第14話新入生にとっての初イベント
入学式からある程度経ち、新入生もある程度学園に馴染めてきたぐらいの時の朝のホームルームの時に唐突にその話題が出てきた。
「さて、一応入学式の時に軽く説明したがもう一ヶ月ほどしたらお前らにとっては初イベントであるランキング決定戦がある。忘れてるかもしれないからもう一度説明しとくぞ」
そう、新入生達にとっては初のイベントであるランキング決定戦だ。
このシオン学園には実力主義な面もある…ランキングが上の方が色々と融通が効くし、上位であればそれだけで将来の不安など無くなるほどだ。
しかも必然的にランキング上位は王族や上位貴族が非常に多い為、玉の輿やコネを狙う場合はランキングが上である方が良いのだ…
そして、そのランキングを決める方法がバトルロワイヤルなのだ。
シオン都市の広大な敷地と最新技術の魔道具を存分に使った場所で行われるこのイベントは、一学年生全員をその敷地内に放り込んでひたすら生き残る事を目指すのだ。
そしてそのバトルロワイヤルでの順位がランキングに直結してるのだ。
これと、ランキング決定後にあるランキング入れ替えの為の決闘などがあり、それらと期末テストの成績を合わせた最終的な順位を元にクラスを変えられるのがこの学園の仕組みなのだとか。
つまりは学期ごとにその者が優秀であればクラスを昇格/維持出来るし、劣っていれば降格すると言うのがこの学園なのだ。
そして、今回のイベントはその優劣をハッキリ決めるためのスタートダッシュでもあるのだ。
バトルロワイヤルで決めれるのか?と思うかもだが、
立ち回りなどを決める為の【知恵】、
必ず起こる戦闘に勝つ為の【力】、
予想外の事への対処の為の【対応力】、
そしていつ襲われるかの不安に押し潰されない為の【精神力】…
これらを判断出来るからこそのバトルロワイヤルシステムなのだとか。
だから実質、本当の学園生活はこのイベントの後から…らしい。
ここまでが担任が説明した事だ。
「…こんな感じか?それじゃ、あと一ヶ月ほどしたらこのイベントがあるからこれからの授業はこのイベントに向けた物となるから把握しておくように。それじゃあホームルームを終わるぞ」
そうして担任が教室から出て行ったあとは生徒達でイベントついての話をし始める。
ある生徒は手を組もうだとか、ある生徒はライバル的存在に負けてられないと意気込んだりだ。
勿論レリアにも話しかけてくる人は居て…
「レリア様、イベントでは何かご予定がありますか?無ければ是非私達と一緒に協力して——」
「いえ、私は自分の実力を丁度確認したかった所なので今回はリファルと二人っきりで頑張ろうと思います。誘っていただけるのはありがたいですけど、申し訳ないですが他を当たってくださるとありがたいです」
「そっ、そうですか…」
誘ってきたのは確か伯爵家令嬢だったか…?どうやら協力して生き残る作戦らしいがレリアは仲間を作る気は無いらしい。
まぁ、私的には仲間を作るのは推奨しない…なにせこれは個人戦なのだ。もしかしたら順位を争う裏切りが起こる可能性も高い…流石に自国の王族を裏切ると言うのはあまりにもリスキーだとは思うが。
「一緒にと言われましても…私は貴女のことを全く知りませんし、知る気もありませんのに何故組まなければならないのでしょう」
そうかなり冷たく取れてしまう言葉をボソッと呟いて授業のために移動する。レリアの人間不信は軽微とは言えど、親しくない人に対しては無関心になるレベルなのだ。いや、嫌いの先が無関心と言われてるのだから重症なのかもしれないが。
だからこそレリアは基本的に、
【俺】>越えられない壁>【姉】>【ミレイさん】>【家族】>超えれない壁>【その他大勢】の順でしか信用も信頼もしないのだ。
いつか治るのだろうか、この不信は…人の言葉を喋れない俺はただただ精神的支柱になるくらいしか出来ないのだ。
「わた…は…リ…ルさえい…ば良い…」
肩に乗ってる俺にすら聞こえないレベルの小声が聞こえたが、多分ただの独り言だろう…そんな感じで授業を受ける場所である学園敷地内の特殊運動場へと着くのであった。
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時間もある程度経ち、Aクラスの生徒達も集まったことで特殊運動場での授業が始まった。
教師は担任の先生である。
「よし、集まったな。朝に言ったとおりに今日からイベントの日まではイベントに向けた授業になる。ということで今回の授業は実際にバトルロワイヤルで使うこの特殊運動場を体験するのと、軽い模擬バトルロワイヤルをするぞ」
あまりにも急すぎるとは思うが、多分今後の授業でもこの特殊運動場を使うのだろう。
ちなみに今現在は特殊運動場の待機室に居る。
「それじゃあまずはこの特殊運動場について説明するぞ。この特殊運動場は最新鋭の魔道具技術を利用した模擬戦闘空間を生み出す場所だ。つまりはいくらでも暴れて良い地形を生み出せる場所ということだ…ユニーク属性の魔法でも耐えれる構造だからいくら暴れても問題ない」
まず、この世界ではラノベでよくある異世界物よりも魔道具技術がかなり発達している。多分一部分ではそれこそ前世の科学技術を足蹴にするほど超えてると思う…逆にかなり劣る部分もあるのは事実だが。
空間を生み出すと言うとんでもない言葉を担任は言ったが、恐らく空間関連のユニーク属性を持った魔物の素材や魔石を利用した結果出来た魔道具なのだろう。
ちなみにこれほどの魔道具技術がありながらも馬車での移動が主流なのは、魔道具が荷車を動かすのに非常に不向きだからだ。と言うか牛や馬型の召喚獣で荷車を引いた方が圧倒的にコストが掛からないし、メンテナンスも楽なのだ…
「そんでもって生み出された模擬戦闘空間では死なない…と言うか致命傷を負ったと判定されたら戦闘空間から出されて魔道具による即時治療が行われる。これは有名な
不死鳥の魔石…それは凄い、有名どころであるフェンリルと肩を並べるほどの存在の魔石を使ってるらしい。不死鳥はまさに不死の鳥なのだ、魔力がある限りは頭を吹き飛ばしても、心臓を抉り取っても、全身を粉々にしても魔力を元に再生するというとんでもない生物だ。
おそらく不死鳥が持つ属性がそうしてるのだろうが、想像しただけでも恐ろしい…うん。
そして空間内で負った怪我のみなのはおそらく空間生成の魔道具と相互関係にあるのだろう…もしくは使われてる魔石が空間関係の能力を持った不死鳥であり、空間生成と再生の魔道具が一体となった魔道具であるのか、だ。
正直言って最新鋭どころかオーバーテクノロジーに足を一歩踏み入れている気がする…とは言え、魔道具と言うのは理論上は使う素材があればなんでも出来るらしい。それこそ世界の破滅も時間流転も世界渡りも…まぁ、そもそもそれらを実現するための素材は存在してないのだが。
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