第48話 違和感

トンネルの向こう側の光が近づいてくる。 


るいさんにしがみついてる俺達に、


【着地!つかまっててよ。3.....2.....1】


※ストン…※


俺は上手く着地出来たな。さっすがー!


※ストン…※ 柔らかい何かが?


【ん、地面?あっ、裕二くん。大丈夫?】


るいさんが覆い被さるように、


【大丈夫です。るいさんって軽いんですね。怪我なかったですか?】


【そこそこ体重あるけどね。裕二のおかげで、大丈夫。それに意外と筋肉あるんだね。腕とか、これだもんね】


【るいさん、くすぐったいって!!ギャハハ】


【あっ、ごめん。美咲ちゃん何処かな?近くにいるはずだけど】


※ドスン…※


【裕二…ごっめーん。大丈夫?😁】


今度は美咲かよ。いてて…足から来たか。


【大丈夫…じゃなーい!痛いって】


美咲、さっきの見ていたな。これ、わざとだ。


 俺のとこに着地するの解っていたんなら、体捻ってくれよ。るいさんみたいに。


立ち上がり、美咲に、


【ほら、俺につかまって】


美咲はニコニコして、


【うん。それで良し。優しくしないとね、彼女には。ありがとう。裕二が彼氏で良かった】


るいさんの前だからアピールしまくってるな。


解らなくもないが、るいさん呆れてみてるぞ。


【さあて、どうやって帰るかな?】


【るいさん、ブレスレッドは?】


【途中で落としちゃったかも^_^てへっ】


 連絡出来ないじゃん。俺のはバッテリー🪫切れだし、幸い夏なのが良かったけどさ。


何探してるの?るいさん?


【あつーい、水着持ってきて良かった〜これ、裕二くんと選んだ水着だよね〜】


るいさん!?美咲の前で何というか発言を。


【裕二と選んだ?ってどういうことですか!】


【裕二くんとね、服買いに行った時にね】


【裕二〜るいさんとデートしてたの〜!!ユキさんにも内緒で?それとも知ってるの?】


やばい、相当やばいぞ。


【違うって、俺が服買ってもらった時に、るいさんも水着買ってて、それで…ユキさんも知ってる…と思う】


【るいさんに服を!絶対デートじゃん!】


るいさん〜助けて〜


【美咲ちゃん、過去の話なんだからいいじゃない。ねっ、それにそんなの着ていたら暑いでしょ?何でライダースなんか着てるの?】


【そんなこと関係ないでしょ!裕二にちょっかい出さないで!】


【美咲、落ち着けって。るいさんも変なこと言わないでくださいよ】


【ごめんね〜美咲ちゃん可愛いから。意地悪しちゃった。裕二くんに相談には乗ってもらったことあるけど、それは友達としてだからね。それにしてもここ合ってるのかな?なんかちょっと違うような?】


友達…そうだよね。友達として。


るいさんは海岸の方に歩いて行った。


【るいさん、嫌い!自分に相当自信あるんだよ。解るけどさ、あのルックス…でも助けてくれたんだよね。るいさん、いなかったら私達どうしてたのかな?】


【そうだよ。そもそも俺なんか相手にされてないってことだから。ユキさんのことも、美咲と別れたから付き合った訳で…戻ったらちゃんと伝えないと】


 3年前に戻った俺達が、るいさんに助けてもらわなかったら、どうしていたか?


 たぶん、もう一度、美咲と付き合って、同じ時間を共有して、今度は美咲と同じ大学に行こうと。家庭の状況もあるが、奨学金など利用して。無理しても美咲と同じ道に。


 それは本意では無いかも。もちろん今の仕事に不満なんて無い。でも、美咲のこと、離れて解ったことがある。ずっと思い続けていて、友達として続いていても…


 るいさんに憧れても、ユキさんと同情から付き合っても、大好きで思い続けているのは、美咲だったんだ。


急に愛おしく思えてきた。美咲のこと。


【裕二、どうしたの?私汗かいてるから】


 美咲を抱きしめて、何も言わずにただ抱きしめて。


もう離さない。何があっても。




【2人とも、ちょっと来て】



るいさんが向こうから呼んでいる。


何かあったのかな?


 とりあえず、暑そうな美咲のライダースを受け取り、るいさんのところへ走りだした瞬間、


※ゴトン※


何か落ちたぞ。


【あっ、スマホ📱!何で?】




 






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