第31話 決闘:竜vs鳥
その言葉を聞いたレリアは、俺をじっと見つめながら言葉を放つ。
「貴方は…私の召喚獣相手なら勝てると思ってるのですか?」
「…えぇ、勝算は充分にあるかと」
「そうですか。私のリファルに…勝てると言うのですか」
………なるほど?
「…どうでしょうか、受けてくださいますか?」
「………良いでしょう。ですが、絶対に約束は守って貰います。今後の個人的な用事の接触は一切禁止とさせて頂きますから」
「えぇ、それは勿論です。それに恋人の座の事もお忘れなき様に…」
「…リファル。アイツのペット、壊してね」
そうして決闘が決まった。
どうやら教師の中に契約をする為のユニーク属性持ちがいるらしく、ルクリア姉の言葉もあって契約がなされた。
ルールはお互いの召喚獣による1vs1。
特に制限無し。
ライアー君が勝った場合はレリア・プリモディアの恋人に。
レリアが勝った場合はレリア・プリモディアとルクリア・プリモディアへの個人的な接触の一切を禁ずる。
そして勝利条件は………どちらかの召喚獣が死ぬまで。
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実はライアー君、ルクリア姉にも求婚している姿をよく見ている。勿論ルクリア姉は迷惑しており、何度愚痴を聞かされたものか…
まぁ、ルクリア姉の不満も知ってたからこそ、ライアー君にそんな提案を押し付けたのだろう。
にしてもライアー君は勝算があるとは言っていたが…どんな方法をとってくるのだろうか。
ちなみに勝利条件の相手の召喚獣の殺害だが、召喚獣は死んでも死なない。
厳密に言うならば休止状態に入る感じだ。
一定期間死んだ状態となり、その期間が終わってから再度召喚すれば召喚獣は蘇るって感じだ。だが、その休止期間中は召喚主も魔法や獣化が使えなくなって非常に不便な生活が強いられるのだ。
そんな感じのペナルティも必須と言う事で、現在模擬戦闘空間にて緊急措置を全て切った状態で相手の召喚獣と視線を交わしている。
ライライ君の召喚獣は…鳥。デカめのカッコウみたいな見た目をしている。
「それでは、これよりレリア・プリモディアとライアー・スファレライトの決闘を始める。
今回のルールは召喚主の戦闘参加禁止であり、召喚獣のみでの戦闘となる」
「…両者位置につくように」
ほんと、決闘をするのが早いと思う。せめてもう数日程たった後でも良いと思うのに。
「それでは、決闘開始っ!」
(リファル、敵を滅殺して)
割と生まれて初めての命令が繋がりから流れ込んでくる。従わないといけないって感じがするが…俺だって甘く見られてちょっとカチンと来てるんだ、期待に答えてみせようじゃないか。
決闘開始早々、ライアー君の鳥はところ構わずに鱗粉?を撒き散らしている。
…撒き散らしてると言う事は明らかにアレは毒なのだろう。もし毒じゃないとしたら…粉塵爆発だろうか?
必死に撒き散らしている鱗粉を全て水ブレスで洗い流し、水ブレスを飛んで避けた鳥に向かって俺は雷属性身体強化をして飛びかかる。
そしてその羽を噛みちぎろうと牙を立てた途端…牙を立てた部分からブワッと鱗粉が発生し、モロに吸い込んでしまった。
その鱗粉を吸った瞬間一瞬クラっとしてふらついてしまい、出来た隙のせいで鳥の足蹴りをモロにくらってしまった。
…まぁ、痛くは無い。竜の鱗と言うのがかなり頑丈であり、鳥の足蹴り程度なら数発くらってもそこまでのダメージにはならないと思う。
そして立ち上がって鳥の方に眼を向けると…鳥は居なかった。と言うか周りの景色が一変していた。
先程までは何の変哲もない草原だったはずなのに、今は全て荒地となっている。しかも鳥の姿が何処にも見当たらない。
そしてふと上空から感じた気配を頼りに避けると、俺が元いた場所からドカッ!と言う非常に勢いをつけて地面を攻撃した様な音がした。
…見えない敵、変わった景色、音は正常、地面残った攻撃跡は…無し。
そして相手は明らかにこちらをハッキリと認識している…ね。
なるほどこれは確かに勝機を見出せてもおかしくない。この鱗粉を吸わせればほぼほぼ一方的に攻撃出来るのだから。いやぁ、なんともイヤらしい戦法だなぁって強く思う。
…まぁ、相手が悪いけどね。
俺のユニークスキルである治癒属性魔法を自分に掛ける。
すると景色は元に戻り、迫ってくる鳥もはっきりと認識出来た。…なるほど、さっきまでの症状は幻覚だったか。
あの幻覚はおそらく属性でもなんでもなく、あの鳥が持つ生物由来の技なのだろう。鱗粉に幻覚作用がありそうだ。
俺は常に治癒を掛け続ける。これで今の俺は魔力が途切れない限り延々と再生し続ける…そう、まるでフェニックスの様に。ちなみに異常完治の性質も治癒にはあるから幻覚作用は治癒を掛け続けてる間は効かない。
突っ込んできた鳥の足蹴りを避け、そのまま鳥の胴体に噛み付く。ブワッと鱗粉が舞うがそれは気にせず、雷属性の身体強化でそのまま鳥を感電させる。
その状態のまま地面に押し倒し、前脚で頭と胴体を抑えつけて翼の根元に牙を立てる。そして…思いっきり噛みちぎる。
「ピィィィィィィィィイイイッ!」
痛みからか甲高く叫ぶ鳥を気にせず、もう片方の翼も噛みちぎる。
鳥は激しく抵抗しているが、元々大型召喚獣の竜である俺と、中型召喚獣っぽい鳥ではあまりにも体格差が違うし、竜と鳥では圧倒的に竜の方が種族的に優れている。
だが、抵抗も無意味では無かったらしい。胴体を抑えてた前脚が鱗粉で滑り、そのまま鳥の足を踏み潰してしまった。
うわぁ、ぼきぼきって感触が脚から直に感じる……
一旦抑えつけるのはやめて、少し離れてから鳥を見る。
翼は引きちぎられて飛ぶ事を制限され、足は折られて立てなくなっていてずっと身体を横にしながら「ピィ……ピィ……」と鳴いている。
……どうしよう、すっごい罪悪感を感じる。こう、哀愁漂うと言うか……うん、可哀想って言葉が第一に出てくる様な姿をしている。まぁでも、召喚獣の世界も弱肉強食の世界って事で許してほしい。…介錯するから。
ゆっくりと鳥に近づき、その首元に牙を突き立てる。「ピィ…ピィ…」と鳴いていたのを止め、鳥はとある一点を見つめる。
…ライアー君を。
ライアー君は呆然としており、口を大きく開けて硬直している。
「ピィィィィィ…」
助けが来ないと分かって、ゆっくりと目を閉じる鳥。すまんな…これも勝負なんだ。
出来るだけ即意識が途切れる様に、思いっきり首を噛み潰す。流石にこんな状態の鳥にゆっくりと牙を入れてく事なんて出来ないからね…
そうして息絶えた鳥は光となり、ライアー君の身体へと入ってくのであった。
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今回出てくる召喚獣の鳥ちゃんですけど、技を参考にしたのはモンハンXにて出てきたホロホルちゃんです(ホロロホルル)
なお作者自身はクロスもダブルクロスも全くしてない模様(G1で止まってる)
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