第28話 すれ違い

 夏休みもあと少し。教習所には思ったペースで通えていない。ユキさんのバイトも思ったよりハードで宿題も…宿題!!残ってる!!!


【美咲、夏休み終わっちゃうよ】


【だから?そんなの解ってたことじゃん】


 るいさんと海岸で話していたことが原因で、美咲は俺のことを信じられなくなってるみたいだ。


 彼女は彼女なんだ。でもさ、結婚してる訳じゃない。この先のことは解らない。


 美咲だって、ずっと俺と付き合ってるとは限らない。この先出会う人に惹かれていくかも知れない。


【何かさ、美咲、冷たくない?】


【そう?こうして家に来てるじゃん。普通だよ】


【うん…そうなんだけどね、何かさ】


 あの日からずっとだ。今の美咲の態度、これがずっと続かなら、もう溝は埋まらないかもしれない。


【なぁ、ストレートに言ってよ。るいさんと俺が話していた内容が気になるんだろ?たいしたことじゃないんだよ】


【別に、るいさんのことって言ってないよ】


【じゃあさ、その冷めた態度何なんだよ!!】


【じゃあ、帰るよ。ごめんね】


何か嫌だよ、こんなの。


 もう、よりによって教習所じゃん。行きたくないな。もう免許諦めようかな…


 美咲と日程もあまり合わない、でもそれでいいのかもな。



……………………………………………………………



 免許費用無駄にするのは勿体ないな。とりあえず行くか。



……………………………………………………………



早かった…プロテクタ着けて時間まで待機。


【おっ、ユキのとこのバイトくん!!ここに来てたの?】


誰ですか?このお姉さん?


【あっ、メットつけてるからか。ちょっと外す】


あっ、みさきさん。美咲と同じ名前の。


【みさきさんでしたよね?免許持ってますよね?バイク乗って来てましたよね?】


【うん。大型乗りたくて、私の普通自動二輪だから。バイトくんは?普通?】


【何か美咲に、あっ、彼女の…彼女って言っていいのか解らないけど、誘われて】


※ギュー〜〜※ 痛たた!!!!!!


 みさきさん、ヘッドロック!!プロテクターつけてヘッドロックしないで〜痛すぎる。


【何だよ~何か暗すぎる!!せっかくのバイク教習でしょ?楽しもうよ、ねっ!!】


【とりあえず、痛いので、離してください】


【あっ、ごめん。プロテクタつけてた】


【そりゃプロテクタ着けてたら痛いですって!!】


みさきさんは、ニヤッとして、


【じゃあさ、もし着けてなかったら?】


【………言えません………】


【こんな純情な可愛い年下かまっちゃいけないね!】



※【羽村さん、ちょっとこちらへ】※


【じゃ、呼ばれたので、何か間違えたかな?】


【次の時間?私と一緒だね。先に行ってるよーん】








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