第32話 決闘後の平穏
「勝負有りっ!勝者、レリア・プリモディアの召喚獣であるリファル!」
「リファルっ!大丈夫?蹴られた所痛くない?もし嫌だったらアイツ破滅させるよ?」
いや、別にそこまで怪我を負ってるわけじゃない…確かにガッツリ蹴りを喰らいはしたけど勢いを付けて蹴られたわけではないし、種族値的な違いもあって本当に痛くは無かった。
「…良かった、大丈夫なんだね。もぉ…リファルなら絶対に負けないんだって信じてたけど、それでも心配なんだったからね」
蹴られた部分をゆっくりと撫でながらそう言葉を掛けてくる。まぁ、あれはちょっと俺もちょっとビックリした。まさか触れるだけでも鱗粉が舞ってそれをモロに吸うとは…
多分あの鳥相手には当たるまで延々とブレス吐いてれば完勝できてた可能性が高いけれども。
「それでは、私の魔法の元に契約を履行させていただく。
今後、ライアー・スファレライトはレリア・プリモディア及びルクリア・プリモディアへの個人的な用事での接触の一切を禁じる様に。
また、この魔法は私が死してなお継続する為未来永劫個人的な接触が出来ない事を心せよ」
そして教師の…今回の決闘見届け人でもあるコトラ先生がユニーク属性である契約属性魔法を発動させる。するとレリアと少し離れた所で観戦していたルクリア姉といまだにフリーズしているライアー君が淡く光った。これが契約…だろうか?
「これで契約は成った。これにて此度の決闘は終了とさせていただく。
素晴らしき戦いを見せてくれた互いの召喚獣に敬意を………では」
そう言ってスタスタとコトラ先生は立ち去っていく。凄く仕事人間っぽい人だなぁ…私情を持ち出さなさそうな感じだ。
ハッとしたライアー君がレリアに声をかけようと動くが、一歩踏みだしたところで完全に硬直した。更には大声をあげてレリアを呼ぼうとするが、「レッ———っ!」と言った感じで「レ」より先の言葉が出なくなっている。
…レリアに近づこうと思えば身体が動かなくなり、声を掛けようとすれば声が出なくなると言う感じだろうか?なるほど、契約属性は行動制限によって契約を履行する感じなのか…デバフだとしたら俺の治癒属性魔法で治せるのだろうか?
………無理っぽいな。レリアに治癒属性魔法を掛けても一切反応が無い。疲労が回復してレリアがちょっと困惑したくらいだ。
同意の元に使用できる属性だからデバフや状態異常判定では無いのだろう…同意が必要とは言え、中々に強力な属性だな。もしユニーク属性の仕様を禁ずる契約とかを結んだ場合使えなくなる可能性もある…なんとか契約解除する方法があればいいのだが。
「お姉様、戻りましょ?このまま此処に居ても意味は無いでしょうし」
「えぇ、そうね。にしてもリファルちゃんってやっぱり強いわね~」
「はいっ!自慢の召喚獣です!」
「あら、私のフユだって負けてないからね?」
そんな会話をしながらレリアとルクリア姉も特殊運動場から立ち去っていく。勿論おれはレリアの肩に乗って。
そしてライアー君は声が出せずにアワアワし続けるだけだった。勿論、この場に居る誰もが気にかけることが無かった。まぁ、観戦者ありだったら居たのかもしれないが…今回の観戦者はルクリア姉だけだったしな、ライアー君は放置である。
「…お疲れ様、リファル」
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こうして初めての早過ぎる決闘は終わり、通常授業へと戻った。
一応ライアー君とは同じクラスではあるが、契約が効いてるらしくて中々平穏で静かな日々を過ごしている。
レリアもこの平穏さには非常の喜んでるらしく、レリアとの繋がりからも感じる憂鬱さが少なくなっている。
「レリア王女、貴女早々に決闘をしたって聞いたわよ…負けてないでしょうね?」
「それは勿論…内容的にも負けれない決闘でしたから」
「…どんな内容だったのよ、それ」
「…私の恋人になりたいとか言ってきまして。私は付き合うつもりなんてありませんのに」
「随分と変な決闘を受けたものね…」
「えぇ、本当に勘弁して欲しいです」
現在、平穏な日々を謳歌している昼休憩中にレーナ皇女と会話をしている。話題はレリアとライアー君が決闘したと言う話だ。ライアー君がこっぴどく振られたと言う方向で噂が広まってるらしい。
「まぁ、何がどうであれ…負けてないならいいわ。私を負かした貴女が早々に負けたら悲しいじゃない」
「一応負けないつもりではありますが…それでもまだまだ私は弱いですから負けてしまうかもしれませんよ?」
「それはまぁ。でも私的には負けてほしくないのよ」
「それなら…私が負けないようになる為にも日頃の特訓に付き合ってくれませんか?」
「…私よりも強いのに私が特訓に付き合う意味ある?」
「お互いの強みが違いますから」
確かに連携とかの動きに関してはレーナ皇女の方が圧倒的に良いし、逆に魔法の扱い方に関してはレリアの方が良い。
現状はユニーク属性という素質の暴力で勝てては居るが、もしユニーク属性が無ければ強みは違えどレリアとレーナ皇女の強さはほぼ同格だ。
特訓し、お互いを高め合う相手としてこれ以上ない存在と言うわけだ。
「うーん…良いわね、付き合うわ。その特訓を糧に貴女に勝つんだから」
「はい、よろしくお願いしますね」
うむ、良い関係性だなぁ…仮想敵国の王女と皇女の絡みとは思えぬ。
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