24話 肉弾戦

カーターを自身の魔法では倒せないと悟ったアインスは接近戦を仕掛けた。

鬼神化の1番の強みは圧倒的体格とそこから繰り出されるとんでもない威力の攻撃だからだ。

つまり暴力の化身というわけである。

拳と拳がぶつかり、その衝撃波により辺りがみるみるうちに更地になっていく。

カーターは【光の剣】を使っていない。

その理由はアインスと直接殴りあいたかったからだ。

とは言っても鬼神となったアインスと殴りあうのは至難のわざだ。

ブースターによってスピードをのせないとまともに近接戦はできないほどだ。

それほどまでに鬼神化したアインスの暴力はとんでもないものであった。


(魔法に頼らずアインスを止めるのはさすがにキツイな。)


カーターは嵐のような攻撃を何とか防ぎながら思った。

カーターの最強技は魔法である。

つまりブースターにより強化した肉体で戦うのは分が悪い。


「まだ、出力をあげられるだろ!

さっさと全力をだせ!」


アインスはカーターがまだ余力を残していることに気づいていた。


「言われなくても今だすさ!」


そう言ってカーターはブースターを完全解放する。

完全解放したカーターは徐々にアインスをおし始める。

完全解放の効果は基礎身体能力の向上、肉体強度の向上、その他諸々である。

肉体強度の向上は加速し続けるカーターの肉体が壊れないようにするためのものであり、超スピードの付属品だ。

カーターの猛攻を受けたアインスもさらにギアを上げる。

目は白目になり肉体もさらに膨れ上がりアインスの意識が吹き飛んでいる。

これがアインスの切り札だ。

自我を犠牲にさらなる力とスピードを得ることができる。

今までの戦いでアインスは自我を失わないギリギリまでしか鬼神化の出力をあげていなかった。

しかしブースターの完全解放をしたカーターに対抗するためにはもはや暴走をためらう場合ではなくなった。


「オオォォォォォォォォォー!!」


アインスが空に向かって咆哮をあげる。

その咆哮は周囲に凄まじい影響を与え、カーターの体までも硬直させた。


硬直し動けないカーターをアインスは地面に叩きつける。

とんでもないパワーにカーターは地面にめり込んだ。

その瞳は正気をを完全に失っており野獣となんら変わりはない。


アインスは追撃をはなつがカーターの方が一瞬速く、避けられ逆に蹴り飛ばされる。

アインスも反撃をするがスピードで勝るカーターに攻撃は全く当たらない。

カーターはさらに攻撃を叩き込もうとするがアインスは最上位炎魔法【フレアバースト】を全方位に放った。

全方位に放たれた灼熱の炎を避けきれずカーターは炎に包まれ大ダメージを負った。

カーターは肉体のダメージを再生するために距離をとる。


(全方位ではなく一点に集中した一撃ならばやられていたかもな。)


カーターは心の中で思った。


「アインス、お前が魔法を使うなら俺も使わせてもらうぞ!」


そう言って雷を練り上げる。


「ジャッジメント!」


放たれた雷はアインスに直撃した。

ジャッジメントは直撃したアインスを中心に爆発し、地面をえぐりさらに雷を撒き散らす。

爆発による煙が晴れるとその中心には鬼神化がとけたアインスが倒れていた。


「インセクトの場所を聞けそうにないな」


気絶し、ボロボロのアインスを見てカーターはボヤいた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る