第2章 隣国『ネルド』

第22話 ネルドへようこそ/城下町とギルド(1)

 [ネルドにようこそ]

 

 石でできた塀に囲まれたその国の城門を超えると城下町、入ってすぐの立て看板にそう記載がある。

 とりあえず、立て看板横の露店でマップと国の制度ハンドブックと観光ガイドを購入し、門から入ってすぐの広場のベンチに陣取る。真ん中に大きすぎはしない噴水と街灯があり、その周りに銅像が2体立っている。


 ネルド国首都ネルド。


 王都と取り囲む壁をこえると城下町、その先の高台には再び城壁があり、城下町から城壁までは取り囲むような長い階段が延びている。

 城下町も高さが何層にも分かれているので立地的に山を切り崩して作った国なんだろう。


 城にほど近いあたりには冒険者ギルド、商人ギルド、研究者ギルド、医療ギルド等各種ギルドが立ち並ぶ。

 国の制度ハンドブックによると、都市部であれば成人と同時に、それ以外の郡部であれば必要としたタイミングで貴賤問わずギルド申請所に申請を行い、全てのギルドに一括登録される。その後は磨きたい分野に特化するもよし、自分の生来の適性に合わせ複数ギルドのランクアップをするもよしという公的支援だ。


 登録される情報は悪用を避けるために名前と静脈認証情報のみ。高ランク者のみ該当ギルドでデータベースとして保管されている以外は、ギルドでそれぞれランクが上がった時に認証をうけ、おそらく静脈認証的なシステムで魔石を使用した認証機器に近しいリーダーで現在のランクがわかるようになっている。


 登録料は無料であり、各国が出資かつ、素材・資材・技術の売買による積み立て・運用により成り立っている。


 アオくんによるとこの説明は各国のガイドブックにはそれぞれ絶対に記載するように義務付けられていること、才覚さえあればいくらでも開始時期が違っても取り返しがつくことをふまえ、平等なシステムとしてこの世界で構築され、受け入れられている。

「あとで私も登録しに行こうかな~というか、ないと仕事にならないか」

「おそらく商売もするでしょうし、狩りもするでしょうし、ナットの復興は別としてまず第一にこの世界で生活していくにあたって確実に必要となるものですから、ぜひとも行きましょう」

 ちなみに銀行口座などもこのギルドカードに紐づけられているとのことで、要するにマイナンバーカードみたいなものとおもって良いのかも。


 ほかにも初めて都市部に来た時にやったほうが良いことがチェックシートとともに記載があるので田舎者にも優しいシステムすぎて助かりすぎる。


 そして次にマップと観光ガイドを見る。

 マップにはここの城下町と城の面と、裏面はネルド国全体がわかる面の2面構成で、大きい面には昨晩から今朝にかけて宿泊した宿の記載もある。

 そこでも、やっぱりナット王国の部分はなかったものになっていること、マップのその道にはどこに至るかの記載もなく、魔女さんの魔法の影響をここでも知ることとなった。

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