第32話 隣国『ネルド』(11)
朝が来た。
生憎の大嵐だった。
「ネルドってそんなに天気荒れるイメージなかったのに」
そんな言葉が聞こえてくる。この国の加護がなくなっていることに、気づいているレベルの冒険者はいないみたい。
冒険者ギルド宿泊所のダイニングでは、今日は私たち以外に6人、食事をとっている。3人パーティで冒険をしている剣士・僧侶・魔法使いチームと、剣士・ビーストテイマー・魔法剣士チームの2組だった。
私たちはなんだろう。狙撃手と魔法剣士?
そもそも基本的にみんな魔法を纏った攻撃をしているのに魔法剣士っていうカテゴリはなんなんだろうか。魔法の割合が高いってことなのかな?
この宿はは寮母さん的な人が朝ごはんだけ作りに来るようで、カリカリのトーストといちごジャムと林檎とオレンジジュースといった、簡素な朝食が支給されている。卵もハムもないし、栄養素が足りなさすぎる。
ずっとこんな感じなのか長期滞在チームに聞いたところ、毎日変わらず同じメニューだそう。
しかし、この世界にきて他人がつくったごはんを食べるのは初めてだったので、何気にたのしい。
「お姉さんたちどこから来たの~?」
「東方です」
「俺たちは北方。これから南方に向かってみようと思う」
昨日のキャンプ地にいたちょっとガラの悪そうな人たちと違い、人当たりは良い。
「私は、昨日ギルドに登録したばかりなので、ちょっと滞在して基礎的なランク上げをしようかと。」
俺たちみんな3年ぐらいCランクだよ~
なるほど、平均選手。
今日の私に課されているミッションは研究者ギルドでポーションチャレンジをすることと、新しい銃の購入だ。転写で持ち込んだマイ猟銃は現状封印状態だけど、そのうち何かのタイミングで使えるようになるといいな。
ただ、この国で買える一般的な銃ではおそらくまた雷魔法を乗せなくてはいけなくなった場合、銃身がやっぱりもたなくなるだろうから、予備を何本か買っておくべきか。どのぐらいかかるかな。
アオくん曰く、もっとモンスターが強い地区にいくとレア武器のドロップもあるので地道に頑張れば良い出会いがあるんじゃないか、と言っていたけどいつそんな狩場にいけるのか。
一か八か「持ってたら頂戴」と言ったら、「自分で手にしないと喜びがないでしょ」と返された。これ、絶対持ってるでしょ。
できた若者め。
「さあ、早速いってみますか~」
緑色のつなぎと長靴、レインポンチョを着込み、外に出る準備をする。わざわざ大嵐だというのに外に出るもの好きになっているが、この国の天候というものを身をもって知っておいたほうが今後の対策も立てやすい。
聞いたところ、天気予報はすべて
システムとして成り立っているから、まあまあ当たってるのかと思いきや、大体50%ぐらいの精度とのことだ。
当たるも八卦当たらぬも八卦
長期予報ならまだしも、短期であれば、農家の雲読みのほうが、精度がよいのではないか…と思ってしまった。
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