第42話 俺の出来ること

 美咲はどこに向かったのか?もしくはどの時代?どの時空?


 解らん。何もかも解らん。何も知識ないとそれこそ全てがイミフ。


助けたいが、まいったな…


 少なくとも美咲は、このような能力が備わってると思うしかない。


・美咲は予知能力がある。

・時空の狭間から過去か未来に飛んだ。

・その波動や信号を研究所がキャッチした。


 そして、俺はその研究所に来ている。そこには、はるとさん達が勤めている。そして、はるとさんが好きだった、るいさんも過去か未来に飛んでいる。その理由は解らないけど。


ざっと説明したが、はるとさんは、


【うん、裕二、だいたい合ってる。俺がるいを好きだったということ以外はな】


【はるとさん、好きだったでしょ?てか、なんで、裕二になった?急に親近感見せてきたのは何故?】


【俺が好きなのは…もういいや、説明するの面倒だからさ、それに俺のこと、はるとでいいぞ。遠慮するな】


ん、それでもいいか。確かに楽だよな。


はると、そんな風に呼べる訳ないでしょ。


【裕二、ユキさんと付き合ってるのは知ってるが、本当は同情で付き合ってるんじゃないか?それは失礼だぞ。それに美咲ちゃんのことを本気で探そうとするならば、悲しませる相手を作ってはならない。接し方を変えてみるのはどうだ?俺はそう考えるがな】


ムカついた!この偉そうな態度に!


【勝手にいなくなって、そんなこと言えた立場か?みんな心配していたんだぞ。それに、はるとさんは、本当はユキさんの気持ちに気がついてるんじゃないのか?ユキさんのこと考えてるから俺にそんなこと言ってきたんだろ】


【おっ、切り込んできたな。それでいいんだ。つまらない壁なんか取っ払ってさ】


どうしても偉そうにしたがるな、こいつ。 


【なぁ、裕二。美咲ちゃんのことは研究所の人達が何とかすると思う。信号をキャッチしてるってことは間違いなく生きてるんだ。お前は無茶はするなよ。そして、ユキさんのことを家族、いや、姉だと思ってさ。頼む。支えてやってくれないか?】


【何だよ、もう会えないみたいな言い方。俺はせいせいするがな、うるせーのがどっか行くなら。どっか?本当にどこか行くのか?】


【俺のことはいいじゃないか。実は俺も弟みたいな感じで裕二のこと見ていたんだ。とりあえず連絡する。ユキさんの支えになってくれ。弟として。もちろん美咲ちゃんのことは今後も何か解ったら報告する。じゃ】


その後、はるとさんとは何も会話していない。


 ユキさんから聞いた話では、はるとさんも助けたい人達がいて、みんなの反対を押し切って未来に飛んだとのことだ。変えたい未来があるってことだな。大丈夫なのか?


 しかも、美咲のことまで探すって、研究所の一部の人には伝えたと。なら、そう言えよ…


カッコつけやがって。 


 ユキさんは辛そうな表情を見せないけど、無理してるんだ。心配なんだ、はるとさんのことも、美咲なことも。


 そして、ユキさん、本当は、はるとさんのこと…好きなんだよな。


 ユキさんのことを姉とか、家族とか、そう思うようにしてるけど。


 はると、無理難題押し付けやがって、カッコつけやがって。


 俺は素直にならなかったな。本当は、はるとさん、もっとジェットのこと、海のこと、インストラクターとしての技術、たくさん教わりたかった。それなのに…


 せめて、信じてやるか。悔しいが、美咲のこと託すしかない。願うしか無い。


俺にはその程度のことしか出来ないんだ。


何も出来ない自分が嫌になる。








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