第41話 温泉に行こう(2)

(本話は若干の性的表現が入ります、苦手な方は次の物語へお願いします。) 


 グワ! マジものの血液風呂キター! 話題変えた意味ナーシ!  

 これが気持ちいいと感じているということは、完全にヴァンパイア化したなヲレ。


「正宗や、お主完全に魔族化したの。ワハハハ!」

「お兄様ぁ。もう人間なんかのぉ恰好している必要ありませんことよぉ」


 あ、確かに。昨日あの二人にカミングアウトしたんだ。つい習慣でこの格好になってしまうな。


「そうだね。もういいんだよね」


 意識を開放し、悪魔とヴァンパイアの眷属のあるがままの姿になる。


「ふう。ここではこの姿が楽だわ」


 胸のつかえがとれたような気がして楽になった。


「お兄様ぁ、素敵ですぅ」

「その姿、板についてきたの。自然体じゃ」


 アスタもフランも喜んでくれている。

 護衛の二人も微笑んでくれている。


「フランとアスタのおかげだよ。この角も、赤い目も、翼もそして魔力もね。ありがとう」


 この二人がいなかったら俺は人間界でつまらない人生を送っていただろうな。本当に感謝だ。

 俺の口からポロっと本音が出てくる。

 途端に二人の顔が赤くなる。


「ま……まあの。気にするでない。ことの成り行き次第じゃからの」


 フランはポリポリと右の人差し指で頬を掻く。


「そう言っていただいてうれしいですわぁ。お兄様ぁ」


 アスタは両手で頬を抑える。

 二人が両脇に寄り添うと、脚が俺の脚に絡みつき、両腕に胸が当たっている。


「あの、フランさん、アスタさん、腕と脚に何かが……」

「当てておるのじゃ。挟んでおるのじゃ」

「絡めているのですわぁ」


 二人が耳元で囁く。スク水越しに腕に伝わる二人の胸の触感と、ニーソが足に触れる触感がもうたまりません!  

 それどころか、二人の太ももで俺の脚が挟まれ、スク水の小又の付け根が俺の太ももに当たってきている。

 もうフェチシズムの暴走状態です! この二人、赤いお湯で下が見えないから、絶対わかってやっているよ!  

 本当にフランの言う通り「あててんのよ!」状態だ。いや「挟んでんのよ!」もだ。

 俺の制御棒が大変なことになってきている。

 いや制御が効かないきかん棒だ。どうしてくれる。

 護衛の二人に目をやると……向こう向いているよ。

 さすが護衛。こういう時でも周りを見ている。

 でも、チラチラとこちらを見て顔が赤くなっているけどさ。


 フランとアスタの手が俺の制御棒を掴んできた。やばいこれヤバイ! でも動けない! いや動きたくない! もう据え膳食われてしまおう。  


 と思ったら、


「はむっ、ちゅー」 二人の牙が首に穿たれた。

 

 血の池地獄で天国です! 悪魔の昇天です!  

 きかん棒をつかまれて動けなくなり別な意味で食われてしまった。

 フランとアスタに血と魔力を吸われて、きかん棒が制御棒に戻る。


「ふう、美味しかったのじゃ」

「お兄様ぁ。ごちそうさまでしたぁ」


 二人は俺に頭を摺り寄せてくる。


「どういたしまして」


 俺は二人をぎゅっと抱きしめる。スク水の感触が全身に伝わってくる。

 いかん……また制御棒の制御がきかなくなってきた。


「正宗や、元気になってきたの」


 フランがクスリと笑いながら、俺の耳たぶを甘噛みする。


「お兄様ぁ。今度はお兄様の番ですよぉ。ここから血を吸ってください」


 アスタはそういうと立ち上がり、切れ上がった小股の付け根を俺の目の前に差し出してきた。

 スク水と白のオーバーニーソの間からアスタの白く細長い脚が目に入る。

 これ、もう萌えのオーバーキル兵器です。


「正宗や、アスタを噛んでやらんとの」


 フランがニヤリと笑い耳元で囁く。

 リアル「悪魔の囁き」だ。

 ヴァンパイアの本能のおもむくままアスタの白くて柔らかい太ももの付け根に牙を穿つ。

 ツプッという音とともに、アスタの太ももから熱い奔流が魔力とともに俺の牙を通じて流れ込んでくる。アスタに頭を抱きしめられ、顔がスク水とアスタの白い脚とオーバーニーソに密着する。

 

 これもうDT殺しの最終最強兵器です!  

 全世界の非モテ・オタの我が同志よ! 申し訳ない! 一人で萌え死にます! 先立つ不孝をお許しください!  


