第53話 ナット/アラユル順応(3)

 何か通じ合った兄がういと家のまわりひとまわりしてくる!と散歩に出ていったので、その隙に家の改造をすすめることにした。

 

 まず電気系統についてはブレーカーのあたりに電気を生む魔石を配備。

 魔法使いさんにコツを教えてもらいながら、魔石から電気系統へ送電できるようなシステムを構築し、電気系統が私の魔力からこの世界の魔石に切り替わった。都市部は大きな魔石からの就業供給が組まれているみたいだけど、ここは周りに何もないため独自に組まないとダメであるらしい。


 「《合成》スキルを持っていてもこの切り替えは割とコツがいるんだけど、初めてとは思えないほど上手だね」

「電気工事士の資格はもっていないんですが何とかなるものですね!」

 電気系統があるのはあとは車庫と納屋と牛舎、チーズ工房かな。いっぱいあった。

 

 次に火、ガスコンロ、給湯器をどうにかする方は大変だった。

 まず、ガス発生魔石のガスの型が私の家の規格にあわない。かつ、火を直接火として使用はしていないので、この場合土系統の魔石と火系統の魔石を混ぜて使うか、その合成をどうした良いかと相談したが結論はでず、プロパンガスをいかにして使用するか、やめるかという話となり、最終的にはレア魔石複製と《定量》の魔石の組み合わせでを当面しのぐという話になった。

 資源の追加ができない都合、複製することが一番の近道、そこに《定量》を加えることで、複製過多を防いでいく方針だ。

 「そのプロパンガス?に近しい合成が可能になるのが一番だけど、地下資源の再現となると結構複雑だから、おそらく君の《合成》のレベルでは作成することはできないだろうね。ランクアップが急務だね」

 「レベルによっては合成可能だと」

「かなり複雑になると思うけどね。そもそも《複製》の魔石はガス・液体にしか適合していかないから、レアではあるけど水のない土地で水を増やすとかそういうことにしか使われていないから、使用されていないものは結構あったりするんだ。」

「じゃあ、ガソリンでも使えそうですね」

 軽油・ガソリン・ハイオクのそれぞれの携行缶は緊急時に備えいくつかはあるのだが、使い終わったら終わり、になってしまうので、農機にしろ車にしろ、燃料がなければ動かないので《複製》可能となるのはありがたい。

 

 次の課題、水はほぼ問題なかった。水道管の大本を魔法使いが見つけ、そこに水の魔石を設置。下水についても下水の到達点に《水浄化》の魔石を配置。上下水道完備の家が出来上がった。

 その他、外で使っている水についても同様に対応。

 

 母屋以外の建物に対して同様に設備変更を施しに行こうとしたところ、牧草地でういと兄はフリスビーをやっていたので声をかける。

 しかし、フリスビーなんてうちにあったっけ?

「兄さん!今ういとドッグダンス練習中だから知ってたら遊んであげて」

「りょ!」

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