23話 鬼神

男はスキル、鬼神化によって身の丈3メートル以上の鬼に変化していた。


「前見た時はそんなヤバそうな空気をまとっていなかったぞ!」


カーターは驚いた表情で叫んだ。


「10年以上も前のことを今更持ち出すな!

今の俺ならお前にも勝てる実力がある!」


自信満々に男は言い返す。

実際鬼神化はプラチナスキルだ。

元々はゴールドスキル鬼化だったのだが度重なる戦いによって覚醒し鬼神化になった。

スキルが進化することはほとんどない。

しかしどんなスキルも本人の力量次第でプラチナスキルに進化する可能性を秘めている。

対するカーターのメインのスキルはブースター。

何の変哲もないブロンズスキルだ。

しかし扱いにくいものの能力自体は強い。

そのことをわかっているからこそ男はカーターのことは舐めてはいない。


「俺に勝てる?

寝言は寝てから言え!」


先に仕掛けたのはカーターだ。

ブースターにより加速した拳を叩き込む。


ガン!


金属音が鳴り響きカーターの拳は弾き飛ばされる。


「アインス、お前こんな硬かったか?!」


カーターの拳はからは血が出ていた。


「お前が弱くなったんじゃないか?

今度はこっちから行くぞ!」


そう言って今度はアインスが拳を振り抜く。

吹き飛ばされたカーターは壁に叩きつけられる。


「ふん、たかがこの程度か。

俺はお前を過大評価していたようだ。」


そう言って背を向けてその場を去ろうとするアインスだったが背後から瓦礫が崩れる音が聞こえ振り返った。


「過大評価していただと?

笑わせるな。

勝負はこれからだろ!」


そう言ってふたたびカーターは立ち上がった。


「何度やっても結果は同じだ。

立ち上がるだけ無駄だぞ。」


同じように拳に力をこめるカーターを見てアインスは言ったが次の瞬間感じたのは強烈な痛みだった。

3メートル近い巨体は吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。


「さっきのお返しだ。」


手に着いた砂をはらいながらカーターは言った。


「さっきのは本気ではなかったということか....」


瓦礫を壊して抜け出しながらアインスは言った。


「もちろん。

いつ俺が本気だと言った?」


「こっからが本気の勝負というわけか。」


そう言ったアインスの胸が切り裂かれる。

切り裂いたカーターの手には光り輝く剣が握られている。


「光の剣か!」


アインスの傷口はすぐに塞がった。

鬼神化による効果だ。

傷口が塞がると同時にアインスは真紅の炎を放つ。

これも鬼神化の能力、鬼火だ。

鬼火はカーターのことをつつみ、燃やしつくそうとするが光の剣に破られる。

さらにアインスは最上位魔法【地獄の炎】であたり一体を赤黒い炎で埋め尽くす。

この魔法は発動と同時に周囲の酸素を使い果たし生物を死に至らしめる地獄のような魔法である。

ちなみに酸素がなくなっても炎が消えることはない。

しかし炎を消えた。

カーターも最上位魔法【光の柱】を撃っていたのだ。

【光の柱】のダメージによりアインスは一時回復のために【地獄の炎】を維持できなくなったのだ。


「ゴホッゴホッ。

とんでもない魔法を使いやがって」


カーターは咳き込みながら言った。


煙が晴れ、カーターの目に映ったのは既に全回復したアインスの姿だった。


「もはや魔法ではお前を倒せないようだな。

魔法が無理ならこの拳で叩き潰す!」


「やってみろ!」


カーターは笑みを浮かべながら言った。




























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る