21話 インセクト
先日の襲撃者は憲兵に引き渡された。
「王女殿下の護衛感謝する。
これからは憲兵が護衛を引き受ける。」
憲兵が護衛に着くならもう安心だな。
そもそも俺一人に護衛を任せていた現状が問題だったんだが。
俺はテスト勉強しないといけないし、このタイミングでの護衛任務終了は正直いって助かる。
後で聞いた話なのだが、憲兵は何か起こったあとでないと動く事が出来ないそうだ。
だからまずは四天王に護衛を任せて何か起こったら憲兵に護衛を交代して貰うという方式を取っているらしい。
それはそうと近況報告に昨日父さんに送った手紙の返答がもう帰ってきている。
速達で頼んだからかもしれない。
襲撃のことも書いたのだがそれについての聞きたいことがあるみたいだった。
【その襲撃者の腕に数字が書いてなかったか?】
妙な質問だな。
確かに腕に数字が書いていた気がする。
10って書いていたかな。
手紙にそう書き発送する。
今回も速達にしたから1日ぐらいでつくだろう。
◇◇◇
あれから1日がたった。
もう手紙は父さんの手元に届いているはずだ。
手紙が帰ってくるのは最低でもあと1日かかるはずだったが、父さん自身が来た。
「ノア....例の手紙での話なんだが」
いつもの父さんと違い真剣な表情だった。
「とりあえず俺の部屋で話そう」
部屋に着くと父さんが話し始めた。
「ノア、お前が見た腕の数字は簡単に言うと序列だ。
1から10まであって数字が小さくなるほど序列が高い。」
そう言って父さんは自分の右腕を見せる。
数字の1が刻まれている。
「この国もそうだが他の国でも王族が気に入らない貴族を処分することがある。
この国でその役割を担っているのが右腕に数字を刻まれた者達だ。」
「父さんがその役割を担っていると?」
父さんの右腕にも数字が刻まれているってことはそういうことだろう。
俺の質問を聞き父さんは苦笑する。
「いや、していない。
させられそうにはなっていたが」
父さんは少し含みのある言い方をした。
「とにかくそういう組織があるんだ。
王女殿下を襲ったやつの右腕にも数字があるってことは間違いなくそうだろう」
「その組織はなんて名前で呼ばれてるの?」
裏で貴族の処分をする組織では長すぎる。
もっと呼びやすい名前がいい。
「名前はインセクトだ。
まあ名前なんてどうでもいい。
とにかくインセクトが王女を暗殺しようとしたことが問題だ。
王族が狙われるってことは十中八九後継者争いだろう。
王女は国民にかなり人気がある。
今回の件は国民人気がない第1王子と第2王子の仕業だろう。」
後継者争いは大変そうだな。
「ノアが狙われることがあったら教えてくれ。
その時はインセクトを潰す」
俺がターゲットにされない事を祈ろう。
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