20話 襲撃

護衛を始めて数日たったが特に何も起きていない。

前に護衛している途中にあくびしていたのを例の侍女に見られて睨め付けられたこと以外は通常運転だ。

夜だし眠たいのは当然だろ。


「武器も持ってないのにシャルロット様を守れると思ってるの?」


感じ悪いな。

初対面の時から攻撃的だったしな。

ちなみにシャルロットは王女の名前だ。


「余裕ですよ。

シャルロット様1人を守るくらい。

それに俺のスキルは素手の方が強いですし。」


ライジングは武器の強さはあげることは出来ない。

今まではほとんどスキルの力を使用することが出来なかった。

だからさすがに素手より武器を持った方が強かったが、エリーとの特訓で急激に制御できる出力が上がっていっている。

既に武器を持つよりも素手の方が強くなっている。

ちなみに【光の剣】は素手より強いが常に魔力を込め続けなければならないため持続力がない。

いざと言う時の必殺技ってことだ。


「とにかく素手でも余裕ですよ」


気に食わないのか舌打ちして侍女は去っていった。

護衛中は一応ライジングを発動している。

俺は仕事はちゃんとこなすタイプだからな。


それにしても本当に何も起こらない。

今日はもう大丈夫そうだ。


飲み物でも買いに行こうと思って立ち上がった瞬間殺気を感じる。

それと同時に一気に眠気が覚める。

普通なら気づかないほどのものだが、今の俺はライジングを発動し続けているため感覚が研ぎ澄まされている。


慌ててドアを蹴り破り部屋に入る。

暗闇の中目をこらすと王女にナイフを突き刺そうとする人影が見えた。

魔力を放出し、ナイフを弾き飛ばす。

魔力の放出は先輩がやっていたのを真似したものだ。

魔法と比べて発生までの時間が短いため、使い勝手が良い。


ナイフが床に落ちた時かなり大きな音がなったが王女は起きない。

多分スキルかなんかで眠らされている。

俺が眠かったのはコイツのせいにしよう。


早くも襲撃者は逃走しようとしている。

判断が早いな。


「逃がすか!」


俺が破壊したドアをの欠片を投げ飛ばす。

それにより襲撃者に僅かなすきができる。

それを見逃す俺では無い。

これ以上部屋を壊さないように接近戦でボゴボコにする。

襲撃者も対応しようとするが、俺の速さには到底追いつけない。

そのまま意識を奪った。


「ふぅ~。

任務完了だな。」


襲撃者が倒れたことで王女の目が覚めた。

やっぱりスキルで眠らされていたんだな。


「これはどういうことですか!?」


壊れたドアと倒れた襲撃者を見て王女が驚いた顔をする。


「ドアは俺がぶち破りました。

転がってるコイツはシャルロット様を殺しに来た輩です。」


「とりあえずその男は憲兵に引き渡しましょう」


もう既に冷静さを取り戻している。

殺されかけたというのに大した精神力だ。


それにしても本当に王女を殺しに来るやつがいるとはな。

まだ護衛は続ける必要がありそうだ。

それに、誰の依頼かどうかも確かめないといけない。

問題は山積みだ。




















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る