第26話 愛溢れるルクリア姉&フユ

 そんな学園主催のバトロワイベントも終わり、無事にレリアが学年ランキング1位として一年生のトップに立った。

 ちなみに学園ランキングは暫定として現在の学園ランキング最下位の次に一年生の枠として学年ランキング順に配置される。つまりレリアがこれ以上ランキングを上げるならば、必然的に上級生と戦う事になる。


 これから解禁される決闘だとか、開催されるイベント事に上級生に挑戦してランキングを上げるるわけだ。おそらくレリアやレーナ皇女は上級生たちにマークされてるだろう…一年生のレベルとは違うのは明らかなのだから。


 決闘に関する説明は後日ある様で、それぞれの部の1〜3位を表彰して終了となった。


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 そして今現在、屋敷に帰って休もうと扉を開けた途端に…


「おかえりレリアーっ!一位取れるなんて流石は私の妹っ!」

「えっ!?お姉さmムグッ———」

「にしても驚いたわよレリア!あんなに正確な射撃は見た事がないし、雷属性を扱えるだなんて知らなかったし…それにユニーク属性っ!まだ一年生なのにユニーク属性を発現させてるなんてもう…ほんと凄いわっ!」

「オネエサマ…クルシイ…」

「今日は記念としてたっぷりと抱き締めて撫で撫でしたげる!ほら、ヨシヨシ〜」


 …こちら、4、5年生の部にて大勢の生徒に大して無双していたルクリア姉さんだ。

 あの大勢の生徒を前にした余裕の微笑みは一切見えず、今はレリアを愛でるデレッデレな顔をしてる。でも美少女だとその姿も非常に絵になるのはズルいと思います。


 でもそろそろレリアが窒息で気絶しそうだから一旦やめて貰ってもよろしいだろうか。

 小型化した身体でパタパタとルクリア姉の元まで飛んでいき、肩に着地してルクリア姉のほっぺたを「一旦レリアを離して」と言う意志を込めてペシペシする。


「あら?あっ!リファルちゃんも凄かったね!レリアを守る姿は身を賭して姫を守る騎士でカッコよかったよっ!」


 いや…俺も褒めて欲しいって言ってるわけじゃなくてね?一旦レリアを離そ?


「ほらフユ、愛しのリファルが来たよ〜」

『キュゥっ?キュ〜っ!』


 フユの姿が屋敷の奥から見えた途端、俺は即座にルクリア姉の肩から降りてフユから逃げる。

 俺がフユから逃げるのには理由がある…ルクリア姉の召喚獣であるこのフユなのだが、性別は雌である。そして俺は当然雄だ。


 しかもプリモディア姉妹の召喚獣と言う共通の関係性であることから、フユとの関係性は言わば幼馴染に近い物だ。だからかなり俺とフユは親密な関係を築いてた。


 ………その親密度がフユの中ではいつの間にか恋心となってしまって、明らかに俺をツガイにしようと行動する様になったわけだが。もうね、俺を見る目が明らかに獲物を性的に狩る目をしている。


 ちなみに召喚獣同士で交配は出来る。産まれるのは魔物だが、人に懐きやすくて先祖の召喚獣が産んで残した魔物を代々育てたりする文化があったりする。

 しかも昆虫系とウルフ系と言うどうやったら子供が出来るから分からないレベルの組み合わせでも子供は産まれる。とは言え産まれる魔物は大抵が生殖能力が欠けていて一代限りである事が多い。



 …話を戻そう。

 つまりだ、俺がフユから逃げる理由は………激しい愛情表現から逃げる為だ。


 即座に雷属性の身体強化を使い、屋敷の廊下を掛ける。もしフユに捕まってしまえば今日一日どころか、ルクリア姉が帰るまで延々と張り付かれる事となる…!


 だがなんとも悲しきか…どれだけ逃げようともフユと俺では成長期による成長度合いが段違いである。全体的な能力が成長しているフユから逃げれずに捕まり、フユは俺に辰の特徴的な蛇のような身体を巻きつけ、俺の顔に頬擦りをするのであった…


「キュゥ〜〜〜っ!」


 ………俺、別に龍フェチでも辰フェチでも無いんだけどなぁ。

 あぁ、フユと離れた後のレリアの行動が怖い…


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「お姉様…いつも言ってるじゃないですか、抱きついて来るのは良いですけどもう少し手加減をしてくださいって。何度私を気絶させたら気が済むんですか…」

「しょうがないじゃない。頑張ったレリアを沢山褒めてあげたい気持ちが溢れちゃって…」

「それでも限度っていうものが———」


 結局レリアはルクリア姉の熱い抱擁により気絶してしまった。

 そしてレリアによるルクリア姉への注意が始まっている。なお一度も改善された事はない模様。…レリア、多分これからもルクリア姉と会う時は窒息すると思うぞ。


 そんな光景をボーッと見ながら俺は机の上で突っ伏している。…勿論フユが身体に巻き付いている。会う度にフユの巻き付きによる締め付けが強くなっているのは気のせいだろうか?

 嬉しそうなのは何よりだけどせめて手加減してほしい…ちょっと痛いんだけど。


「まぁ、もう改善されないのは分かってるから良いです…今後はお姉様を無理やり剥がせれるようにしますから。

 それで、お姉様は何故こちらに来たんですか?」

「いやぁ、ね?映像越しでレリアを見てたんだけどやっぱり直接会いに来たくなっちゃって!それに一応属性の話とか生徒会の話とか諸々………とにかく色々用事もあったしレリアとリファルちゃんにも会いたかったから来ちゃった!」


 …わぁお、割と真面目な話っぽい?


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【ルクリア・プリモディア】


 レリアの姉であり、プリモディア王家の第一王女。レリアの王族らしい姿勢の見本であり、実は結構レリアに尊敬されている。


 清楚系なお姫様であり、見た目は銀髪の琥珀眼とレリアと同じだが髪型はロングストレート固定。

 家族好きな面が強く、社交性も王族として充分にあるが、身内の敵に対しては非常に冷酷で残酷。


 レリアがシオン学園一年生(10歳)の時に四年生(13歳)であり、四年生でありながら生徒会長の座に座っている。学園有数の実力者。

 ちなみに割と胸が大きめ。(そしてその胸でレリアを毎回会う度に窒息させてる)


【フユ】

 降雪辰として生を受けたルクリア・プリモディアの召喚獣。性別は雌。

 ルクリアと同等かそれ以上に仲間意識が強く、仲間に敵対する相手には一切の容赦を捨てる子。


 そしてリファルの内に秘める能力と、その優しさなどに惹かれて完全にリファルを未来のツガイとして見ている。

 リファルを見つける/見ると無性に身体を巻き付けたくなるらしい…多分愛情表現。

 そんなフユは今この瞬間も、リファルの子種を狙ってるのかもしれない………




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