第51話 虚無の日々
レリア・プリモディアside
「…………」
私は今、自室のベットの上でボーッとしてる。
なんともまぁ自堕落だとは思う。けれどもやる気が出ないのだ。
……リファルが居ないと、こうも心細いなんてね。
「レリアーっ! 帰ってきたわよ〜」
遠くからお姉様の声が聞こえてきた。多分学園から帰ってきたのだろう。気に掛けてくれるのは嬉しいが……あまり心に響かない現状だ。
なんか……虚無を感じる。リファルが居ないとこうなっちゃうんだなぁ、私って。
「ただいまレリアーっ! ……んー? あらら、今日も放心中みたいねぇ。大丈夫?」
「うーん……大丈夫じゃない」
「……そっか。ほら、そう言う時はお姉ちゃんに甘えなさい……よしよししてあげるから」
「私、子供じゃない」
お姉様の胸に顔を埋められ、頭を優しく撫でられる。扱いが完全に子供にする事なのが悩みどころだが……抵抗する気が起きない。
「もー、そんな事言って……リファルが居なくて寂しいんでしょ? 分かってるから……私がリファルが居ない分の心を埋めれない事くらい。
まぁ、家族なのに寂しさを埋めれないのはちょっと悲しいんだけどね」
『キュ〜……』
スルスルっとフユが私の腕に巻きつき、私の頰に顔を擦り付けてきた。
フユちゃんにも心配されちゃってるなぁ……
「まっ、不安になったらお姉ちゃんの元に来るようにしなさい。
レリア……貴女の味方はリファルだけじゃないの。私も、兄さんも、レーナ皇女だってレリアの事を心配してるの。
ちゃんと、味方を……家族を頼る事を覚えなさい。
……レリアにとってそれが難しい事は分かってるけどね。ただ、ちょっとは家族の事信頼して欲しいな〜……なんてね。それだけ」
「……ごめんなさい、お姉様」
「良いの良いの、そんなレリアが私は大好きだから。今はしっかり休んで、また元気な姿を見せてちょうだい。
……それじゃ、私は部屋に戻るわ。ほんとに、不安になったら頼ってね? 約束よ」
最後にぎゅっと強く抱きしめられ、お姉様は部屋を出て行った。腕に巻きついてたフユちゃんも『キュ〜』と鳴いて、私の頬をペロッと舐めてから部屋を出て行った。
……心配、されてるなぁ。
ベットに仰向けで大の字になって寝転がり、天井を見つめる。
「うー……」
魔法で遊ぶ事も出来なければ、リファルを抱きしめたり撫でたりする事も出来ない。
……暇だ。凄く暇だ。
うーん、私も自分の魔石が欲しいなぁ。……無理なのはわかってるけども。
「うー、リファルぅ……」
召喚獣が居ないかつ、虚無状態に陥ってる私は今、学園を休んで自粛状態だ。早めに気を持ち直さないといけないのは分かってはいるが……そんな気力が出ない。
……無理矢理にでも、色々と手を付けてみようかな? なにか屋敷の中でも出来ることを…………
------------------
季節が変わり始め、夏になる頃……目覚めると、いつもと違う感じがした。
「……もしかして?」
そっとベットから降り、軽く着替えてから【自作した魔道具】を装備して庭に移動する。
パパッと召喚の準備をして、召喚術を使い始める。
……多分、この違う感覚はリファルが起きた合図……のはず。
使う召喚術は召喚獣の召喚と言う、幼い頃に誰もがやる初歩中の初歩の術。
起きて……リファル。そして、成長した私を見て?
「リファル……起きたなら答えて。私、ずっとリファルに会いたくて……」
目の前の地面が輝き始め、ぼんやりとシルエットが浮かび始める。
ダンジョンで私の中で眠ってしまって以来見なかった懐かしくも、信頼できて安心出来る姿が見え始めた。
私を助けてくれて、そして守り続けてくれた……唯一無二の私だけの召喚獣。
「でも……今度は私が守る番。リファル、もう絶対に死なせたりしないから」
輝きが収まり、ハッキリと見える様になったリファルを抱きしめる。
そして、リファルが戻ってきて、しっかりとリファルとの繋がりを確認出来てようやく……私の世界がふたたび色付いたのだった。
「おかえり、リファル。これからもよろしくね……もう、無茶なんてさせないから」
そっとリファルに自作した魔道具を付けておく。
もう、絶対に死なせはしないから。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
と言う事で、一旦此処で区切りをつける感じになります。
いやぁ、どうでしょうか……実はリファルが満身創痍になった所で救助が間に合ったって感じに書きたかったんですけど、ふと脳裏に過った【召喚獣は死んでも蘇る】と言う設定。
その設定を使わないわけにはいかないなぁ。と言う事でリファルは死んじゃいました。
まぁ、一度は休止状態に入らせるつもりだったんでその予定が早まったと思えば……ね。
さてさて、区切りが良いとは言いましたが、おそらく新たな章に入る……みたいな感じになると思います。
ここまで書いてきて、ピッタリとハマるテーマは恐らく【依存・信頼・守護】ですかね? あんまりテーマを考えなかったので多分こうかな?
次の章での主軸となるのは多分魔道具! とは言ってもプロット無しで書いてるので予定は未定です。今後の展開次第では全然変わるかもですね〜
と言う事でこれからも是非是非、姫竜をお楽しみくださいっ!
面白いと思った方は❤️を、素晴らしいと感じた方は⭐️を!
それでは今後の展開もお楽しみに……
次章:【魔装ノ竜姫】(予定)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます