第52話 ナット/アラユル順応(2)

 兄のキャラの強さは昔から知っていたし、無鉄砲だったし、だからといって大体成功させていく運気の持ち主なのはよく知っていたのだけれども、まさか、帰ってきていて寝ていたとは全く気づかなかった。

 中学を卒業してから家を出て、その後一度も帰ってこないからあったことがなかったから。

 

 しかし、異世界ときいてあ、そう。ぐらいのテンションで、動じないにも程がある。

 「そういえば大学卒業後家継いでくれるんだった。ありがとなー」

 オレもちゃんと成功するから!ちゃんと!

 ほんとマジでしてちょうだい。でもまあこの場合異世界で、だけど。


 で、今ここナット王国というところに転写されているんだけど、この家のありかたがあまりよろしくないということで、なんとかしなきゃって帰ってきたら兄ちゃんがいたってわけ。元の世界にいた私も兄ちゃんも元の世界にあった家もちゃんと全部そのままあって、ちゃんと生活しているようだから、安心していいらしいよ。

「しかし今度は転写かー。人生生きてりゃなんでもあるな!」

 今度って何。

 

 で、これから俺達は一体何をしていけばいいの。と。

 救国の魔法使いさん曰く、家の状態を最適化するとのことだったのだけれども、今は私の魔力をつかってこの家を維持、水も電気も私の力により維持ができているが、そうなると私がいないとなにもどうにもならないということなので、そこを改造したいんだ、だそうで。


 水属性魔石、火属性魔石、電力属性魔石をサービスだよーと言い、家の中のコンロや電気系統、上下水道の位置を確認。家自体は兄ではなく私に紐づいているから、私が改造工事を行えば、家がこの世界にローカライズされ、異物感があるていどおさまっていくとのこと。

 

 凍結の魔女とその弟子、そんなんだったら、なんか教えてくれよ。と思ったので後で聞いてみたところ、世界も知らないでそんなこと言ったら信じてもらえないじゃないか!と言っていたがごもっとも。突然改造はじめたらさわるな〜ってなるよね。


 じゃあ改造工事中暇だろうから、兄にういを会わせてあげよう。遊んでてもらおう。

 見て〜兄さんが家を出てから飼いはじめたカニ(ンヘンダックス)マホ(ガニーレッド)ロングヘアードのういだよ〜

 と、ハウスから出して兄に渡す。兄は昔家にいたシェパードをものすごく大事にしていたので、犬は得意な方だ。

 

 渡すと同時にういはしっぽぶんぶん、ペロペロと兄の顔を舐めだし、鼻と口を同時に舐めるものだから窒息する〜とか言われる始末。

 その後見つめ合ってたかと思いきやわかったと兄が言い出し、なんか通じたのかわからないけど理由がわからなかった。

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