第53話 魔道具の授業

「あら、おはようレリア王女。今日も早いわね」

「おはよう、レーナ皇女。そっちこそ早いね……やっぱりラナに乗って?」

「そうよ。良いわね……召喚獣に騎乗するのは。触れ合えるし、移動も早いし。それでいて召喚獣の負担にならないなんてね」

「負担にならないって言うけど、それでも不安だよ。リファル、負担になってないよね……?」


 小型化させてレリアの肩に乗っている俺を、レリアは撫でて来た。大丈夫、全然負担になっていない。そもそも召喚獣の身体のスペックなら人1人乗せる程度ならそこまで重さも感じないからな。


「本当に仲が良いわね、貴方達は」

「そういうレーナ皇女だってラナとの仲が良いよね。お互い様だよ」

「そうかしら……ね。ラナ、私が獣人になってからちょっと素っ気無くて」


 あー、確かにそれは感じている。

 というかラナの目が……うん。召喚獣同士だから分かるが、レーナ皇女……いつかラナに襲われないよな? 性的に。もうラナの反応が思春期男子のそれというか何というか……


「あら、私はそろそろ戻らないとね。それじゃあレリア王女、またね」

「うん、またね~」


 レーナ皇女は帝国組の教室の方へと歩いて行った。

 結局、レーナ皇女は帝国所属のままになっている。ただ、やっぱり差別の色も強いらしく……今は実力で黙らせているらしいが、それでも居心地は悪いらしい。故にプリモディア組の教室の近くまでよく来ているのだ。


 帝国と王国は仮想敵国という事もあって帝国組の王国組の教室は結構離れているというのに大体こちら側に来ているのだから相当居心地が悪いんだろうな……


「……大丈夫かな、レーナ」


 公共の場故に名前に皇女を付けていたレリアがボソッと呟いた心配の言葉。

 レーナ皇女……ちょっとずつ疲労の色が見え始めてるんだよな。俺的にも結構心配だったりする。


「いつか倒れないと良いんだけど……とりあえず時間だし、私達も教室に行こっか」


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「それじゃあ授業を始めるわねぇ。この前の復習から始めましょうか」


 今は大体昼時前の授業中。魔道具に関する授業が始まった。

 教師はお婆ちゃん先生。お年を召した女性ではあるが、自作した魔道具を身体の補助に使っていることもあって動くのも結構素早く、実力は教師陣の中でも精鋭に入るほどらしい。とてもお年寄りとは思えないほどの人だ。


「まず、魔道具って言うのは様々な形をしているの。

 例えば……これ。靴の形をしているでしょう? これはねぇ……移動速度の上昇とかの魔法が刻まれているの。

 魔道具は色んな形をしているけどぉ、刻める魔法は元となる道具によってある程度決まってるの。


 これは効果が発揮しやすい魔法が物の形に寄るからなのよぉ。だからさっき出したこの靴に斬撃の強化とかをする魔法を付けても全く意味が無いのよ」


 魔道具は理論上で言えば、なんでも出来る。必要な魔力制御技術と、魔法の回路を刻む事さえ出来れば本当になんでも出来るのだ。

 とはいえ、道具と魔法にも相性があると言う事だ。刃の無い靴に斬撃強化を付けても何を強化したんだ……? ってなるしな。


「この前はこの魔道具の形と魔法の関係を詳しくしたわね……それじゃあ、今日は魔道具に刻む回路についての授業をしましょうか


 回路を作るにはね、魔力を良く通す素材を使う必要があって——」


 こうして授業が始まった。

 ざっくりと授業内容を纏めると、


 まず回路を作るには魔力をよく通す素材……つまり特定の鉱石や宝石、魔物素材を使って構築しないといけなく、魔力を通さない素材で作った場合はただの模様になってしまうらしい。


 そして肝心の回路の形なのだが……割と何でもいい。

 ×でも⚪︎でも良いし、ドクロでも良い。ひたすらに自由度が高いらしいのだ。

 レリア作の魔道具は氷の結晶とドラゴンの顔が合わさった様な模様が付いており、氷竜姫と言う名前のリスペクトかな? と思っていたけどコレが回路だったらしい。


 と言う事で回路は魔道具師の意匠とされているらしい。魔道具師の誰もがオリジナルの模様を決めるのだとか。


 次に回路に入れ込む魔法については、回路を書く時に常に「どの様な魔法を使うか」と言う想像をしながら核となる魔石から魔力を通して回路に繋げるらしい。

 その時に入れ込む魔法を扱える程の魔力制御が必要な為、ある程度の魔力制御力が無ければ魔道具は作れないのだとか。


 それと、この魔法を入れ込む作業は一度失敗すると元となる道具も、回路に使った素材も、核となる魔石も全て壊れるらしい。

 だからこそ全身全霊を持って魔道具だけに意識を集中して回路に魔法を入れ込むのだとか。


 レリアも魔道具を作る時は俺を工房の端っこに寝させて、作業台の周りに結界を張るほどだ。

 魔道具は魔石と素材さえあれば自分の使えない属性を扱える物を作る技術ではあるが、あまり手を出さずに市販の物を買ったりする事が多いのは此処が原因だったりする。


「回路と言うのは、魔道具の第二の核なの。魔石に傷があれば暴発するし、回路の作りが甘くて魔法が不完全だったら、暴走する。


 それとね、魔道具には魔石もあるし、身体となる道具もあるの。そしてその身体に魔力を通す回路もね。


 つまり、暴走した魔道具は魔物になり得る……これだけは覚えとくのよ」


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 ちょっとした雑談


 つい最近気付いたことなんですけど……と言うか今日気付いたら事なんですけど、どうやら作者である冰鴉こと私は【左右盲】って奴らしいです。


 いわゆる「咄嗟に右と左の区別を出来ない人」って事ですね。少し考えれば区別は出来ますけど、咄嗟にってのが無理なのです。


 まぁ、脊髄トークってのも出来ないぐらいに一度考えてから喋るタチですから一度「考える」って言う動作が入るのは仕方がない……んですかね?


 皆さんはどうしようもねぇっ! って言う持病だったり体質はありますかね?

 ちなみに冰鴉は持病の【アトピー性皮膚炎】持ちですっ! もう肌が痒い事痒い事……幽体になりたいって常に思ってます。だって全身が痒いタイプですもん……せめて腕一本とかが痒いだけなら楽だったんですけどねぇ。


 かなり重症なアトピー持ちって事です。ステロイド系塗り薬がお友達よ、もう。


 と言う事でちょっとした雑談でした。


 あとついでなのですが、更新頻度が不定期化すると思います。

 最近書く気力がなくてのぉ……暇ではあるんですけどね。

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