10話 父さんの戦い

父さんが走り出した方には普通の男がいた。

ソニーさんも近くにいたが訳が分からないようだった。

その男に向かって父さんは剣を振り下ろす。

が、次の瞬間には父さんの後ろにその男はたっていた。

異次元の速さと言うよりか、瞬間移動と言った方がいいかもしれない。

父さんの肩から血が噴き上がる。

しかし、傷口が一瞬で塞がった。


(父さんのスキルは何なんだ?)


「殺せたと思ったが、硬いな」


悪魔は、本当に驚いた顔をしている。


「本気でやるか」


その瞬間頭から角と羽が生えてきた。

この特徴を持つのは悪魔だ!

それにとんでもない魔力量だ。

最上位の悪魔なのかもしれない。

もしそうならかなりやばいぞ。父さんが勝てるかどうか。



◇◇◇



カーターは何が起こったのかわかっていなかった。

自分が斬りかかったら、逆に自分が傷を負ったからだ。

カーターのスキル、鑑定眼は相手のスキルを見抜くことが出来る。

だが鑑定眼を使ってもスキルをすぐに見抜ける訳では無い。

時間を稼ぐ必要がある


(やるしかないな)


カーターは悪魔と向き合う。

その瞬間さっきと同じように傷を負う。

しかしその瞬間カーターは自身の後ろを斬りつける。

だが既に距離を取られている。


「お前の能力は何なんだ?」


鑑定の時間を稼ぐ。それが今1番しなければならないことだ。


「なんだと思う?」


笑いながら質問を質問で返す。

悪魔も悪魔でカーターに興味を持っていた。

自身の攻撃を食らっても平然と立っている。

そんなやつは長らく出会っていなかったからだ。


カーターは質問の答えが返ってこないことを知るとまた斬りかかった。

また同じように傷を負う。

だが次の瞬間放った攻撃は悪魔に直撃した。

鑑定はもう終わっていた。

悪魔のスキルは時間停止。

時を止め、止まった時間の中を自由に動けるというもの。

鑑定を終えることでカーターは止まった時間を観測できるようになっていた。

そのおかげで攻撃を当てることが出来たというわけである。


「勝たせてもらうぞ!」


そして自身のスキルを解放する。

スキル名はブースター。

このスキルはあらゆるもののスピードを上昇させることが出来る。

鑑定を早く終わらせられたのもこのスキルのおかげだ。

反面使い勝手が難しく加減を間違えればダメージを食らうのは自分だ。


再び時が止まる。

だがカーターは止まらない。

ブースターによって自身の時間を加速させることで停止世界でも動くことができるようになっている。

悪魔も剣を取り出し停止した世界で激しく打ち合う。

両者避けきれなかった攻撃によって傷を負っているが一瞬で回復している。

悪魔は元々高い自然治癒能力を持っている。

カーターの再生はスキルによるものだ。

本来擦り傷すら再生するのに時間がかかるのだが、これもブースターの力で解決している。


突如、時がまた動き出した。


「お前も動けるなら意味は無いな」


時を止めると言う行為は莫大な魔力を消費する。


「それは良かった」


ブースターも時止め程ではないが魔力を消費する。

そして自分の時の流れをいじるのも集中力が必要な行為だ。


何度も打ち合う中でカーターが悪魔を押し始めていた。

それもそのはず、ブースターはスピードを上げるスキルだが、そのスピードに耐えるために基本スペックが底上げされる。


「ライトニング!」


空から雷が降り注ぎ悪魔を襲った。

闇魔法で防ぐも強力な蹴りに吹き飛ばされる。

続けて繰り出される光のレーザー。

悪魔はそれを闇魔法、暗黒線で防ぎ切る。

次の瞬間闇が地面を埋め尽くす。

カーターが足を取られる。


「カーターさん」


近くで見ていたソニーは思わず叫んだ。


「カーターって言うのか! 闇に死ねカーター!」


「いやだね!」


カーターの大剣が闇にからめとられる。


「光の剣!」


すぐさま剣を作り出し闇を吹き飛ばす。


「面白い!! 面白いな!!」


狂ったように笑いながら悪魔は叫ぶ。


「おい、カーター!!」


「なんだ?」


「返事をしたな!! お前は動けない!!」


悪魔が持っているスキルの中に、名前を呼んで返事をした相手の動きを止める力を持つものがあった。

時止めが通じない相手に使うスキルだ。

もっとも今までにそんな相手はいなかったのだが。

条件を満たした。確実に止められるはずだった。

しかしカーターは止まらなかった。

考えられる原因は1つ、名前が違う!


「どういうことだ! 名前が違うだと!」


悪魔が動揺した一瞬の瞬間にカーターは光の剣を地面に突き刺す。

地面での戦いは闇の海を出せる悪魔の方が有利だ。

地面を吹き飛ばし空に飛び上がる

戦いの場面は空へ移り変わってていくのだった。














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