3話 冒険者ギルド

「ノア、冒険者ギルドに来てみないか?」


朝食の時に父さんが言った。


「あなた、ノアはまだ10歳よ!」


母さんは反対みたいだ。


「別に、冒険者として働かせるわけじゃない。冒険者ギルドには学校ぽいのがあってな。勉強を教えて貰えるらしい。」


そうか王都の学校は入学試験に座学もあるのか。

俺が嫌そうな顔をすると父さんは、


「ちゃんと勉強するんだぞ!」と嬉しそうな顔で言う。


「勉強やだ。母さんたすけて!」


そう言う俺を父さんは引きずって連れていこうとする。

母さんを見ると俺を見て笑っている。

味方はいなかった。



◇◇◇



冒険者ギルドは俺が思っているより立派な建物だった。

父さんが入っていくのを見て俺も慌てて建物に入った。

父さんはギルドの受付で俺の登録をしているらしかった。


「Aランクのカーター様のご子息なら問題ありません。」


という声が聞こえてきた。

カーターとは父さんの名前だ。

冒険者ギルドのランクは

Sランク

Aランク

Bランク

Cランク

Dランク

Eランク

がある。

Aランクって父さん相当ランク高かったんだな。

そんなことを思っていると父さんが俺に、


「今からランクを決めるテストをやるらしい。」


と言った。

急だな。


「勉強するんじゃなかったの?」


「登録に必要なんだ。」


まだ魔力強化をやっとできるようになったばかりだ。スキル併用はまだ出来ない。

どうすれば。

そんな俺を尻目に、

受付の人が、


「Cランクの魔物から行きますか。」


と言ってきた。


「ちょっと待ってくださいよ。Cランクは勝てないですよ!」


Cランクの魔物はかなり強い。


「今ここにはAランクのカーター様がいるのでCランクなら問題はありません。」


父さんを見ると任せておけという顔で頷いている。

そうして、闘技場のような所へ案内された。

闘技場に立つと、魔物が解放された。

出てきたのはゴブリンキングだ。

俺は魔力強化を発動した。

俺は剣を習っていないので拳で殴るスタイルだ。

ゴブリンキングは棍棒を振り下ろしてくる。

それを避けて拳を叩き込む。


「硬すぎ。」


全然効いていない。

それどころか怒って強くなっている気がする。

魔力強化だけじゃ出力が足りない。

スキルを使うしかないが、まだ安定性にかける。

最初にスキルを使った時よりもライジングの強化幅は大幅に上昇している。

本当にブロンズスキルか疑いたくなるくらいだ。

だがそのせいで扱うのがさらに難しくなった。

父さんが外野から「スキルを使えー」と叫んでいる。


「攻撃を当てる瞬間だけ使うんだ。」と言っている。


「そんな器用なことできねえよ。」


「そこを何とかしろ。」


とんでもない無茶ぶりだ。

俺の攻撃が効かない以上逃げ回ることしか出来ない。

ゴブリンキングはよだれを出しながら追いかけてくる。


「やるしかないのか。」


パンチを当てる瞬間にスキルを使う。


パンチはあたり攻撃は通ったがバランスを崩し吹き飛ばされた。

ライジングを発動していたおかげでそこまでの怪我ではなかったが衝撃はでかかった。

気絶する前、俺が最後に見たのはゴブリンキングを一撃で倒す父さんの姿だった。






















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