 すると、アスタの口から甘美なため息が漏れ始める。


「はぁあ。お兄様ぁ、上手ですわぁ。もっと味わってください」


 さらにアスタの血を吸う。いとおしい味が全身を貫く。


「アスタや妾からもじゃ」


 フランが立ち上がり、アスタの後ろから首に牙を穿ち、魔力を注ぎ込む。

 フランの両手がアスタの胸を鷲掴みにしている。


「んはぁ……お姉さまぁ。ずるいですわぁ」

「愛い奴じゃの。アスタや」


 やばい、アスタの血を吸いながら鼻血を出してしまいそうだ。プラマイゼロじゃねぇか。

 アスタの太ももをなめて傷口を塞ぐと、フランに弄ばれたアスタが、頭を鷲掴みにして両脚の間で挟み込んできた。

 鼻と口がもろにスク水のVゾーンの柔らかい場所にヒットする。


「アスタ……ちょっと……大変なところがあたってる」

「あててるのよぉ。お兄様ぁ」


 アスタの顔を見上げると、フランに魔力を注ぎ込まれ、顔が上気して紅潮している。

 二人の目は悪魔とヴァンパイアそのものになっているわ。

 さらにアスタは頭をスク水のVゾーンに強く押し付け始める。

 鼻がアスタのスク水の柔らかい部分にめり込み始め、口が密着する。

 口の中に甘い蜜が流れ込んでくる。これはアスタの???だ!  


「んはぁああ、もっとぉ。おにいちゃぁあん!」


 ブーーーーーッ。


 俺の鼻のベントが開放され、血の池地獄にさらに血を供給してしまった。


 ザバーッ。

 露天風呂の脇の冷泉をかぶり、頭を冷やす。

 フランにもてあそばれたアスタは顔を真っ赤にしているが、それでもフランに後ろから抱き着かれ胸をもまれながら温泉の岩場に腰を掛けている。

 うーむ、スク水美少女のこの画ずら、最高です! 誰得? 勿論俺得だよ!  

 護衛の二人も岩場に腰を掛けている。そりゃそうだわ。のぼせるぞ。

 いや、顔が赤くなっているのは別な原因だな。絶対に!  


「お姉様ぁ。恥ずかしいですわぁ」


 アスタが顔を赤くして恥ずかしそうに俺と護衛を見ている。


「楽しめたのじゃろうて。ずいぶんと積極的になったの。正宗や、お主アスタを楽しんだのじゃから妾も後で楽しませるのじゃ」


 フランはにやりと笑い口元から牙を出しながら俺を見てくる。


「こ……この性悪変態小悪魔っ娘め。妹に手を出した挙句、俺を巻き添えにするなんて。お陰様で魔界で天国に行かせていただきました! ありがとうございました! ごちそうさまでした!」


 一体俺は何を言っているのだろうか? 


「お主何を言っているのじゃ?」

「お兄様はお礼を言っているのだと」


 護衛の二人から「フヒッ」と聞こえる。どうやら腹筋が崩壊したらしい。全身がプルプルと震えている。

 この調子だと、フランは護衛の二人も手籠めにしかねないぞ。

 いや、ひょっとするともうすでに……気の毒に。(-人-)ナムー。

 なぜだか知らないが、お風呂に入る度に疲れるわ。

 

 お風呂を上がって部屋に戻るが、途中でほかのお客さんに会うことがなかった。

 そんなに人気がないのだろうか? いや、そうであれば、あんなに従業員がいるはずがない。

 まさか貸し切りにしたとか? いやいや、いくらフランが王族でもそれはないだろう。ホテル大赤字になるわ。

 湯上りで少し眠たくなり、ベッドの上でうとうとし始める。ああ、日が落ち始めているなぁ。でもこのまったりした時間の流れ、いいな。

 

 こっちの世界に来てから約二ヶ月くらいか。こうやって休むのって初めてかもしれない。

 職場の連中どうしてるのだろう。あ。そうか。あの時間に戻れるようにしているんだった。

 

 それに、姉貴どうしてるだろうな。

 お義父さんに治してもらったから大丈夫だろうけど。

 様子を見に行きたいけど、卒業して、フランと結婚してからだな。

 あっちでも結婚式は挙げておかないとまずいだろうし。

 俺の親とフランのご両親とも合わさないといけないからなぁ。

 

 そんな他愛ないことをベッドの上で微睡まどろみながら考えていると、部屋の電話が鳴った。フランだった。

 もうすぐ夕食なので、レストランにいくそうな。

 浴衣姿でと行きたいが、ガウンで行くのも変だ。自分の服に着替えてフランたちの部屋へ向かう。

 フランたち4人は浴衣でした。純大八洲風の浴衣です。湯上りほんのりの美少女4人が浴衣姿です。

 スク水といい浴衣といい、をい! この温泉のネタ考えたやつ、八洲で修業した魔族決定です。どっちにしても筋金入りのオタクだろうよ。

 なんにせよ、秋葉原文化は魔族も魔界をも侵食しているのは分かった。ビバオタク!  

