15話 四天王

いつものように授業をサボって廊下を歩いてると声をかけられた。

セントラルでは成績に関係ない授業がいくつかある。

俺は関係ないやつ全てにでてない。

多分先生の印象は最悪だ。

まぁ俺は先生に気に入られたいわけじゃない。

せいぜい好きにやるさ。


「君がノアくんかい?」


「そうですけど」


この制服多分先輩だな。身長高いし。


「ノアくんはこの学校の四天王制を知っているかい?」


「知りません」


そう言って俺は離れようとしたのだが、再度呼び止められる。


「知らないなら知らないでいいんだ」


立ち去ろうとしてたせいで変な体制でかたまり転けた。


「大丈夫かい?」


差し伸べてくれた手を取り立ち上がった。


「話だけでも聞いてくれないかな?」


2人で食堂に移動する。


「四天王制って言うのは簡単に言うと学校一の実力を持った生徒が自分以外の3人を選んで構成される組織だ。選ばれた3人は四天王だけの権利が与えられるけど、挑戦を受ける義務を負うことになる。負けたら入れ替わりだ。」


四天王ならではの権限があるのか。


「で、本題なんだけどノアくん、四天王に入ってくれないかな?」


「そんなノリで入れるものなんですか?」


そもそもなんで俺なんだ?


「そんな簡単に入れるわけじゃないよ。

ただ四天王の中に1人ムカつくやつがいるんだ。

僕が選んだわけじゃないんだけどね。

追放したいけどそれは出来ないから勝てそうな人に倒してもらって入れ替えようと思ってね」


この言い方この人が四天王トップか。


「どう?四天王なってみない?

ちなみになったらモテるよ」


「ぜひお願いします」


即答だった。

もしそうなら断る理由はない。


「でも俺が現四天王の人に勝てるんですか?」


「う~ん。多分いけると思うよ」


なんの確証もないな。


「なんで勇者を選ばなかったんですか?」


エリーなら絶対勝てたはずだ。


「絶対に勝てる戦いは面白くないからね。

みんな接戦を望んでいるんだ」


「みんなってどういうことですか?」


観客でもいるのか?


「四天王VS挑戦者は一大イベントだからね。

もちろん観客はいるよ」


大人数の前で戦うのは嫌だな。

だがそれもモテるなら問題ない。

ただし勝てればの話だが。


それにしてもイベントって言うくらいならいつ挑戦できるんだ?


「じゃあ明後日でよろしく頼むよ」


「早くないですか?」


明後日ってもうすぐじゃん。


「開催日時に合わせて誘ったからね」


どんだけ準備してきてるんだよこの人。

俺がやっぱ無理とか言わないように、開催日時前に言ってくるとは、用意周到すぎる。


とりあえず四天王という地位と名誉を手に入れるために本気で潰しに行かせてもらうことにしよう。

俺という存在をこの学校に知らしめてやる!




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