第44話 戻るの?

 俺は美咲の手を握って、美咲も凄く不安な気持ちだっだのだろう。握ってくる手から伝わってくる。


 美咲、もう離さないからな。それも永遠に。ずっとそばにいる。


【裕二、本当にありがとう。あのね、嬉しいんだけど、喫茶店で何も頼まず手を握ってるのは迷惑じゃないかな】


ありゃー、恥ずいな。確かに。


【コーヒー☕︎でいい?】


【私はパンケーキも】


長く居座るからね。いろいろ注文しよう。



 その後、研究所のこと、ここに俺が来れたこと、美咲が3年前にタイムスリップした原因など解る範囲で説明した。



【そうだったんだ。私の少し先が見えるってそういうことなんだね。でもさ、戻りたくても戻れないんでしょ?中途半端な能力だね、私】


【向こうでトラブってるみたい。美咲もこの世界では高校生なったばかりだからね。当然部屋も借りてない、大学にも登録されてないってことだ。それに中途半端な能力じゃないよ。コントロール出来てないだけだ】


【じゃ、私の免許は?】


【それはあるでしょ。俺もいつも財布に…あれ?無いな。落としたのか?】


【私のあるよ。えーと、免許取得日は…あっ、消えていく‼︎なんで?】


 これは凄い手品みたいだ。目の前で免許証が消えていく。本当に何もかも3年前なんだな。


【俺達、過去で良かったかもな。未来だったらどうなっていたか】


【免許も大学もあんなに勉強して、受かったのに〜全部やり直しなの…もうヤダ〜勉強したくない〜】


 俺は訳わからないが、もし、美咲と出会ったことがリセットされてないなら、美咲とは?


 ここにいる美咲とは出会ったばかりなのか?それとも人の記憶のみ残るのか?


※ジジ…ジジジ…※


【美咲、ブレスレットが反応して、ちょっと確認する。もしもーし、さきさん?】


※【裕二、ごめん。はるとのほうもトラブって、そっちはもう暫く大丈夫?】※


【大丈夫ですけど、戻れるんですか?】


美咲はいきなり、横入りしてきた。


【すみません。大丈夫ですので、暫くここにいまーす。直ったら教えてください。あっ、それと慌てなくていいですよ。はるとさんのことを優先してください】


【お、お前、何勝手なこと…】


※【今の声、美咲ちゃんね。助かる。それとそのライダースジャケットの内ポケットにカード💳とスマホあるんだ。好きに使って。それ、かなり前のだからリセットされてないと思うから。じゃ】※


【そのリセットのこと…さきさん、ちょっと‼︎】


切れちゃったよ。ろくに話も出来ない。


【美咲、どうするつもりだよ】


【3年前に戻れたなら、あの夏をまた経験できるでしょ?私は最高の夏だったよ。それにもう、大学のための勉強はしないことにした。免許は別だけだね】


【マジかよ、それでいいのか?】


【裕二のそばにいたいもん。きーめた!だからね、裕二、ユキさんと付き合うのは無しね。高校生活3年間目一杯楽しむ】


確かに、俺も美咲のこと…そうするか。


ユキさん、中途半端になってしまい、ごめん。


 さきさんがくれたライダースジャケットを着た美咲はボソッと、


【ちょっと小さいな。えっ、何?何?】


似合う〜ワイルド美咲‼︎可愛い〜


そんな美咲を抱きしめて離したくない。


※【ちっ、さっきからこいつら…お客様、申し訳ございませんが、ここ喫茶店ですので、少しご遠慮いただければ】※


【すみません。気をつけます】


今、ちっ、って言われなかった?


【裕二の馬鹿‼︎もう帰るよ。このカード💳使えるだよね?とりあえずここで使ってみる?】


気まずいから早く出たいよな。


【そうだね。試してみよう。すみませーん、これで】


※【ありがとうございます。こちらレシート🧾になります】※


【使えたな、美咲】


【うん!名義は確認されないのかな?】


この際、細かいことは気にしない。


3年前に戻って人生やり直しなんだからさ。





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