第36話 ギルドクエスト/研究者ギルド(5)

 治験。このポーション・レアの効能と安全性を検証する実験。

 

 今回は治験とかいいつつもポーションをかけるだけなので、なんの難易度もない。悪影響さえなければオッケーぐらいのノリだ。


「いきますよ~」


 大雑把に1リットルビーカーにはいったそれを、患部にかける。

 ポーションとかいうのはゲームの中でしかしらないのだが、なんか使い方は主に飲んでたりしてた気がするけど、この世界では患部にかけるのが主流らしい。


 すっと患部に広がり、馴染む。


 その後、ケロイド部分がすっとなだらかになり、赤あざ程度まで回復した。なんだ、特に光ったりしないんだ。


 さすがに最低レアのポーションではレアでもこの程度か~と私は思ってしまったのだけれども、ツミレ研究員の表情は突然明るくなった。

「すごい!赤みだけになってる!ガンモ研究員!チクワ研究員!見てください!」


 と、はしゃいでいる。

 え、おでんの具縛りネームの研究員?


 そんなことを考えていたらツミレ研究員は私の手をとり、大きな涙をこぼしながら、感謝の意を伝えてきた。


「医療ギルドに頼んでも依頼料は高額だし、生きてるから問題ないでしょ、大丈夫とか言われるし。それはそうなんですが、見るたびにけがを負った時のことがフラッシュバックしたり、痒みがでたりと忘れるにもわすれられなくて、ずっと辛かったので、治験とかいってくれて治してくれて、本当にありがとうございます!」


 なんにせよ、感謝されることは嬉しいことだ。


 さて、研究者ギルドの次のランクアップの要件を確認する。

・新薬の開発をしレポートを出す

・何かしらの基礎研究をしレポートをだす

・動物の生態について調べレポートを出す

 等、詳しくは新たにダウンロードされるマニュアルを見て一番やりたい、研究したいものを研究し、成果が出たり、レポートがまとまったら近くのギルドへ提出、ある一定の要件を満たせばランクアップする。 

 研究成果はすべて提出する義務はなく、何か特殊なものができてしまった場合は、ギルドへのレポートを出してしまうと広く大きくなってしまうので、個人財産として秘匿する権利保障されている。

 ただし、その分作ったものがバレたら同様の研究成果を狙う者に狙われる可能性もあがるので、あわせてレベルも冒険者ギルドのほうのレベルも上げ、身を守ったほうがいい、とのこと。


 早速チーズさんはポーション・レアとかいう特殊アイテムを合成してしまっているので、一応の忠告です。と教えてくれた。


 どうもまだこの世界は特許というシステムはなさそうで、成果の奪い合い群雄割拠時代ってことかも。

 

 そういえば私も怪我らしい怪我負ったことないから、ういの舐める(回復)がどの程度かも知らないや。


 ういも異世界転写動物かつ私と一緒にレベルがあがっているので、狩猟犬であるからまあまあ好戦的ではあるんだけど、やっぱりカニンヘンというミニミニダックスで神聖魔法使いなので大事に護ってあげないとな~などと考えてしまった。


 その勢いでぼーっとギルドの外に出たら、やっぱり大嵐で帽子をかぶるのを忘れていたため一瞬で頭がずぶ濡れになった。

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