第2話 柴犬転生🐾
僕、坂井浩介はシャツを着せた女の子をチェックした。
「よし、これで何とかマッパは回避できた」
シャツの下からはみ出している小さな尻尾を改めてよく見てみると、
「お前、まさかロクセットか? ロクセット!」
飼っていた犬の名を叫ぶと、女の子はピクリと反応した。目がまん丸になり尻尾を振り始めた。僕は再びめまいを覚えた。この子はまさかロクセットなのか? ロクセットはオスだったが、この子は女の子。試してみるか……
「おすわり!」
女の子はその声を聞いて反射的にしゃがんで手を前に出して地面に付けた。ああ、その
ちなみに、このシチュエーションは非常にまずい。僕が下半身裸の女の子を土下座させている構図だからだ。誰かに見られたら通報される危険性が高い。
「はい、もういいよ。立って立って」
僕は彼女を立たせてから
「この後、どうするかなー」
困った。この子をこのまま放置させておくわけにはいかない。この尻尾…… もし本当にロクセットの生まれ変わりだとしたら、警察に渡すわけにはいかない。当面は僕が面倒を見るしかないだろう。
ここから家までは数百メートルしかないが、住宅地を通るので誰かに見られる確率は非常に高い。この子の恰好を見られたら確実に
無い頭を振り絞ったところいい案を見つけた。この子を茂みに隠しておいて、家に帰って車で迎えに来る。車なら目立たないだろう。走って帰れば5分で戻れる。
問題はこの子が大人しく茂みにいてくれるかどうかだ。再び茂みに女の子を連れていった。茂みに女の子を連れ込む―― もちろん、このアクションも
「いいか? ロクセット『まて』だ。ここにいるんだぞ、すぐに迎えに来るから。どこに行っても
女の子はやはりポカンとした顔をして尻尾を振っている。
「うーん、駄目かも。でも今はこの手しかない! じゃあな!」
僕は陸上部員もびっくりのスピードで家まで走って帰った。そして僕の愛すべき軽自動車で戻ってきた。ドアをバッと開けて車を降り、茂みに駆け込んだ。すると……
「ほら、いねーよ。やっぱりな」
自分で自分に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます