第113話 ナット/食糧難からの脱出(9)
結構順調に苗を植え終わり、みんなで麦茶を飲み休憩する。やっぱり作業の後はミネラル補給。
そういえば、うちって小麦と米は育成可能なものがあったけど、麦は焙煎していない麦ってない気がするので、麦茶滅亡問題だろうか。この世界のどこかに麦っぽいものがあれば、飲めるんだろけど。
時間にしてお昼。今日はみんな作業を頑張ったので、お昼ご飯を食べてあとは解散、自由時間とすることに。
「チーズさん、魔法の分業、1つ1つの作業としては適性のない人は居なかったので、チーズさんが外国に遠征している間もなんとかなりそうですよ。ただ、誰も収穫をしたことがないので収穫時期の見極めの指導はやってくれないと厳しそうです。オレも途中経過は面倒が見れても、収穫の見極めはさすがにできません」
「それはそうだよね。日常の管理はお願いして、定期的に見に帰って来て、都度見方を教えていく感じでいいかな。」
「そうですね。オレも手伝うんで。アオは…まあ、日常のサポートということで。」
ちょっと遠くで魔女さんと話しているアオくんを見遣る。
「どうもありがとう。魔女さんのサポートから畑から生乳のサポートまで感謝しかないよ。」
「そこまで言われるほどでは…」
そこまで言うと、イオくんが顔をそっぽむけて照れている。かわいいじゃないの。双子そろってほんとうに。
「近いうちにキノコ小屋も作ろうと思ってるけど、まだ何一つ準備していないというか、いまある仕事に慣れてもらってから増やした方がいいかなあとおもうんだけどどうだろう」
「キノコ小屋ですか。」
「菌糸を私の世界から持ち込んでいるので、外来種が外にでないように作りたいんだよね。なので、どっかの山の中腹ぐらいにつくりたいんだけど」
「だったら、ミアカでやったらどうです?牛が軌道に乗ったら」
「牛ちゃんも、うまく交配して増やしてあげていんだけど、近親交配避けるとすると、どっかからまた別の農場転写してくれないかな魔女さん」
切実に、違う血のラインがほしい。
「確かにチーズさんの家の子だけだと、問題発生しちゃいますよね。そこどうするつもりだったんでしょうね、■■様は」
「なんも考えてなかったんじゃない?多分」
「そんな本当のことを。」
そういうと、笑いがこみ上げる。そして私とイオくんが楽しそうに談笑していることに気づいた魔女さんとアオくんがこっちに向かってきた。
「なーにを楽しそうに語っておるのじゃ?」
「まーぜーてー。」
「これからキノコ小屋も作りたいって話です。」
「キノコですか!」
「あと牛ちゃんを増やすにはどうしたらいいかの相談です。」
◇
「そろそろ食堂にちびどもを連れていきたいのだがどうだろう」
木の実をモリモリ食べて育つ5匹の竜は、見た目7歳程度に成長していた。5歳までの成長スピードと比べると、少しなだらかになっているようだ。
「我が種族の傾向として、このぐらいで成長は一時的に止まり、3か月後ぐらいにもう一段階育つのだが、一応言語もそれなりに発達してるうえに、人なれした方がよいかとおもうのだが、よいか、チーズよ」
「お子様ランチっていりますか」
「お子様ランチとな」
「木の実というよりは人間の食事なんですが」
そう言うと、ウララさんは微笑みをたたえながら教えてくれた。
「
「では、厨房を借りて作ってみますね。」
ウララ様ご一行の食事時間を確認し、部屋を後にする。
食事時間は今から4時間後、5匹のちびっこ以外は普通に食堂の食事を食すらしい。というか、私が振る舞いを作ったあとから、普通に食堂に顔を出して食していたらいい。
「お子様ランチ」のこんだてで必要なもの、と考えると、旗とオムライスと唐揚げ、豆といもだろうか。あとジュース。ハンバーグや、エビフライとスパゲティは材料がないから無理だな。
「ねえ、ナットって国旗あるの?」
そう、再びついてきているアオくんに聞いてみる。
「国旗はあったのですが、現状はっきり認知できないようになっていますよ」
「じゃあ、今回はお星さまでも描いておいて、次があればその時は5ちびそれぞれに描いてもらおうかな、旗。」
ちょっとアオくんが僕も描きたいみたいな顔をしている気もしなくもないが、今は気にしないいこととする。そして、ちょうどいい時間を見計らい、厨房に仕込みに向かう。今の厨房担当は、背が高く体脂肪率がものすごく低そうな男性アンリとちょっとふくよかな助成ゾエの2人がメインで仕切っていて、モヤからの復活後から食堂を担い、大活躍してくれている。
「チーズさん、子竜ちゃんの食事を作られるんですね。見ていてもいいですか?今後の参考としたいので。」
「いいですよ、どうぞ、どうぞ。」
今回は、ごはんを炊き、ケチャップライスを作る。肉は私が道すがら倒した鶏肉だ。唐揚げができる材料があってよかった。ジャガイモは細切りにして揚げ、フライドポテトを作る。枝豆は私の家のストックを【無限フリースペース】に保管していた分からの持ち出しだ。
ある程度仕上がったぐらいで、ウララさんがお子さんたちと従者を連れて食堂に降りてきたので、窓側の席に案内する。こんな時兄がいればすごくきれいなものをつくるんだろうけど、私は私なりの料理を作ってもてなそう。
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