第34話 戻れた
美咲とはずっと会ってなかったような…そんな気がする。
同じ教習所、同じ時間、しかも貴重品入れのロッカーも偶然にも隣に。なのにお互い話出さない。
話したく無いのか、話しにくいのか、どちらと言われれば俺は後者の方だ。
乗るバイクも隣。順番も美咲、俺に。何の因果だろう。ここまでも何もかも話すだけの条件は整ってる。
なのに、話せない。きっかけを作り出すことが出来ないでいる。美咲とは初めから気さくに話せたのにな。
始まった教習。とりあえずスタートはエンストせずに。
そして…
苦手なクランクだ。美咲はスイスイと。
【あっ!!】
前方の美咲は急にブレーキを。俺もつられてフルブレーキ。これは、たぶん、
※ガシャーン※ こけた〜〜〜
教習車はガードがあるから、何とか怪我しないで済んだ。それにしてもびっくりした〜
慌ててバイクも起こさず美咲の方へ。心配で、教官よりも先に。
【美咲、大丈夫?】
【大丈夫。あ〜あ、見極めだったのにな〜】
久々に話せた。こんな変なタイミングだけど。
※【大丈夫ですか?起こせますか?】※
教官が来て、クランク内のため出口まで移動してくれた。
その結果、その他は卒なくこなした美咲は、見極め良好。卒業検定申し込みとなった。
俺は、美咲よりも遅れてるため次の教習が見極めだ。プロテクター外していると美咲が、
【さっきはありがとう】
【怪我しなくて、見極めも良かったね】
【うん。あのさ、卒検は裕二の見極めに合わせて申し込むから一緒に受けようよ】
【そんな、夏休み中に取れなくなるかも。俺のこと気にしないで。俺、見極め大丈夫か解らないから】
【裕二と受けたいの!気弱にならないでよ。ね、私は一緒に受かりたいの!】
か、可愛い。そんなこと言われたらね〜
改めて美咲の可愛さを知った。
【夏休みギリってとこか。ストレートに受かったとしてさ。これは見極め、大事だな】
【夏休みの思い出になるかもね】
【俺、もう思い出出来たよ。こうして美咲と話せた。こんな風に話せないかと思っていたから】
【裕二、るいさんのこと気にしていたからさ。ムカついてそれで…でも、こうして、話せるって嬉しいね。卒検受かったら免許更新に行こうね。何もかも同じ日にしようよ】
【卒検ね、プレッシャーに耐えられるかな。卒研…あっ、みさきさん!】
【えっ、なあに?】
【美咲じゃないよ。なんで、さんって俺がいうんだよ。みさきさんのほう。今日卒検だったんだ】
【それじゃ、もう合否出てるよね?】
【ロビーにいこう!】
俺達は慌ててロビーへ。
そこには、座り込んでるみさきさんが、
これはちょっと、話していいものか?
美咲は、遠慮なく話しかけて、
【みさきさん、どうでした?】
同じ名前とはいえ、何故こうもメンタル違うものなのか?
俺はとても話しかけれないって。みさきさんこの雰囲気じゃ。
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