第37話 ネルド/嵐の日(1)
結局嵐のさなか冒険者の宿へ逃げ帰り、今日一日天気が悪そうなこと、なにより主戦力である武器が消失している状況ではどうにもこうにも戦えないので、午後からは休憩する一日とすることにした。
間違ってもこんな最中、緊急事態なんておきてくれないでくれたまえ。
アオくんと私の部屋に集合し、ミーティングを開始する。
結構さすがに壁が薄いのでナット王国のこと、異世界転写のことなど、この世界で今は一般的ではないことは言っちゃだめという制限を最初につけた。
が、途中で面倒になったといいアオくんが防音壁を部屋張った。そのなりで一体君はどこまで何ができるんだい?
「昨日のプテラ戦の後、ステータス確認しました?」
「いや、まったくしてない」
バトルとファーストダンジョンの疲労が克ち過ぎて顔洗って歯を磨いて軽くスキンケアをしたらそのままスヤっと…
今日やるべきことは今のステータスの確認と、冒険者ギルドミッションの確認。
私がステータスを展開すると、アオくんがフォローパスをつなぎますね~といい、まもなくステータス画面の右上にフォロー:アオとかいてあるようになった。
フォローとは、パーティを組むとレベルにより経験値が貢献度由来で配分される仕組みがあるせいで、高レベル者が吸い取る上に、どちらもレベルがあがらなくなる現象がおこるため、それを解消する世界のシステムとなっている。
高レベル者からフォローすることにより低ランク者のステータスを共有で見れるようになり、また、補助魔法についても野良パーティと違ってかけやすくなること、経験値の9割が低レベル者に流入する、といった新規冒険者応援キャンペーンみたいな仕組となっているもので、レベル差が解消されてくるとフォローが解除され、通常のパーティー編成に自動変更となる。
また、低レベルでもレアスキルやレア魔法等をもっていると食い物にされる可能性があるため、住人全体の1%未満しか保持されていないスキルは許可を行わない限り秘匿される。例えば、私でいうと召喚とか時間干渉などが該当する。
因みに私のステータスは魔女さんと魔女の弟子であるアオくんイオくんにはすでに筒抜けかつ制限もかけていないので、見てもらって方針を立ててもらうことができる。そもそも制限のかけ方もしらないときに見てもらってるという話だ。
今現在はフォローという形でアオくんが私のステータスを見放題になっているが、私がアオくんのステータスを見ることはできない。
そして、昨日なぜフォローを使わなかったかに聞いたところ、必要性を感じなかったといわれた。どんだけ鬼教官か。
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