第19話 すき焼き

 夏も終わる。この夏はマリンジェット2回だけ。

もっと楽しみたかったな。あ〜あ、学校ヤダな。


【裕二〜夏休み終わっちゃうよ〜】


【俺に言われても、バイトも入れないと】


【朝バイトして、昼からフリーにすればいいのに】


【美咲みたいなこと出来ないの!!美咲はタフ過ぎる。あ〜眠い】


【じゃ、膝枕してあげる】


【そんなこと、出来るわけ無いだろ。いいよ】


【ほら、遠慮しなくていいんでちゅよ〜】


 美咲は強引に膝枕を。何か落ち着くな…眠れそうだ…グー😪💤



……………………………………………………………



【ふ〜、暑い!!ただいま~】


※バタン※


【美咲ちゃん、今日は夕飯食べてって…?裕二?】


【お母さん、熟睡してるから】


【…美咲ちゃん、ごめんなさいね…私が恥ずかしい、何かお母さんって呼ばれるとほんと娘が出来たみたい、嬉しい〜!!】


【そんな、私も嬉しいから。それに、裕二も私に気を許してないと、こんな寝ないですよね?それも嬉しくて】


【だらしない寝顔で、まったくもう。夕飯すき焼きだからね。絶対に食べて行ってよ。福引で2等の牛肉当たったから。慌てて材料揃えてきたの】


【嬉しい!!ありがとうございます】


【じゃ、足痺れたり、飽きたりしたら、叩き起こしていいんだからね】


【はい、可愛い寝顔見てるから飽きません】



……………………………………………………………



【ふぁ!!寝ちゃった!ごめん、美咲!!】


【可愛かったよ、寝顔】


恥ずかしい…とんでもなく恥ずかしい…


【ん?何かいい匂いしないか?台所かな?】


【あっ、今夜すき焼きだってさ。お母さん福引でお肉当たったらしいよ】


【すき焼き〜!!真夏に?…何で知ってるの?】


【さっき来たもん】


ゲゲッ!!もしかしたら膝枕してるとこを。


【見られた?】


【バッチシね!!】


後でこれは言われるぞ〜


【美咲、ごめんね。恥ずかしい思いさせて】


【楽しかったよ、寝顔可愛かったからね】


何とも情けないやら、恥ずかしいやら…



……………………………………………………………



【美咲ちゃーん、裕二、すき焼き出来るから!!】


俺と美咲はすき焼きの香りに誘われ、急いで、


【お母さん、ご馳走になります】


【親父は?】


【今日飲み会だって。だからすき焼きにしたの。お父さん野菜食べないでお肉ばかりだからね】


 なるほどね〜それにしても真夏のすき焼きってのも、汗だくになるね。


※ジュ~🥓、パチッ!!※ あっちー!!


【ごめん、はねた?】


お袋、おもいっきりな!!


【あっちー、はねたよ】


【美咲ちゃんは大丈夫?】


【私は大丈夫です。裕二に…】


【裕二なら大丈夫大丈夫!!】


お袋が言うなよ、もう。



……………………………………………………………



【お母さん、お腹いっぱいになりました。ありがとうございました。ご馳走様でした】


【遠慮して食べなかったんじゃない?】


【そんなことないですよ、たくさん頂きました】


残ってるけど、俺もお腹いっぱいだしな〜


【お父さんに牛丼にしてあげよう。豆腐、しらたきを多めにして…裕二、ちょっとアイス🍨買ってきて。はい、これポイントカード。貯まってるから】


【苦しい…腹ごなしにちょうどいいか】


【私も行く。お腹苦しくて…】


 夕暮れの街並みを二人で歩きながら、アイス🍨を買いに。どこからかカレー🍛の匂い。お腹いっぱいでもいい香りは大歓迎。


 解っていたけど、美咲、やっぱ可愛いな。汗かいてる。俺もそうだけど、真夏のすき焼きだったからね。


【どうしたの?なんかついてる?私に】


【汗かいてるね、すき焼きだったからね】


【美味しかった〜楽しい思い出になるもんだね】


そんなもんなのかな?


【あっ、福引!!私達も】


【無いでしょ?福引券】


【じゃーん、これ見て!!買い物していて貯まっていたんだ。レシートとごちゃごちゃになってるけど】


【たくさんあるね、じゃ並ぼうか。アイス🍨はその後で買おう。溶けちゃうからさ】


福引なんていつ依頼だろう?


こんな何気ないことも、美咲がいると新鮮だ。


【美咲、ここでこそ能力を発揮出来んじゃない?】


【そんなズルはしないの!!並んだ順に。そんなんで当たってもバチ当たると思わない?】










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