第43話 その後

 美咲のことが心配で心配で、夢にまで何度も出てくる。夢の中では元気だけど。


夢ははっきり記憶出来ないのがもどかしい。


とにかく会いたい。


美咲、どこにいるんだ?


【裕二くん、明日からお店暫く休業しよう】


ユキさんの言葉は、俺のせいだ。


【俺が気持ちのことですね。すみません。仕事に集中します】


【違うの、研究所に来てと連絡あって】


【何か進展あったんですか?】


【美咲ちゃんのこと、詳しくは解らないけど、私も心配だから。2人ともこんな気持ちではとても営業なんて出来そうもないよね。もし美咲ちゃんの場所解ったら裕二くんは…】


【どこだろうと迷わずすぐに向かいます。リスクなんて考えません】


【そういうと思った。裕二くんはすぐ研究所行って。今日のお客様の対応は私がするから】


責任感強い、ユキさんの言葉に甘えて、



【ユキさん、すみません。行ってきます】



その後のことは慌ててよく覚えていない。


とりあえず研究所に着いた。


さきさんという、ここの統括してる人が、


【美咲ちゃんの場所解ったよ。どうする?】


【行きます。すぐに!】


【ここに帰って来れる保証ないよ。それでも構わないなら止めない。行くんだったら、とりあえずこれ持っていって。このブレスレットで通話できるし、いざとなったら…じゃ準備して】


準備?


【そのブレスレットあればいいですよね?】


【その格好で行くの?寒くない?向こうは春だよ。3年前の春。何でそこに飛んでるか解らないけど。美咲ちゃん何か特別な強い思いがあったのかな】


美咲、その時は、俺と付き合い始めた頃…


【寒くていいです!今すぐ美咲に会いたい】


【落ち着きなよ。これ、持っていって。ライダースジャケット。無いよりマシでしょ。私のだけどさ。決済用スマホとカード…ちょっと聞いてる?】


【これ、着れるかな?俺】


【それ美咲ちゃんのだって!裕二のはそこらにあるの適当に持っていって。話聞いてよ!】


【あっ、話を。じゃ、ブレスレッドつけたので行ってきますって、どこからですか?早く行かないと】


【その扉🚪から。吸い込まれるから頭とかぶつからないように…って、聞いてるの!?】


※ゴン!※  痛っ!


 痛みのせいか、焦ってるせいか、記憶がおろそかだ。


 ただ不思議なトンネンを凄い速度で通り抜けてる。向こうが明るくなったな。


※ドタン!※ 腰が〜、お尻が〜


衝撃に受身取れず、地面に叩きつけられた。


目の前には、校舎らしい建物が。どこだ?


【えっ、裕二、何で?】


美咲!無事だったんだね。


【痛っ、ちょっとぶつけて。美咲、説明は後。帰れるかな?さきさん、聞こえてますか?】


ブレスレッドが反応してる。


ジジ…ジジジ…


※【裕二くん?着いたの?美咲ちゃんは?】※


【美咲と会えました。それで戻るにはどうすれば?これで、このブレスレットで戻ること出来ますよね?】


※【うん、その予定だったんだけどね、ちょっとトラブって。ごめんね。暫く待って】※


【ちょっと、そんな、さきさん?さきさん‼︎】


無責任、無責任過ぎる。勘弁してよ、もう。


【美咲、詳しく説明する。とりあえず落ち着いて話せる場所行こう。この辺で喫茶店とかある?この大学って美咲が合格した…どうしたの?美咲?】


【裕二、ごめんね。3年前のこと思い出していて、やっぱ、裕二のこと…忘れられない】


美咲、物凄い力でしがみついてきて、


【いてて…落ち着いて。まず説明するから。大丈夫。俺そばにいるから】


 それにしても、これからどうするかな?3年前に、過去に来たのか。美咲と付き合い始めた頃だな。


ブレスレッドが反応してる。直ったのか?


※【聞こえるか?おい、さきさん。さっきの衝撃で壊れてるのか?るい達、見つけたぞ!美咲ちゃんの場所はどうなった?】※


はるとさんの声だ。はるとさんと無事なんだ。


美咲のこと心配してくれてるんだ。


研究所からじゃないな。これ混線してるのか?


【はるとさん、聞こえますか?はるとさん】


返事は無いな。聞こえないのか。 


とにかく美咲に説明だな。








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