第31話 ギルドクエスト/研究者ギルド(1)
あれだけ先輩風をふかせていたおじさん冒険者たちは命の危険を感知したためか、もうすでにキャンプ地にはいなかった。
生きているのか、逃げ帰ったのか。
「とりあえず研究者ギルドのクエストだけは終わらせておかないと」
もうすっかり日は暮れているものの、先ほどの戦闘後の高揚感があること、この先の洞窟ダンジョンは誰もが行き来できるようにマップが整備されているレベルで、深部まで潜ろうとしなければ、研究者ギルドのランク上げとしてだけ捉えると、ちょっとレベルが上がっていれば安心、護衛がいればもっと安心ぐらいの低レベル対象案件である。
先ほどの魔法展開を見る限り高レベルの護衛少年に随行してもらっている時点でまったく問題なく往来できるだろう。
洞窟の中は蛇っぽかったり、蝙蝠っぽかったり、土竜っぽかったりするモンスターが多い。先ほどのプテラ戦で長銃は使用不能になってしまっていたが、洞窟ダンジョンという性質上石礫撃ち放題、モンスターのランク的にもそれで難なく進行することができ、小一時間程度で目的地に到達することができた。
洞窟を抜けると一面の星空。あ、この世界は月が無いんだ。
確かに月は地球の衛星だから、世界が変われば無くて当たり前か。
「星空のあかりで照らされた湖の真ん中の小島の湧き水ゲット!」
2リットルぐらいあればいいかな。
早速汲み、【無限フリースペース】に作った素材収納倉庫に収納したところで、もともと来たキャンプ地に向けての横幅2メートルの透き通った橋がかかっていることが確認された。
「これは夜限定で片道だけ行ける橋で、振り返ったり引き返すと水に落ちます。あと、途中で戦闘になっても落ちるので気を付けてください」
「ボードで渡ってもいいかな」
「確かにあっというまに着きそうですね」
冷静そうな口調と裏腹にアオくんの表情がにっこにこしているので、勢いをつけて橋を渡ることにした。
帰り道は問題なく渡れ、まったく敵も出なかったので、あっという間に誰もいないキャンプ地に戻ることができた。そのままキャンプをしてもよかったのだが、また突然強いモンスターが現れても私が戦える保証がないため、アオくんの計らいというか、魔女さんパワーの転移魔法で、ネルドの転移スポットまで一気に戻ることにした。
行きはそこそこ大変だけれど、帰りの楽さは最高すぎる。
そこから冒険者の宿へ戻りアオくんの部屋で魔女さんに近況連絡。培養とか研究もやっていたものだから、この世界でのポーションづくりが楽しみで仕方がないのだけれども、どうも基礎マニュアルを見る限りギルドにある器具を使い練習なし一発勝負、失敗すると材料から集めなおしというセンスが問われる試験となっている。
「順調なようじゃな。ひとまず明日の試験頑張ってな」
魔女さんにそう言われると、ちょっとした緊張感がある。
部屋にもどりゆっくり寝て、明日に備えよう。
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