 すごいぜOOYASHIMA! ウェエエーイ。


「正宗や、お主の部屋に浴衣はなかったのか?」

「なかったよ、ガウンみたいのはあったけど、あれじゃ外に出られんわ。その浴衣は備え付け?」

「いや、フロントからルームサービスが持ってきてくれたのじゃ」


 やっぱり俺は下男扱いだ。


「はぁ……。お前ら4人とも、ホント浴衣姿も可愛いな。湯あみ着姿もマジ超絶可愛かったしなぁ」


 何の気なしに、ポロっとため息交じりに本音が出てしまった。

 途端に4人の顔が真っ赤になる。


「な……何をいきなり。どうしたのじゃ正宗や?」

「お兄様ぁ。うれしいですわぁ」

「私達まで……うれしいです」


 あれ? 俺何か変なこと言ったか? 


「大体の、男がこういうことを言うときは、後でこき下ろすか下心があるのがオチなのじゃ」


 フランが悟ったように予防線を張る。


「いや、ホント、お前らってマジ可愛い顔してるよなぁ。人間界にいたときは、ここまでグッとくることなかったんだよなぁ。ふう。こっちに連れてきてもらってよかったわ。フランありがとな」


 湯上りの後の微睡からまだ頭が覚めていないのか単刀直入な言葉が出てきてしまう。

 ふと4人を見ると、頭から湯気を出して下を向いて歩いている。

 

「あれ? どしたの? まだ風呂上りで暑いの? まあ、いい温泉だったからね」

「違わい! この鈍感馬鹿者が!」


 フランのハリセンが俺の頭に炸裂する。

 あとの三人は、腹筋崩壊状態だ。


「ようこそ。お待ち申し上げておりました。どうぞこちらへ」


 レストランの入口で支配人とメイドが迎えてくれた。

 こっちの温泉の料理が楽しみだ。

 はい、大八洲の温泉旅館の料理と同じく先付、吸い物、向付け、焼き物という懐石料理でした。でも懐かしい味だ。

 素材は魔界の産物だけど、結構おいしいわ。特に吸い物の出汁がよく取れている。

 向付けの刺身は何だろう。お品書きを見ると……クラーケン、アビスコール、アーケロン、砂クジラの刺身でした。

 アーケロンって確か亀の恐竜じゃなかったか? まあ、いいか。

 天ぷらは、スラッシャーピラニア ん? なにそれ? 


「フラン、このスラッシャーピラニアって何?」

「川魚での、ヘルバイソンという大型の牛を二口か三口で食うやつじゃ。白身じゃが脂がのっておっての、天ぷらが結構美味しいのじゃ」


 何それ怖い。


「この吸い物の出汁も、スラッシャーピラニアの骨からとったものでございます」


 焼き物を配膳してくれたメイドさんが教えてくれる。

 焼き物はそのヘルバイソンでした。この肉をマンドラゴラの葉で包んだものを、目の前の炭火コンロで焼いて食べるというおつなものです。


「炭火っていいね。八洲でも旅館で出るんだよね」

「今度八洲の旅館にも連れて行ってほしいのじゃ」

「お兄様ぁ。私も連れて行ってくださいねぇ」

「うん! 行こうね。あとさ、この炭っていい匂いするね」

「この炭はトレントじゃ。良質の炭じゃの。マンドラゴラの葉は、炙るとさらにいい匂いがするのじゃ」


 トレントおるんかーい!  

 アスタは血液を入れたティーカップを飲みつつ、ちょっとずつ料理をつまんでいる。

 うん! あとでお兄ちゃんの血を「はむっ ちゅー」させてあげるよ!  かわいい我が妹よ!  

 この前の失態はもう二度と繰り返さないぞぉぉお。

 そういえば、護衛のドラゴニュートとサイクロプスのお姉さんの名前を聞いていないな。プロの護衛らしく無駄口を一切せず、食事中も周りを見ている。


「あの、すいません。お名前まだうかがっていませんでした」


 恐縮しながら話しかける。


〜〜〜あとがき〜〜〜

この度は沢山の作品の中から拙作をお読み下さりありがとうございました。

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