかります、わかります。」
その後親切な王城の職員さんに案内され、兄の店の前についた。が、意味不明なぐらいの行列ができていた。
今は大体九時半ごろ、まだ、開店前のはずなんだけど。そして、その行列の先頭が気になりすぎるが、職員さんに促され、店内に入る。そうすると兄と魔法使いさんが開店準備がおわったからか、職員ミーティングをしていた。お邪魔をしてはいけないので、出入り口付近で待機する。
そしてミーティングが終わったと思ったら兄と魔法使いさんがこちらに駆け寄る。
「おは!そしてありがとう!」
「ミアカの給料日3日後でしょ。ちゃんと来たよ。」
「今回は俺が給料の分配してくるな。そしてちゃんとお礼してくるわ。」
「ありがとう!よろしくお願いするね。」
「私も今回同行して手伝いにいってくるよ。」
魔法使いさんも兄にもちろん同行するらしい。なんか、言ったら大体なんでもやってくれるという救国の魔法使いさん。ありがとう。
「で、兄さん、この店員さんたちの衣装なに」
ミルクスタンドではなかったのか?と言いたくなるような衣装の店員さんのいでたち。
「見てのとおり、メイドとギャルソンだよ」
「どういうコンセプトなのこの店」
「白黒だろ?ホルスタイン」
そこ?
そんな話をしているのを、わりとデカいくせにアオくんの後ろに隠れて聞いている、大黒天と名付けられた竜の仔。己ほぼ同じような顔をした主を目視し、隠れて微動だにしない。声をかけるタイミングを見計らっているのだろうか。声をかけてほしいんだろうか。
ちびっこ心的には後半かな?
「で、なんで大黒天くん連れてきているんだ?」
「ウララさんがそろそろ社会勉強が必要になるから、兄さんとこつれてけって」
「ほぼ同時に産まれたほかの4人は」
「今ウララさんの仕事手伝いながら、社会勉強中だよ。このこだけが兄さんの影響受けちゃったらしく、ちょっと特殊にそだっちゃってるんだよね」
「そっか。さて、その話はあとにして、そろそろ開店だ。バックヤードでゆっくりしていてくれ。」
我々は一言も発することなく兄を凝視し続ける天くんを持ち上げバックヤードに移動、レジ打ち・牛乳の提供等、動きをみることとなった。
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