第14話 異世界を知ろう/隣国に行こう(1)
魔女さんからのお達しで、最初の隣国へ行く方法について「徒歩」が提案された。
そもそもナット王国は外部から見えることもなく、認知されることもないため、森の中から現れ、森の中に去っていくみたいな感じとなるらしい。
あわせてマップも手渡されたので位置を確認するとここがナット王国、というところに認識阻害がかかっているのか、おおよその位置のみしか確認できない。国名のところも認知ができなくなっていることを考えると、もしかして名を失ってるのは国もなのかもしれない。
誰かに聞こうにも復興しないことにはまったく誰も思い出せないうえに、泊まった時に見せてもらった王城に残されていた諸々の文献ですら自動改ざんされているような有様だったので、とりあえず段階的に復興してさえいけば認識阻害は取り除かれていくと思うと魔女さん談なので、第一歩を踏み出す。
◆
旅のお供に双子のアオくんが付き合ってくれることになった。まだ他人のステータスは見れないので、どのぐらい強いかはわからないうえにどんな武器を使うのかもわからないけれど、魔女さん曰く「護衛」らしいので、きっと強い(はず)。
イオくんは魔女さんの身の回りの世話係で、生活全般のお世話から秘書業務までこなしているという。そして、どちらかというとバトルスキルをもっているのはアオくんで、双子ながらの【ミラーリング】というスキルで二人のレベルは共有、アオくんがあがれば連動してイオくんのレベルもあがるという仕組みらしい。
ただ、目指す方向性が違うので、スキルはまったく取り方が違うと言っていた。
そして、実は隣国の国境までは大体徒歩で1日ぐらいとのことなので、家にあったタイヤが太い電動アシスト自転車で行こうと思ったらまず王さまに叱られたのだ。復興した国の強みになるよなものの異国への持ち込みは極力秘匿していてほしいらしい。国が凍結していても、商売っ気を出してくる。
正直オフロードなので、こう、タイヤの大きな乗り物でサクっといきたいところではあったのだけれども、そう言われたのであれば仕方がない。
そしていよいよ、隣国への旅のはじまりはじまり。
ナット王国から外に出たところ、草原の真ん中に走る簡素な道があった。このまま一本道で隣国までで繋がっているそうで、物流についても馬車であっという間、といった感じだったのだろう。
因みに、今ナット王国は認知外の国となっていることから、一般の人はそのまま国を飛び越えてワープするように素通りすると魔女さんが教えてくれた。
今日のごはんの材料をイオ君に渡し、私の分の食糧および牛ちゃんたちから搾った大量の生乳は【無限フリースペース】に保管。【無限フリースペース】内は電気は通っていないものの、保管する箇所により時間と温度、湿度のを設定できることがわかったため、ういのゆっくりスペースは温度が26度で普通の時間の流れ。野菜や肉、生乳類は時間停止で保管するため温度設定なし。狩りで得た糧については熟成を試しているので熟成庫の環境をつくり保管。要するに、使い方がまだちゃんとわかっていない【時間干渉】スキルが今はほぼこの【無限フリースペース】内のみに活用されている状況となっている。
実際【時間干渉】スキルは結構危険もはらむため、今は【無限フリースペース】内で条件付けして活用していくにとどめたほうがよいだろう、と魔女さん談。
モヤ王は国の要となっているため城から動くことができないため、魔女さんとイオくんが国境まで見送りにきてくれた。
「実はわたしの魔法はこの世界どこにでも大体及ぶからいよいよ困ったときは強制帰還魔法を行使してよいからな、アオ。」
「■■様、ありがとうございます。ではいってきます」
「アオくんにお世話になります。レベリングと状況確認、いってきます!」
「いってらっしゃい」
ナットを後に少し歩みを進めると、手をふる魔女さんとイオくんが認識阻害がはたらきあっという間に見えなくなる。
【無限フリースペース】に全部入れ、手回り品のみバックにつっこんだ軽装で、ういにリードとハーネスをつけ、帽子をかぶせたうえで散歩するような出立となった。
安全な場所で散歩させ、ある程度いったら休ませてということが道程でできてしまう。
ちなみに今日のジャージはオレンジだ。
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