　散歩にちょうどいい距離を歩いたあと、【無限フリースペース】に作ったういちゃんハウスにういをハウスさせる。散歩中排泄も済ませ、ご満悦だ。

　ういはカニンヘンダックスフンドロングヘアード、毛色はマホガニーレッドの雄だ。

　ブリーダーさん経由で私の家に来た、とってもかわいいちゃんなのである。本来のういは転写前の世界で楽しいちゃん生活を送っていると思うけれど、こっちのういもしっかり楽しいちゃん生活を送らせてあげなくちゃとおもっている次第である。

　◇

　目的地についてアオくんから教えてもらったのだけれど、地下資源の輸出で持っていた王国がもともと整備していた環境で、隣国と中間点に公営のコテージ付きキャンプ地が設置されている。

　今は民営化という名の独立経営がなされているようで、国境から大体4時間程度、休憩を取りながら進んでいくものの意外と距離がある。

　大体出発から2時間程度経った時点で少し虫型と蝙蝠型の魔物が出没。魔物以外にも動物や昆虫も生息しているのだけれど、人間が狩りを許されているのは魔物と狩猟可能といわれている動物だけであり、これは各国で協定が結ばれているとのこと。

　狩猟できる動物が決まっている、それは日本にもあったし、どこも同じようなルールが敷かれるんだな。そしてもう一つ、思い及ぶ。

「しっかしこれアオくん、歩くには遠くない？！」

「遠いですね。僕もいつもなら歩いていませんよ。■■様としてはきっと今回は徒歩でいくことで道のりと環境を覚えつつ魔物を狩ってほしいとか思っているんでしょうが」

　そもそも、魔物除けの魔石をもつことでこの辺りで出没する程度の魔物は寄ってこない状態にして向かってます、とのこと。

　確かに地理を知ることとレベルアップは急務ではあり、歩くのは苦ではないが、基本この距離は私の地元では車がデフォだ。

　これはそう、遠足なんだ。そう思い込み歩みを進める。

　そして、1時間に１度の休憩をはさみ、目的地についた。

　確かにそこは結構広めな、馬車用の駐車場？もあり、コテージが１０棟とキャンプ地が併設された公営保養所みたいな場所であった。

　受付に行ったら若いご夫婦と３人のお子さんが出迎えてくれた。

「旅の宿へようこそ。本日のご宿泊は何名様でしょうか」

　予約、というものは王侯貴族のみが行うものらしく、庶民や商人は飛込みが基本であるし、よっぽどの事件がない限り、泊まれないことはないようだ。

　スマホもなければ検索もない、でも電話のようなシステムは実はある。けれども完全普及には程遠い高価なものなので、1地区に１つぐらいの富裕層とか地域の寄合所となっている家がもつアイテムとなっているらしい。昭和初期の日本のようだ。

　宿泊２名です、と告げると奥さんがコテージに案内してくれた。顔立ちは全然違うけれど、同じ黒髪なので、兄弟と認識してくれたのかもしれない。

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