生活
ハルという特大戦力。
それを護衛役として引き入れる代わりに、僕へと様々な物資を提供することとなった村。
そんな中において、僕は何をするでもなくこの村で生活することも出来るが、流石にそれは僕の心が許せない。
ということで、僕はせっせと簡単な仕事をしている最中だった。
「んっ」
僕が今、やっているのは土器の製作である。
これで村のみんなが使うお皿等を作っているのだ。
基本的に村で使う道具はまず守るべき女性たちや子供が村の中でこうして作っているのだ。
「手際良いのね。うちの男連中よりも遥かによ!」
「ほんと、そうよっ!うちの旦那なんてもうひどいんだから!」
前の村でもやっていた作業をしている僕の隣で同じことをしている村のおばちゃんたちが称賛の言葉を告げる。
「まぁ、自分は戦いに出ることは出来ないですから」
それに対して、僕は一歩引きながら答える。
「それはおいおい、体が大きくなってくれば変わるわよ」
「えぇ、そうよねぇ」
「まだまだこれからよね!」
「……えぇ。そうですね」
所詮、僕がどれだけ努力しようとも意味はあまりないけどね。どうせ、勝つことなんて出来ないのだから。
……村のみんなも、何も出来ずにただただ無意味に殺されていった。
どれだけ人間が体を鍛えようとも、最も低レベルで弱い魔法生命体にさえも勝てないのだ。
「これからここが貴方の村だから、自分の村のために頑張ってね?……決して、一人にはなっちゃだめよ」
「はい、わかっていますよ」
僕はおばちゃんたちの言葉に頷きながら答える。
「それでは自分はここら辺で失礼します。そろそろハルが帰ってくる頃ですので。焼きを任せてしまって申し訳ありません」
「いやいや、いいのよ!」
「えぇ、もちろん!率先して手伝ってくれてありがとねぇ!」
立ち上がった後に告げた僕の言葉に対しておばちゃんたちは明るく言葉を返してくれる。
「守護神さまのことよろしく頼むわね」
「はい、わかりました。それでは失礼します」
「はーい」
僕は作業場にいた女性たちへと頭を下げたあと、ハルの元に向かうのだった。
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