第30話 決闘申請
ルクリア姉の特訓に付き合ったその次の日、ルクリア姉は先に学園に登校しており、俺とレリアは遅れて登校した。
遅れてとは言っても通常の生徒が登校してくる平均的な時刻ではあるが。
「今日から…決闘とか解禁されるんでしたっけ?出来れば決闘申請とかが来なければいいんですけど」
そう、学園ランキングが確定した事で今日から決闘という要素が追加されるのだ。
恐らく1対1で賭けてる物を手に入れる為に戦う様な奴なんだろうけど…今のままじゃ学年最上位一位を狙ってレリアに決闘申請が殺到する可能性がありそうなのが怖い所。
…バトロワで暴れたから勝てる要素があると考える奴は少ないと思いたいが。
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「よし…全員居るな。それじゃあHRを始めるぞー」
そして始まる朝のホームルーム。今日も今日とてイケおじな担任が教壇に立っている。
「まずはみんな気になってるであろう決闘だ。この決闘は何かを賭けて戦う事になるが…学園ランキングを賭ける場合は相手の学園ランキングと10位以内の差である事が条件だ」
これは過去に大勢の決闘申請が1人に集まってしまったが故の対処らしい。
ルクリア姉だと分かりやすいが、ルクリア姉は学園ランキング1位だ。その場合はルクリア姉に決闘申請を送れる権利があるのは学園ランキングが2〜11位の者だけになると言う事だ。
…一応、例外はあるらしいが。
「それとランキングが上位の者は下位の者に対してランキングを賭けた決闘の申請は原則禁止されている」
これは上位の者がわざと下位の者をいたぶらないようにする為の処置。それに上位の者が下位の者に勝ってもそこまで利点があるわけでもないしな。割とどうでもいい仕様だったりする。
「まぁ、これがランキングを駆けた決闘のルールとなる。ランキングを賭けた決闘を申請する場合は担任でもそこの居た奴でも良いから必ず教師を通す様に。もし教師の仲介が無かった場合はその決闘は無効だし特殊運動場の許可も降りんぞ。
じゃあ次は別の物を駆けた決闘の説明だ。
この学園では何か譲れない物があって、それが発端で決闘は起きる場合がある。例えば恋愛だとか、プライドだったりな。
この決闘はランキングの賭けた決闘とは違って同意の元で縛りとかも追加出来る。例えばユニーク属性の禁止や、獣化の禁止。召喚獣の禁止や逆の召喚主の戦闘参加禁止だったりな。
そんでこの決闘をする場合は教師に話を通すのも良いが、生徒会に話を通しても良い。
あとこの決闘が通るのは学園ランキングの差が100位以内と言うのが条件だ。それ以上の差があると決闘で勝てる見込みが無いからな」
この学園の在学生の人数は分からないが、1学年に200人だったとしたら1000人は超える。そう思うとランキングの差が100位以内と言うのは案外現状的な数なのかもしれない。
それと担任曰く、生徒会長であるルクリア姉に婚約を賭けて決闘を挑んだとか言う話もあるのだとか。
…まぁ、ルクリア姉って美人だし王族だもんね。なお却下された模様…そりゃそうだ、婚約とかは国や貴族同士の話だからな。
ちなみに別れる前提であれど、恋人の座を賭けた決闘は受理されたらしい。…結果はルクリア姉の圧勝だった様だが。
「まぁ決闘に関してはそんな感じだ。それじゃあ今日予定を———」
決闘の概要を聞いて、今日の予定を聞き流しながらホームルームが過ぎていく。
………決闘ねぇ、めんどくさそうだ。
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「レリア王女っ!レリア王女の恋人の座を賭けて決闘を申し込みたい!」
「…お断りします」
ホームルームが終わって早々にライター君が突っかかってきた。こやつ…後先考えてねぇのか?と言うかレリアに勝てると思ってるのだろうか。
「その決闘…私が受けたとして、私に利益がありますか?無いのに受ける訳ないじゃないですか」
「むっ、確かに…では学園内での私の派閥であるスファレライト侯爵派閥の解散とか——」
「そんなの要りません。解散したいなら勝手にしてください」
うん、確かに学園内ではレリアの派閥とライライ君の派閥で若干別れてる節がある。
更にあんまり人付き合いを好まないレリアだから、派閥に関してはライ君の派閥の方がデカかったりする。でも別にレリアって派閥とか気にしてないからなぁ。
そして貴族らしいライ君は派閥の解体を即却下されてとんでもなく驚いている。まぁ分かるよ?派閥の解体とか相当な大事なのにそれを一蹴されたんだもん。
「で、では!どのような条件ならば私との決闘を受けてくださるのでしょうか?」
「…貴方が負けたら今後一切、個人的な用事で私とお姉様に絡まないでください」
「っ⁉︎いや、それは…」
「…へぇ、貴方から決闘申請をしといて私が出した条件を飲もうとしないだなんて…随分と勝手な方なんですね」
…いやね?多分レリアも相当勝手な事言ってると思うよ?だって恋人の座を掛けての決闘なのに負けたら接触禁止とされるのだ。もし単純な恋心で挑んできてるとしたら相当キッツイと思うのだが。
だが相手はライナー君だ、良いぞもっとやれ!
「…はぁ、見損ないました。まさか私を惚れさせると大見栄を張っておきながら貴方はこの程度の要求もリスクも受け入れない…器の小さい御方だったのですね。期待外れも良いところですよ?」
「いや!それは…」
…レリアさんったらもしかしてライナー君に相当な恨みを持ってらっしゃるな?
これ…ライナー君が決闘を受けてもレリアが勝って接触禁止に。ライナー君が決闘を取りやめたとしてもレリアのライナー君に対する印象は最悪になる。
…元から最悪だったのは言わないお約束と言うやつだ。
さて、どう出るのだろうか。
「…分かりました。その要求を受け入れます」
「………そうですか、では早速教師の方に連絡を——」
「ですが!少し決闘の内容を変更させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「……なんですか?その要求とは」
「召喚獣同士の戦いとさせていただきたいのです」
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