第16話 異世界を知ろう/隣国へ行こう(3)

 まだ日は落ちていない。


 コテージ内に部屋は4部屋あって、そのうちダイニングをはさんだ向かい側の部屋を自分の部屋とした。休む部屋とシャワー、洗面所はあるけれど、炊事場は外にある感じだ。


 一応ビーストテイマー宿泊可であり、規約はあるものの部屋でういを出してあげることができた。ありがたいことに、要するに、ペット可ホテルである。


 アオくんとは一息ついて、ダイニングで落ち合う。


 隣国までのちょうど経路半分、バトルと環境確認はいいとして、完全徒歩は結構疲れた。


「アオくん、ちょっと相談なんだけど」

 私からで一つ提案がある。移動手段として、電動アシスト自転車と電動キックボードは却下された。キックボードもあるけれどもオンロード用だ。


 そこでだ。


 フリースペースから取り出し手にしているのはオフロード仕様の、スケートボード。 ボードを2枚、とヘルメットを持ってきていたのだ。

「これ、乗り方教えるから練習してみない?」

「初めてみました。なんですかこれは」

「スケートボードという乗り物」

 興味がありそうな顔をして覗き込んできたのでこれは、いけるか?!キャンプ場の裏あたりで乗り方のレクチャーをしてみることにしようかな。

 本当はオンロードで練習したほうがよいのだろうけれど、ここにはそんなものはない。移動手段として使いたいだけなのでトリックも何もいらないし。

「まず見本を見せるね~」

 片方の足をボードに乗せ、もう片方の足で加速をつけて両足で乗る、といいながら実演してみる。なんか年相応にキラキラした顔で楽しそうにみている。

「僕もやってみます!」

 そういうと渡してあったボードで私の実演をそっくりそのまま真似て動く。たいてい初心者はここで転ぶのだけど、なんとアオくんは難なく乗りこなす。すごい。

「楽しいですね!!」

 オフロード用の大きなウィールだというのに全然問題なさげだ。バランス感覚と若さ、若さなのか。

 これならば明日の移動時間は大きく短縮できるうえに徒歩より楽さが格段に違うと思う。アオ君に明日使うか念のため聞いたら、二つ返事でオーケーだった。

 ありがとう。


 そしてウィールが本番前に摩耗するので取り上げたらブーイングがしばらく続いた。

 許せ少年、ウィールのスペアには限りがあるんだ。

 

 その後、 外で晩御飯の準備を開始する。今晩は飯盒はんごうでごはんでも炊いてしまおうか。このキャンプ場について先にきいていたので、作れるものとしてカレーの下ごしらえをしてフリースペースの時間停止区画に入れてきていたのであった。

 今日は玉ねぎを飴色になるまで先に炒める甘目のカレーをつくってみよう。そして作るのはビーフカレーだ。

 

 ナット王国にカレー文化はないとおもうので、おいしく食べてくれたら良いな。

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